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【ライブレポート】オリヴィア・ロドリゴ GUTS World Tour Tokyo 初来日歴史的瞬間を目撃、大歓声の有明アリーナに歌姫が降臨した夜

Olivia Rodrigo Guts World Tour Tokyoのライブレポート
axlcity
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

2024年9月27日(金)、ついにオリヴィア・ロドリゴの初来日公演初日を迎えた。

ライブの開催地、有明アリーナは6日前までサミー・ヘイガー率いるヴァンヘイレンの集団がヒット曲を演奏した会場だ。

ダッド・ロックの王様から令和の歌姫にバトンが渡されたここ有明アリーナで、オリヴィアのライブに参加したのでレポートをする。

この記事でわかること
  • 公演前の様子
  • ライブの雰囲気や演出
  • セットリスト
  • 公演後の様子
  • 物販の混雑具合
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公演前の会場の様子

昼過ぎから終演まで約7時間ほど有明アリーナ周辺にいたので、会場付近の様子を紹介しよう。

物販の様子

私が会場に着いたのは13時50分頃。

ゆりかもめ「有明テニスの森駅」から徒歩10分ほどの距離で、道中にはオリヴィアのグッズを身につけたファン(Livies)たちがズラリズラリと往来していた。

グッズ案内の看板に従い有明アリーナ会場内に潜入。

サブアリーナへの案内板

あいにくの雨という事もあり、販売エリアは屋内 (サブアリーナ) で行われていたが大正解だ。

ここへ入ると、入口では青いジャケットを着たスタッフさんから東京限定のQRカードを配布され、4列編成の物販の列に並ぶという流れができている。

物販販売の列

『ガッツ』がエンドレスで流れる中、すでに2〜300人くらいは並んでいるという状況ではあったが、SOLD OUT(売り切れ)という文字は見かけることはなかった。

物販の中央は広く開いた空間になっている
グッズ一覧が載ったパネル
グッズのサンプル

サブアリーナはだいたい学校の体育館と同等か一回り小さい広さのスペース。

ツアーグッズとCD・レコードの販売、等身大パネル、VIP特典受け取りとエリアが分割されている。

会場限定特典付きのCD、レコード
オリヴィアの等身大パネル

入口と出口がしっかり分かれており、導線もしっかり取れているので混雑が起きない工夫が凝らされている。

テキーラ
テキーラ

途中にはフェンスにサンプルがあり手に取る取る事もできたぞ!

ファンの様子

オリヴィアのステージ衣装を真似した自作のコスプレ?をするLivies達を目撃したのだが、海外アーティストのライブには必ずと言っていいほど、なりきりボーイズ&ガールズが存在する。

いつの時代、どの年齢層にもいるようだ。

カウボーイハットやラメ入りのパンツを履いたlivies

ただLivies達はFB(フレンドシップ・ブレスレッド)を交換したりと交流が深い印象を感じる。

テイラー・スウィフトの時と同じ現象が起きているのだ。

改めて思ったが、年齢層は10代〜20代前半の女性ファンが圧倒的に多い。

それに続き男子勢という割合だろう。

また国際色も豊かだ。

様々な言語が飛び交う有明アリーナでは海外から来たファンも多くおり、日本まで来るとはなかなかコアなLiviesと理解できる。

親子で来たであろうファン、夫婦、学校帰りのJKなど参加したファンは多種に及ぶ。

もちろん私と同じソロでの参戦のファンも多く見られた。

会場内の様子

入場まであと数分、いまかいまかと待ち侘びるLiviesたち。

結局入場入りが出来たのは17時45分。

「VIPスタンディング席から順番に入場してます」との声かけが聞こえ、パープルレインがじわじわ降る中、なんとか入場。

雨で湿ったチケットを見ながら自身の席を探す、道中等身大パネルがあったり、頭上のモニターには今回のコンサートの宣伝が映し出されていた。

Depeche Modeの “Enjoy the Silence” やSleigh Bellsの “Crown on the Ground”, Caroline Polachekの “So Hot You’re Hurting My Feelings”の他The Ting TingsやThe Clash, Joan Jettなどの楽曲が流れる中メイン会場に突入する。

うっすらスモックがかかり、外の気温とも相まってやや肌寒い場内。

さて有明アリーナは初めてなのだが、今回S指定席2階からの眺めは意外と近くて興奮が止まらない。

前回私が参戦したのが今年2月のQueenの東京ドーム公演という5万人規模の会場だから。

そんな経験もあってステージからの距離が近い近い。

さて、ここから嵐の前の静けさは約1時間ほど続く。

あらゆる場所からシャッター音が飛び交い、セルフィーを撮るLiviesたち。

「え、めっちゃよくな〜い」などの声が会場内を賑わす。

有明アリーナ、白く照らされる会場とパープルに染まるステージのコントラストが夢と現実の境を異世界を作り出す。

この待ち時間、これから始まると楽しみ半分、恐怖半分入り混じった謎の感覚が襲いかかる。

ズラリズラリと入場するLiviesたち、パープルやレッドに染めたカウボーイハットの女子やobsessedのタスキをかけた完全オリヴィアに取り憑かれた者もいる。

開演30分前あたりから、突如サウンドチェックが始まりドラムを叩く音やベースの太い音が心臓を貫く。

しかし、まだ会場には余裕がある。

驚いたのが18時45分のことだ。

突如ステージに映し出された”Guts”の蝋燭に「キャーッ」「ワーッ」っと歓声が上がった。

しかもこれは時間が経過するにつれて文字が溶けていくギミックが隠されており、”t”が倒れた時に再び歓声が上がった!

「キャー、キャー、ギャー」

Oh my god

ライブ開始

その時は突如現れる。

19時05分、人影が映し出され、オリヴィアはバックヤードを走りし抜ける映像が流れる。

そしてGUTSと書かれた指輪をはめた拳がカットイン、ラベンダーのドアをノックする。

白の照明が血肉を抉るようなヘヴィなドラムビートに合わせて点滅、赤色を加えた3パターンの照明が交互に点滅し、センターにライトが集まった時。

そこにオリヴィアはいた。

まるでマイケル・ジャクソンが登場した時のようだ。

ライブは「bad idea right?」で幕を開ける。

上下ラメ入りの衣装でキラキラと輝く歌姫の登場にオーディエンスは歓声をあげるものの、オリヴィアとキャッチボールが出来ている。

ぴょんぴょん飛び跳ねスキップしながらハの字型のステージを行き来する彼女、”Seein’ you tonight, bad idea right?”と声を荒げて、ロック色を全面に出している。

すでにオーディエンスとのシンクロ率が高い、東京に来るのはgood ideaなのだ。

間髪入れず歌われるのは「ballad of a homeschooled girl」だ。

ballad of a homeschooled girlを歌うオリヴィア

背後にはアルバム風の映像が流れおり、オリヴィアとサポートメンバー達が投影されている。

この曲からステージの端のまで駆け寄ってくれて、手を降り出す極上のファンサービスが半端ない。

“social suicide”という歌詞に合わせて蹴りを入れるロックスター並みのパフォーマンスも圧巻だ。

ここから一度暗転、ブルーのライトがぽつりと取り残される。

あちらこちらから「オリヴィア〜」と叫ぶ、オーディエンス。

スポットライトがオリヴィアを照らし、各方向へと動き回る彼女は歓声をかき集める。

まだ2曲しか演奏していないが、すでに東京を支配しているのだ。

ここから始まるのはオリヴィアの語り。

ハーイ、こんばんはTokyo!

Guts World Tourへようこそ!

すごくスペシャルなの、みんなにお願いなんだけど、みんな席を立って、ジャンプして、叫んでほしい、歌ってほしい。やってくれるTOKYO!

長い間ずっとこの晩を心待ちにしてました、ここにいて本当に本当に最高。

来てくれてありがとう!

投げキッスをして手を振り、ステージ中央へ戻ると「vampire」が演奏される。

ドラマチックな歌声とピアノの戦慄、一語、一語はっきりと聞こえるオーディエンスの合唱からは、すでにシンクロ率は100%に達していると分かる。

満月が映し出されるのだが、曲の後半では生き血を想像させる赤一色に染まる。

暗転して心に響く重低音が会場全体を包み込み、先ほどとは違う青い照明の中「traitor」が始まる。

ティーン・エイジャーが恋人の裏切りに傷ついたという内容をより一層深いものに変化させている。それはオリヴィアのセンチメンタルな歌声から分かるのだ。

8人のダンサーが集結、スクリーンに映し出された影絵とダンスがシンクロしまるで舞台をみているかのようだ。

ライブならではのアレンジも加えられ、アウトロにはギター・ソロが涙を誘う。

続いて演奏されたのは全米No. 1ソング「drivers license」だ。

ステージ中央、スモッグが波のように流れる中、オリヴィアが奏でるグランド・ピアノの弾き語りで始まるこの楽曲、やはり「traitor」と「drivers license」は2つでひとつの物語になっていると分かる。

共通する「裏切りによる失恋」というテーマ、憎しみから悲しみの曲に変化する物語はステージでも圧巻のもの。

“red lights, stop signs”と始まるブリッジでは「歌ってー!」と声をあげ、赤く染まった会場全体から合唱が巻き起こる。

「一緒に歌って」と掛け声、最後のコーラスパートはファン全員が歌い、再び大合唱が起こる。

演奏が終わると彼女の顔からは笑みが溢れた。

「TOKYO、みんな最高のシンガーだわ、ありがとう」とニコニコしながらピアノを弾き続けるオリヴィア。

語りは以下のように続く

「次の曲は19歳の誕生日の数日前に書いた曲、大人になることに恐怖を抱いてた時期だったわ。世間に不安を感じていたの、実際のところ21歳の今は全く感じない、むしろ大人になるのがエキサイティングで将来が楽しみ」

「この曲を書いた18歳のティーンへ、そんなに心配することはないわ、まだ見ぬマジカルなことがすぐそこにあるからね」

と大人になった彼女自身が過去の自分にアドバイスを込めたメッセージに続くのは「teenage dream」だ。

幼い頃の写真や映像がスクリーンに映し出され、後半の彼女の歌声からは不安なんてないと、むしろエキサイティングだと語っていたようにニッコリ笑顔を見せる。

そこには、蝶の様に美しく成長した歌姫の姿があったのだ。

イエローとブルーの照明は蝶の様に見える

伴奏とブルーの照明が光り輝く中、幼い頃のオリヴィアの肉声が流れるという演出が施される。

暗転したステージから新たに繰り広げられるのは「pretty isn’t pretty」

衣装チェンジを短時間で行い、ラメの入った黒のブラトップにショートパンツに網タイツのスタイル。

SNSで可視化された”美”、他人との比較や常に追い求めなくてはいけないと疑問をぶつけた詩から連想された演出は見もので、手鏡を持つ8人のダンサー達からは、満足しない美の追求が全身で表現されている。

ブルー基調のステージで連続で演奏される「love is embarrassing」では、息の合った見事なダンスを披露。

カメラを覗き込むパフォーマンスもしオーディエンスを沸かすシーンが見られた。

演奏が終わるとオリヴィアのMCでメンバー紹介がされる。

ビューティフルダンサーたち、キーボードのカミーラ(Camila Mora)、バックボーカル、ギターのエミリーとデイジー、ベースのモア、ドラムのヘイリーが個々のパフォーマンスを披露。

「調子はどうTOKYO!」「次の曲の準備はいい?」

センターポジションに戻ると横たわるオリヴィア、床が持ち上がり歌われる「making the bed」では、大きな動きは見せないが、仰向けで歌いきるという歌唱力にあっと驚かされる。

暗転した後、ステージ中央のブルーの照明と重低音の効いたSEが会場内を沸かす。

あちらこちらから「オリヴィアー!」との声が飛び交う中、なんと会場後方から現れる。

「キャー、キャー」と登場と同じくらいの歓声が湧き出し、水色に光る三日月に腰を添えたオリヴィア。

すでに衣装チェンジを済ませている。

織姫ならぬ”オリ姫”がアリーナ上空から手を振り歌いだす。

愛の不合理さを2+2=5という数式で描いたバラードソング「logical」だ。

SNSで出回っている画像で知っていたのだが、実際に肉眼で見るとひと味違う。

上下移動と一回転することしか出来ないのだが、こちらを向いてくれとばかりに興奮が止まない。

曲が終わるとオリヴィアの提案で「会場の上手と下手同士の歓声の競い合い」をすることになり、「できるだけ大声で叫んで、3・2・1!」の合図で始まりLiviesを巻き込む気絶寸前の盛り上がりを見せた。

MCは再び続き、

「すばらしい観客ね、今夜は来てくれてありがとう。今回は日本での初めてのコンサート、ここに来れて最高だわ、世界中みんな私のファミリーよ、夢が叶ったわ。」

「次の曲は私の1stアルバム『サワー』からの一曲。個人的に私のお気に入りの曲です。”enough for you”」

三日月の上で続けて「enough for you」が披露される、歓声と歌声が混ざり合う有明アリーナは本当にアコースティック調の曲が演奏されているかどうか混乱するほどの熱気があふれている。

浮遊館を感じさせる未来的なSEとともに、ステージへ駆け戻るオリヴィア、ステージにはオーロラの様な幻想的な映像が流れ、センターポジションに戻ると美しいフィンガースタイルのギターから繰り広げられる「lacy」が始まる。

歌の途中からダンサー達が円柱のステージの周りを囲い、アーティスティックで幻想的な演出をする。ステージ上部のカメラから捉えた映像がスクリーンに映し出され、スノーエンジェルや花びらの様にも見える作品を拝むことができる。

再びMCへ移り、「TOKYO、楽しんでるー?」とスキップしながらステージ前方へ向かってくるオリヴィア。

ここからはファンとの交流が交わされスクリーンには、ORのロゴが日本国旗につき寄せ書きがされているものが映し出されたり、友達同士できた女子2人組、親子連れなどが映し出された。

国旗に投げキッスをするオリヴィア
テキーラ
テキーラ

投げキッスをしていたのが印象的だな。

ブルーのアコースティックギターを渡されるが、MCはまだまだ続く。

「みんな来てくれてありがとう。

ここに来れてすごく嬉しい、さっきも行ったけど日本で”初めて”のコンサートなのよ。

何度か来たことはあるけどショーは初めて、そしてお客さんがここにいるわ。ありがとう。」

「本当に本当にこの街が好きで、楽しんでる。来たら毎回散策したり、ショッピングしたり、ラーメンと寿司を食べて体重が増えちゃった。」

どう言うのか習ったのが、「キョウハ、アリガトウ」

学んで、探検して、新しいことをしてるけど、結局日本にいる時も “so american”じゃない?

分かるでしょ!

日本語を喋った時にちょっぴり恥ずかしそうに笑みを浮かべるオリヴィア、オーディエンスもクララが立った以上のカオスな状態が続くのだが、会話の終わりから「so american」に続いていく。

伏線回収のような見事な流れ、ギブソンのアコースティックギターをかき鳴らし飛び跳ねながら歌われるポップ・ロック調のこの曲は『ガッツ(スピルド)』の隠しトラックに収録されている最新曲だ。

ファンから受け取った手作りのプレゼントを開けるオリヴィア

再びMCが始まり、ファンの作ったハート型のボックスを手に入れたオリヴィア、「上も開くの〜」と自慢げにバックバンドのメンバー、モアに見せるのだが、嫉妬 (jealousy) してしまう。

こちらも伏線回収、次に始まるのは他人と比べて嫉妬し、自己嫌悪に陥ってしまうティーンを歌った「jealousy, jealousy」だ。

モアと背中あわせで歌い始めるのだが、コーラスでは向かい合った状態で歌う。

この場面を見たオーディエンスはたちまち歓声をあげボルテージはさらに上がる。

完全にノックアウトされたのはカメラ目線でベロを出した場面だろう、ここでは老若男女全員失神する。

ハの字方に広がったステージの先で歌われるのは、「happier」

デイジーの奏でるアコースティックギターとオリヴィアの息の合った演奏が見どころだ。

ここからオリヴィアは詩の生まれる瞬間のことをシェアした。思いつくのは「シャワーを浴びているとき」「ドライブしているとき」「夢から覚めたとき」と語るオリヴィア、「happier」は撮影現場で “I hope you’re happy but don’t be happier”という歌詞が思い浮かび頭に降りてきたそう。

その後トイレにこもって最初のラインを携帯で録音したという。

「書いてよかった、だってみんな歌ってくれるからね」

シンガロングが一体となり「happier」で会場の奥まで共鳴させる、美しい瞬間を目撃した。

アコースティックでの演奏はもう一曲、失恋という名の”恋の共犯者” を描いた「favorite crime」だ。

原曲もアコースティックだが、ライブならではの一体感が感じられる素晴らしい楽曲に変貌を遂げている。

暗転してから、キラキラとしたノスタルジックなキーボードが聞こえ始まるのは「deja vu」

8人のダンサー達が再登場し、オリヴィアも息の合ったダンスを披露。モニターは少し曇りがかったヴィンテージ風のアレンジがされ、ケイト・ブッシュの「嵐が丘」のミュージック・ビデオを見ているようだ。

テキーラ
テキーラ

デジャブという言葉通りの映像だな

印象的なのはコーラス部分を観客全員で歌うシーンだ。

英語の歌詞も簡単でポップさもあり歌いやすい「deja vu」のコーラスは老若男女みんなで声を荒げた!

間髪入れずに続くのは「the grudge」、紫の照明の下、オリヴィアはセンターラインで歌詞を噛み締めながら歌う。

失恋でおった傷の深さを感傷的に歌うその姿から、つい男泣きしてしまうほどだ。

スクリーンに紫色のカーテンが映され、風になびきながら赤く燃え上がる。

荒々しい歪んだベースのリフが演奏されると、そこにはもはやポップ要素はない。

完全にヘヴィー・メタル、ハード・ロックのステージへと変貌を遂げる。

ステージの頂点3箇所にギターとベースが別れ、強烈な伴奏を繰り返す。どこへ目をやっていいのか分からない中、自然と「brutal」に切り替わる。

ステージの下から登場したオリヴィア、胸元の開いた赤のレオタード、ラメ入りの星が描かれた黒のストッキングに身を纏い、足をクロスしながら優雅に前進してくる。

観客との掛け合いも初来日とは思えないくらい息があっている、例えば“Where’s my f**king teenage dream” という部分を観客席に向けた時なんかは会場からFワードが飛び交う、飛び交う。

ベースのモアと背中合わせになり、ゆっくりとしゃがんでいくセクシーでカッコいい姿を見せるだけでなく、四つん這いになるシーンまでありサービス精神お旺盛だ。

曲の最後はステージ中央で自身のバンドを従えたかの様な佇まいを見せ、ポップ歌手というよりもザ・ランナウェイズを思わせるようなガールズ・ロック・バンドのボーカリストと表現した方がしっくりくる印象を与えてくれた。

サイケデリック要素を増したギターが特徴的な「obsessed」が続く。

全体を赤基調にしたステージではモニターに舌を出したオリヴィアや、今彼の元カノたちに取り憑かれた女の叫びが歌詞に合わせて動き出す、徹底的に作り込まれた映像美が楽しめる。

またオリヴィアの真下からの撮影されるシーンがたまらない、最後にはセイント・ヴィンセントのシグネチャーモデルのエレキ・ギターを荒々しく弾く。

完全にロックスターと化した有明アリーナの支配者はとにかくスイッチが入ったら止まらない、ギターのヘッドをシンバルに叩きつけたり予想不能な行動に出る。

ある意味お茶目でいいのかもしれない。

そしてその姿を見て完全にobsessed、してしまった。

ポップ・パンク風の演奏が披露された後、アコースティックによる「all-american bitch」のギターリフが流水のように演奏される。

マイクスタンドに寄りかかるオリヴィアの佇まいに、甲高い歓声が巻き起こる。

会場の熱量は半端ない。

まだまだエネルギー切れを見せないオリヴィア、なんと開演から1時間40分近く経っているのにハの字型の会場をスキップしながら歌い続けるのだ。

また原曲にある叫び声をこのライブ会場でも再現するというサプライズも最高だ。

「OK、みんな聞いて、今からみんなにイラついた事だったり、イラつかせた奴のことを思い浮かべて、大声で叫んで!いいね!」

暗転した会場で10秒間にわたってファンがオリヴィアに叫び、悲鳴を聞かせるという展開に。ちなみに私はここで喉が枯れた。

バンドの演奏が終わり、アンコールの拍手が響く。

3分後、聞き馴染みのあるベースラインで再度幕が開ける。

「good 4 u」だ。

アヴリルやベッカといった先輩たちから継承された爽快なロックソングは、令和の今オリヴィアが新たな時代、先人を切って作り出している。

ロックの王位継承と言っても過言ではない。

アンコール最後の曲は「get him back!」だ。

イントロが演奏された後、マイク内臓の真っ赤なメガホンで「Are you still with me TOKYO~」(ついてこれてるかいTOKYO)との掛け声で、オーディエンスに問いかけるところから始まる。

初日は”love you so matcha”と書かれたタンクトップで登場

アンコールから衣装が変わり白のタンクトップにシルバーのショーツという姿。

ロックの王女が君臨し、ダンサー達を引き連れる。

最後にはステージ両サイドとSS席後方から星形の紙吹雪が発射され、ボルテージは最高潮。

ハの字のステージの端から端まで移動し歌い、最後の最後まで全力でオーディエンス向き合い共鳴をし続けた。

最後は「ありがとうTOKYO、みんな最高だわ!、グッドナイト!」

と汗で乱れた髪をかき分けステージを小走りで移動し、手を振りながら会場全体に投げキッスをする。

彼女は一瞬今にも泣きそうな表情を浮かべていたが、終わりたくないこの瞬間を1秒でも多く噛み締めていた様に見えた。

手を振りながらステージ中央に吸い込まれていくオリヴィア、最後の最後でジャンプして飛び出してくるのもお茶目で最高だ!

20時52分、初来日公演初日が今終わった。

1時間47分の圧巻のショーはあっという間であった。

ライブ終了後の会場の雰囲気

ライブ終了後、スクリーンには紙吹雪を掃除する清掃員のおっさんが映し出されるというシュールな映が流れるのだが、会場では枯葉などを吹き飛ばすのに使うダスターでそれは吹っ飛ばされていた。

終演後は規制退場でそれぞれ待ち時間があり、改めてセルフィーや記念写真を撮るファンも大勢見受けられた。

感想を友人同士で語るファン、物販を買いに行くファン、FBを交換するファン、黙々と余韻に浸るファン、皆それぞれ楽しそうで何よりだ。

セットリストのQRコードが壁に貼られている

趣味も年齢も人種も違う人々が、1人の共通した推しのために集まった。こういう機会はライブでしか感じられない、さらに一度として同じショーは無い。

ライブは素晴らしいことだと改めて感じた。

GUTS WORLD TOUR TOKYOのセットリスト (2024年9月27日@有明アリーナ)

2024年9月27日(金) @有明アリーナ公演(SET LIST @ARIAKE ARENA)
曲名収録アルバム
1bad idea right?『ガッツ』
(Guts)
2ballad of a homeschooled girl
3vampire
4traitor『サワー』
(Sour)
5drivers license
6teenage dream『ガッツ』
(Guts)
7pretty isn’t pretty
8love is embarrassing
メンバー紹介
9making the bed『ガッツ』
(Guts)
10logical
11enough for you『サワー』
(Sour)
12lacy『ガッツ』
(Guts)
13so american『ガッツ(スピルド)』
(Guts(Spilled))
14jealousy, jealousy『サワー』
(Sour)
15happier
16favorite crime
17deja vu
18the grudge『ガッツ』
(Guts)
バンドソロ演奏
19brutal『サワー』
(Sour)
20obsessed『ガッツ(スピルド)』
(Guts(Spilled))
21all-american bitch『ガッツ』
(Guts)
22good 4 u『サワー』
(Sour)
23get him back!『ガッツ』
(Guts)

まとめ:オリヴィア・ロドリゴ初来日歴史的瞬間を目撃した

ディズニーから登場したスター歌手、オリヴィア・ロドリゴ。

彼女のライブは圧巻であった。

一切妥協しない完璧なステージ演出、原曲と同じキーで歌う力強さ、ポップでキュートな歌声とロックのサウンドを持ち込んだ音作り。

全てが100%出し切っていた。ワールドツアーも残り数都市、ラストスパートまで駆け抜けて欲しいものだ。

私はマイリー・サイラス、デミ・ロヴァート、セレーナ・ゴメスをリアルタイムで聴いてきた世代なのだが、オリヴィアは彼女たちと並ぶ、いや超える存在だと実感した。

非常に嬉しく思ったのが熱量が最高潮のタイミングで推しがリアタイで来日公演をしてくれたこと。

実際日本で来日公演をしたのはセレーナのみ(2016年)。

マイリーは2014年からツアーはしていない。

私自身が海外で生活していたこともあったりと、生の歌声を聞ける機会がほとんど無かった。

しかし、オリヴィアはデビューから3年というスパンでライブをしてくれた。

新たなスター歌手がここまで盛り上がったのは奇跡とも言えるだろう。

そして新たなビッグ・イン・ジャパンのアーティストになってほしいと思う。

有明の夜空には、パープルレインから七色に輝くGUTSというスターが降り注いでいた。

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管理人:つる
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音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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