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【ディスクレビュー】オリヴィア・ロドリゴのアルバム『ガッツ』を聴いてみて分かったこと

オリヴィア・ロドリゴの『ガッツ』
axlcity
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オリヴィア・ロドリゴのディスクレビュー第2弾。

2023年にリリースされた2ndアルバム『ガッツ』だ。

20歳を迎え新たな新境地に立った彼女。音楽にどのように変化をもたらしたのか?

全曲レビューをしたので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いだ。

つる
つる

このディスクレビューは感性や感覚の話になるので、あくまで個人の意見としてとらえていただきたい。

また、今回は追加曲を含む合計17曲をレビューしている。

追加曲を含んだバージョンのアルバムは、2024年5月現在、まだ国内版の発売がないので各ストリーミングサービスで鑑賞していただきたい。

この記事で分かること・おすすめな人
  • 初見ならではのレビュー
  • 全曲解説&考察
  • おすすめ度(★5段階評価)
  • アルバムの歴史
  • これからオリヴィア・ロドリゴを聴きたい人
  • 洋楽をとことん楽しみたい方

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『ガッツ』全曲レビュー/おすすめ度(★5段評価)

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック
アルバム『ガッツ (スピルド)』ガイド
収録曲収録時間おすすめ度(★5段階)
all-american bitch2:45★★★★★
bad idea right?3:04★★★★★
vampire3:39★★★★★
lacy2:57★★★★☆
ballad of a homeschooled girl3:23★★★☆☆
making the bed3:18★★★★☆
logical3:51★★★☆☆
get him back!3:31★★★☆☆
love is embarrassing2:34★★★★★
10the grudge3:09★★★★★
11pretty isn’t pretty3:19★★☆☆☆
12teenage dream3:42★★★★★
spilled追加5曲(デジタル配信/輸入版ヴァイナルのみ)
13obsessed2:50★★★★★
14girl i’ve always been2:01★★★☆☆
15scared of my guitar4:23★★★☆☆
16stranger3:12★★★★☆
17so american2:49★★★★☆

1. all-american bitch

冒頭から美しいアコースティック・ギターのアルペジオを響かせ、そこへオリヴィアの歌声が後を追う。

ツインで演奏されるアコースティック・ギターは、パンジョーの様なサウンドにも聞こえカントリーやシンガーソングライターの楽曲に似たアレンジを加えている。

しかし0:52から始まるコーラスで、一気に雰囲気はガラッと変わる。

アヴリル・ラヴィーンを思い出させるパンク・ロックに化けるのだ。

またコーラスの韻の踏み方とコード進行から、マイリー・サイラスの「Start All Over」にも影響を受けているようにも解釈できる。

マイリー・サイラスの “Start All Over” (2008年)
テキーラ
テキーラ

オリヴィアもマイリーもディズニー出身だから影響は多少受けていると思うぜ〜

ジェットコースターの様に強弱があり、アゲていくところはあげ、下げるところは下げるというポップ・ロック調で展開される。

2:05〜2:18で「Ahh」とバカ騒ぎをする声が表すように「典型的なアメリカのビッチ」を歌った曲だ。

考察

歌の内容は「私は完璧なアメリカンビッチの女子」のことを赤裸々につづった曲だ。

ジーニアス英和辞典で調べると、”all-american” には以下の意味がある。

  1. 「米国人[米国的要素]だけからなる」
  2. 「(学生のスポーツなどで)全米代表の」
  3. 「(若者などが)最も米国的な, アメリカ(人)らしい」

曲の内容的にも❸の意味が1番しっくりくるだろう。

実際に歌詞からも “アメリカ(人)らしさ”という意味を捉えることができるキーワードがいくつかあるにも注目で、

「コカ・コーラの瓶」「ケネディ家」「アメリカ人らしい唇」、「アメリカ人らしいお尻」などがいい例だ。

一方で “理想的なアメリカ人像でいなくてはならない”という呪縛の葛藤を感じる歌詞もある。

例えば、歌の最後で “I’m pretty when I cry”(泣いているときでさえ可愛いの)と囁くように歌っている点。

なぜ泣いているのか疑問に思うのだが、

「永遠に楽観主義でいるけど/感情を抑えるために心の中で叫んでいる」

という歌詞からもそう解釈できるように、

オリヴィア自身もアジアにルーツを持つので、”こうあるべき姿”という葛藤があるのだと思われる。

だからこそパンク・ロックで感情を表現したのだろう。

2. bad idea right?

【出典】Olivia Rodrigo – bad idea right? (Official Video)|YouTube

「all-american bitch」の終わりから延長線上で結ばれている楽曲。

ドアをノックするノック音から、”Hey, Hey”と誘いを呼ぶオリヴィアの声が聞こえて曲はスタートする。

8ビートで刻まれるリズムにギターリフ、1964年ロイ・オービソンの「Oh, Pretty Woman」を令和にもってきた様なサウンドは、タイムスリップしたかのような気分にさせる。

ロイ・オービソンの “Oh, Pretty Woman” (1964年)

また”my brain goes ahhh”と歌う耳心地のいいハーモニーは、シェリル・クロウの「Soak Up the Sun」っぽさもあり、カントリーやシンガーソングライターに通づるオリヴィアの才能と新たな可能性を感じる。

シェリル・クロウの “Soak Up the Sun” (2002年)

曲の内容は「元彼との再会をするのって、バッド・アイディア(ダメな考え)だよね」と友達以上恋人未満の関係である人を思う心の動揺を歌っている。

テキーラ
テキーラ

“seeing you tonight/it’s bad idea right?”で、だんだん緊張感が迫ってくる曲調に変化するんだけど、これって鼓動の動きを表している様に聴こえるな〜

90年代のオルタナティヴ・ロックに影響を受けたであろうヘヴィーなギターリフ、60年代のサイケデリックさを秘めたギターソロ。

まさに全世代に刺さるロックンロール・ナンバーだ。

考察

ミュージックビデオを観ていると、面白い隠しアイディアがいくつか分かる。

夜の郊外、雷の音と赤い文字で「bad idea right?」と映し出され、ホラー映画でもみている様な幕開けで始まるビデオ。

これから何か”ヤバいこと”が始まるのではという予兆はその通りで、オリヴィアと学校の友人たちがホームパーティーをしているところから歌は始まる。

まず1つ目は、スマホに着信がかかるシーン。

“LOSER NOT WORTH MENTIONING”(名前を言う価値もない負け犬野郎)と表示されており、それを見て笑いながら化粧をするオリヴィアの友人。

これはオリヴィアの楽曲”love is embarrassing”の歌詞の一句であり、引用されている。

つる
つる

友人役で登場するアジア系の女性は、ディズニードラマ『やりすぎ配信! ビザードバーク』でオリヴィアが共演したマディソン・フーだよ!

2つ目は、ホームパーティーの男女5人組が全員オリヴィアの顔になっているシーン。

“My brain goes ahhh”と歌う箇所で男女5人組が登場する。

しかし、全員オリヴィアの顔になっている。

次のカットで彼女が唖然とした表情で立ちすくめている様、歌詞の内容から“混乱”を意味していると解釈できる。

3つ目は、コーラスで分かる対照的なアメリカ人像

コーラスシーンで、ホームパーティーをしている友人たちの上にダイブしたオリヴィアと一人で無表情のオリヴィアが映し出される。

これには2つの意味が隠れていると考えられる。

1つは、歌詞の内容である「元彼に会いに行くのって、ヤバいことだよね?」と自分の中で二極の選択を迫られている状態のこと。

もうひとつは「all-american bitch」で表現したオリヴィアの考えるアメリカ人の理想像と彼女自身の理想像

オリヴィアがカメラ目線でこちらを観ているカットで、金髪の男友達が背後で踊っているのが映し出される。

彼の着ている白いTシャツには「Perfect all-american bitch」と書かれおり、「all-american bitch」の歌詞の引用がされている。

そう、踊り狂う彼らとオリヴィアの対比がうまく描かれているのだ。

4つ目は、雨の中のヒッチハイク、バスにのり彼のアパートへ行くシーン

映画やドラマで表現されるように、雨に打たれることは、”涙”や”恐怖”を意味している。

それは、このミュージックビデオにも同じことが言える。

ヒッチハイカーの車がエンストを起こし、陰鬱なバスの中ではソーダをひっかけられるなど、彼の元へ行くのを引き止めるような出来事が起こるのだが、同時に“手に負えない熱い気持ち”がオリヴィアの心にあるのだと分かる。

アパートに到着してからもそうだ。

小さな花火が炸裂し、明るく発光する元彼の横で添い寝すると、彼は大爆発を起こしてしまう。(彼を爆発させてしまう恐怖?と言える)

まさに彼女は、手に負えない”恋の時限爆弾”とも解釈していいだろう。

そしてそれは、”bad idea right?”(悪いアイディア、だよね?)なのだ。

3. vampire

スローテンポのピアノ伴奏で始まる楽曲で、前半はバラードパート、コーラスから徐々にエンジンをかける構成になっている。

ヴァース(Bメロ)の直前に、彼女の楽曲 “drivers license”を印象づけた連続的な音(キーリマインダーの様な音)を再び聴かせてくれており、ファンにとっては興奮するポイントでもある。

2:24からの後半パートではダンス・ポップとロックを混ぜたようなサウンドに包まれ、疾走感に溢れる展開に変化する。

特にこのパートは、マイリー・サイラスの「See You Again」っぽさがあり、同じコード進行や歌い方にも類似点があるのに注目したい。

マイリー・サイラスの “See You Again” (2007年)

曲の内容は「元恋人をヴァンパイア(吸血鬼)に例え、彼女の愛や名誉という名の精気を吸い取っていった」という失恋の物語が歌われている。

テキーラ
テキーラ

“bloodsucker, famefucker”って韻を踏むだけじゃなくて、”sucker”と”fucker”のダブルミーニングで強烈な批判をしているのが最高やな〜

4. lacy

美しいフィンガースタイルのアコースティックギターがメロディを奏で、ノラ・ジョーンズばりのジャジーな歌い方が印象的なバラード曲。

その哀愁漂う歌声からは、ピーター、ポール&マリーの歌う「500 Miles」に近いフォークソングにも感じられリスナーを虜にする。

ピーター、ポール&マリーの “500 Miles” (1962年)

そしてただ真似するではなくて、オリヴィアの表現方法である透明感を意識したハーモニーが現代的・令和的であるため女性ファンが多いのだと気付かされる楽曲だ。

内容は「レイシーという完璧な女の子への憧れ、羨ましさ」を歌ったものをベースに、次第にその感情が恨みへ変わっていく様を描いた非常に詩的な楽曲だ。

つる
つる

「SNSをみて他人と比較、嫉妬してしまう」という歌を歌ったオリヴィアの「 jealousy, jealousy」に共通するテーマがあるね。

考察①

憧れが恨みに変わる際に”毒を盛る”という表現がされている。

“毒”という言葉は定番の表現方法で、他の歌の中でも用いられる。

例えば、ケイト・ブッシュの「Coffee Homegraound」(コーヒーはいかが)では「コーヒーに混ぜ込むための毒薬作りをしている女」が描かれていたり、リタ・フォードの「Shot of Poison」は「アンタの甘い毒でアタシは自由になれる」という様に愛を”毒”で表現している。

ケイト・ブッシュの “Coffee Homeground” (1978年)
リタ・フォードの “Shot of Poison” (1991年)
考察②

lacyという言葉の意味調べてみると、「レースのような」「レースで飾った」という形容詞が出てくる。

もちろん憧れの存在である人を純白なレースで例えたという意味もあるが、”Lacey”というニックネームからも来ているのではないかと考察できる。

フランス語の”Lacie”を語源に持つ女の子につけられる名前で、そのまま英語に使われる様になった背景があるそうだ。

5. ballad of a homeschooled girl

パンクでオルタナティヴなロックンロールナンバー。

音割れされたオリヴィアのヴォーカルから届けられるのは、「学校に行けずホームスクールに通う女の子の嘆き」だ。

12歳の頃から芸能界にいる彼女にとって学校で馴染むというのは、なかなか難しいこと。

曲名の “a homeschooled girl”(在宅教育を受ける少女)とはそういう意味。

彼女の実体験を歌にした楽曲といっても過言ではないだろう。

そして、何度も繰り返し歌われるのが「社会的な自○行為」という詩。

言い換えれば、この環境は「生き地獄」ということだ。

ネガティヴなこの曲に、ニルヴァーナの持つグランジ要素を載せているのにも注目して聴いてほしい。

ニルヴァーナの “Breed” (1991年)
つる
つる

ニルヴァーナの「Breed」のBPMを落とし、ゆったりとさせた楽曲にも感じるね。

6. making the bed

ディズニードラマで有名になり、デビューアルバムはグラミーを受賞したオリヴィア。

そして今作アルバム『ガッツ』への期待の声。

「手に入れたいものはつかみ取った、でもここには居たくない」。

そして毎晩悪夢を見る。街中をドライヴして、信号が赤なのに止まれない、コントロールが効かない悪夢を。

そう、この曲で歌われているのは、「プレッシャーから押しつぶされそうになる彼女自身のこと」を歌ったものだ。

考察

「夢の中で街をドライヴ」、「赤い信号」これらのキーワードを見て、オリヴィアのファンなら気づいているかもしれないが、「drivers license」のことを意味していると考えられる。

実際「drivers license」の中で“Red light, stop sign”という歌詞が歌われいることからも分かるのだ。

またオリヴィアは、「interview magazine」の中で「最も書くのが難しかった曲は何?」という質問に対しこう回答している。

There’s one song that I wrote about how my life changed because of all of the things that happened with the last album and how crazy that was.

It was cathartic in the end, but it was kind of hard dredging up all of that stuff.

前作で起こったいろいろなことのせいで、自分の人生がいかに変わってしまったか、そしてそれがいかにクレイジーだったかについて書いた曲があるの。

最終的にはカタルシスを得ることができたけど、そういうことをすべて掘り起こすのはちょっと大変だったわ。

7. logical

ピアノの伴奏をベースに温かみのあるアコースティックギター、サックス、シンセサイザー、そこへオリヴィアの歌声が優しく包み込む。

愛の不合理さを”2+2=5″という数式で表現した失恋バラードソング。

愛は理屈では通用しないのだ。

物悲しげに “logical”と繰り返し歌われる点、この歌声を聴いていると、頭の中に涙をこぼしながら歌うオリヴィアの姿が浮かんでくる。そう感じるのは私だけではないはず。

考察

“I was too young, I was too soft”(私は若すぎたし、弱すぎた)

という歌詞から考察すると交際相手は年上の人と分かる。

調べてみると、オリヴィアは過去にプロデューサーのアダム・フェイズと交際していたとわかった。

2人は2022年に破局しており、年齢を調べると6歳年上。

彼と別れてからはDJのザック・ビアと交際。彼も年上で7歳差があるそうだ。

2024年現在は同い年の俳優ルイス・パートリッジとの交際をしている。

【参考】Olivia Rodrigo’s Complete Dating History|ELLEより

8. get him back!

ワン、ツー、スリーとの掛け声から始まるのは、前半の曲とはガラッと変わる。

ドラムビートと歪んだサウンドから想像するのは、フェイス・ノー・モアの「Epic」だ。

彼らの音楽の様にラップとロックを混ぜ合わせたサウンドに仕上がった楽曲になっている。

フェイス・ノー・モアの “Epic” (1989年)

一方ポップさも兼ねており、マルティカの「Toy Soldier」やジェシー・Jの「Masterpiece」にも共通するメロディーラインを思い出させるコーラスパートでは、みんなと声を揃えて合唱できる様に”I wanna get him back”と繰り返し歌える工夫を凝らしている。

マルティカの “Toy Soldier” (1988年)
ジェシー・Jの “Masterpiece” (2014年)

しかし、男子諸君は注意が必要だ。

この曲はいわば、元彼どもへのアンチソングであるからだ。

「彼を取り戻して、嫉妬させて、甘ーい復讐劇を果たすんだ」なんて言われたら、たまったものではない。

しかも、後半には「彼の母親に会ってサイテーな息子さんですね、って言ってやる」「アゴにアッパーをくらわしたい」と歌ってるんだぞ。

テキーラ
テキーラ

恐るべきオリヴィア・ロドリゴ

9. love is embarrassing

【出典】Olivia Rodrigo – love is embarrassing (Official Lyric Video)|YouTubeより

爽快感のある水色に輝くドラムは、オリヴィアの鼓動を表し彼女を慰める。

そう、この曲もいわゆる恋愛ものである。

「恋人だと思っていた人が高校生とキスをしていたり、元カノの話をしてきたり」と歌われ、こんな男に振り回されているアタシって、恋って恥ずかしいという心理状態を2000年代頃のロックで表現されている

新しい彼女ができたことで、私の中で”第三次世界大戦”が始まりそうになったなど、表現力が豊かで強烈的なワードチョイスがいい。

つる
つる

“Good 4 U”が好きな人におすすめだよ!

10. the grudge

“the grudge”(恨み、怨念)と題したこの曲が伝えていることは、“失恋に対する傷の深さ”である。

ハンムラビ法典で書かれた同害復習法の「目には目を、歯には歯を」を表す様なことであろう。

過去の恋愛を引きずっている女の子が元カレのことを許そうと努力をする。

しかし、まだできない。

“drivers license”を思い出させる優しいピアノと涙の歌声が、リスナーの心に響く楽曲だ。

テキーラ
テキーラ

車のワイパーが動く音?みたいなのが聞こえるのにも注目だぞ!

考察

自己分析や自己理解をすると、客観的に自分を知ることができる。

そして、この曲でもオリヴィアの心情を客観的に理解できるのだ。

例えば、最初のヴァースでは、相手の心情を分析しつつ、自分はこうなんだよねと結論を出している。

一方で2つ目のヴァースでは、“the argument that I have won against you in my head”“I make you so guilty” と歌う点から“相手を傷つけるほどの強い自分”を分析している。

ただその中で、なんで傷つけてしまったのかを理解しようとする瞬間も描かれており、 “hurt people hurt people” という歌詞から分かる。

「傷ついた人が他の人を傷つけてしまう」という負のループに陥ってしまうのだ。

そしてオリヴィアは、人を許すほど強くなりたいと頑張る。だけど、まだ時間が必要という結論を出している。

時間が経てば「人を許す力」を得た彼女が生まれ、アンサーソングができるかも知れない。

それまでじっくり待ちたいものだ。

11. pretty isn’t pretty

「可愛いは作れる」なんていう言葉が表すように、SNSで”美”が可視化され、常に追い求めなくてはいけない現代。

「pretty isn’t pretty」はまさに劣等感と戦いながら、周りと比べながら「可愛い」に疑問をぶつけたアンチテーゼだ。

ランチを抜く過度なダイエット、処方薬、整形とか色々あるし、コスメ品も試したけど変わった気がしない。「もっと可愛くなるにはどうすればいいの?」と歌った曲。

壁のポスター、スマホの中、雑誌の中ではあの顔が目に入り頭から離れない。

ある意味悲劇的な内容であるが、そう感じさせないポップに味付けをしているのがオリヴィアらしくていい楽曲だ。

つる
つる

“jealousy, jealousy”に似たテーマの曲だね

12. teenage dream

ジャジーなピアノの旋律がオリヴィアのボーカルを飾り、ストリングスが共鳴、蝋燭に火を灯すことで身体の細胞ひとつひとつが共振する。

この楽曲で語られるのは、ティーンエイジャーを卒業し未知の20代に突入した女子(オリヴィア)だ。

2:35から2:40まで聞こえる不協和音で “不安”を表し、“It gets better the more you grow”(大人になるにつれて良くなるから)で彼女の感情は爆発する。

不安と涙と怒りをあらわにした彼女の歌声からはそのように解釈できる。

それは「私のティーンエイジドリームはどこへ行ったの」と歌った”brutal”をリフレインしているかの様なもの。

でも大丈夫。最後にはうっすらと笑いが聞こえ、明るい未来が見えるのから。

「アルバムで1番印象に残っている曲は何か?」と言う質問に対し、オリヴィアはこう語っている。

最初なかかな作品に向き合うのに苦労したの。その時に1番最初に出来た曲なんです。

やはり2ndアルバムを作るプレッシャーを感じながら、自分の10代というのを振り返って懐かしい気持ちになった。

その時の想いを歌にして、すごくその時の自分を象徴しているなと思ったし、40歳とかになって振り返った時に「あ、自分の10代はこうだったな」ていうふうに思えるそんな曲になったんじゃないかなと思います。

Fm yokohama『Radio HITS Radio』2023年10月8日放送より

13. obsessed

【出典】Olivia Rodrigo – obsessed (Official Music Video)|YouTubeより

なんと言うことだ、オリヴィアはヴァンパイアになってしまった。

たくさんの女性との関係を作ってきた今の彼氏に首筋を噛まれ、元カノたちに憑依されたヴァンパイアに。

“deja vu”で歌われたオカルト要素すら感じてしまう。

この歌で歌われているのは「アンタの元カノに取り憑かれている私」だ。

タイトルにもなっている”obsessed”という英単語が意味する「〜に取り憑かれている」「〜に執着している」は、まさにその状況を表している。

詳しい解説、考察はこちらの記事から。

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14. girl i’ve always been

【出典】Olivia Rodrigo – girl i’ve always been (Official Lyric Video)|YouTubeより

アコースティック・ギターとパーカッションにヴォーカルというシンプルな構成で、ライブ感のあるレコーディング音源で展開される。

冒頭はオリヴィアと共同製作者のダン・二グロの会話から始まる。

Ready?(準備はいい)

Are you ready?(君こそ)

Yeah, I’m gonna scare you again(ああ、また怖がらせるよ)

Don’t scare me again(やめてよ)

「私は私、昔からちっとも変わっていないわ」と彼女を理解しきれていない男への皮肉のメッセージを送った楽曲。

つる
つる

陽気な気分にさせてくれるバックコーラスがまたいい!

15. scared of my guitar

【出典】Olivia Rodrigo – scared of my guitar (Official Lyric Video)|YouTubeより

多くの失恋を体験し、さまざまな感情をロック、ポップ、パンク、フォークなどの音楽で表現してきたオリヴィア。

今回はカントリー風なアレンジで、見せかけの人間関係や仮面を被った彼女の内面について歌う。

「ギターを弾くのが怖いの」と歌うのは彼女の心を映し出し、ベールをはがし考えすぎてしまうからであろう。

テキーラ
テキーラ

ギターという心の器に空いた穴、心の動揺を表す弦の動き、音の響き、自分の心に嘘をつきたくないって事かもな〜

16. stranger

【出典】Olivia Rodrigo – stranger (Official Lyric Video)|YouTubeより

アコースティック・ギターとストリングス、メジャーコードで明るく表現されているのは「成長した私」である。

「なんで寝れなかったのか、なんで涙を流したのかも忘れてしまった。あなたは、もう私を知り尽くしているただの他人なの」と歌うオリヴィア。

ある意味、彼女は彼氏に説教をしていると解釈できる。

カントリー・シンガー、ケニー・ロジャースが「The Gambler」で、夜行列車の向かいの席の男から “キャンブルを人生に例えた教訓” を教わるという歌を歌った様なものだろう。

ケニー・ロジャースの “The Gambler” (1978年)
つる
つる

コード進行もちょっと似ているね

ケルシー・バルレーニの “hole in the bottle” (2020年)
テキーラ
テキーラ

それならこれも似てるぞ

考察

「girl i’ve always been」「scared of my guitar」そして「stranger」は3つで1つの楽曲だと考えられる。

映画でいうところの全編、中編、後編みたいなもので、自分自身を理解し苦しみ、そして成長するという物語になっている。

テキーラ
テキーラ

全部アコースティック・ギターがベースになっている共通点もあるよな

17. so american

【出典】Olivia Rodrigo – so american (Official Lyric Video)|YouTubeより

アルバム『ガッツ』がリリースされてから、新たにレコーディングした最新曲。

爽快なドラミング、ガンガンかき鳴らすギターからは、興奮の冷めないオリヴィアの心の動きが表現されている。

歌われるのは「新しい恋人との新たなスタート(冒険)」である。

考察するまでもないが、これは、2023年の秋から付き合い始めたイギリスの俳優ルイス・パートリッジのことを歌っていると良いだろう。

オリヴィアと同い年だし、話も合う。歌の中では「結婚してもいい」というほど。

いったい彼女の恋愛はどうなるのか?どこへ向かい終着点はどこなのか、非常に気になるところだ。

アルバム『ガッツ』とは

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック

2023年9月にリリースされた『ガッツ』は、オリヴィア・ロドリゴの2ndアルバムだ。

解説

デビューアルバムで大成功を起こし、2年ぶりに発表したの2ndアルバム『ガッツ』。

全米、全英でアルバムチャートでナンバーワンになり、シングル「vampire」も全米チャート初登場で1位に輝いた。

リリース直後には、プロモーションのために初来日を果たした。

オリヴィアはアルバムについて、こう語っている

私にとってこのアルバムは「成長痛」(成長する痛み)と自分が何者なのか見極めようとすることについて書いたものなの。

18歳から20歳の間に10年分は成長した気がするし、不器用で変化の激しい時期だった。

でもそれは全て成長の自然な一部だと思っているし、このアルバムにはそれが反映されていると良いんだけどな〜

Fm yokohama「Music Rumble」2023年10月6日放送より

またデビューアルバムが17、18歳のときに製作したものだけれど、20歳になってからの変化や違いについて質問された際にこう返答している。

確実に自分が成長しているなと実感しているし、それが現れている先品だと思っています。

17歳の時と20歳の時とは全然人間としても人としても違いますし、そして歳とともに自信がついてきたと思うんです。

今回の『ガッツ』って言うのはまさに私の直感であるとか、それを信じて、自分がこのサウンドが良い、この歌唱を伝えたいと言うものを自信を持って作れた作品になっています。

Fm yokohama『Radio HITS Radio』2023年10月8日放送より

2024年2月から「GUTS World Tour」が始まり、3月には『ガッツ(スピルド)』をリリース。

アナログ版のみに収録されていた隠しトラック4曲に加え、アルバム発売後に新たにレコーディングされた「so american」を追加した計5曲をラインナップに加えたデラックス・アルバムになっている。

つる
つる

英語で “to spill one’s guts”(本音/本当のことを話す)っていう意味もあるよ

プロモーション来日の際「詳しい日程は決まっていないけど、必ず日本に戻るわ」と話していたオリヴィア。

有言実行をする彼女は、一夜限りのコンサートを有明アリーナで行うことが決定した。

【出典】オリヴィア・ロドリゴ Olivia Rodrigo 日本公式アカウントX(@olivia_jpn)より

まとめ:『ガッツ』を全曲解説・レビューしてみて

2ndアルバム『ガッツ』、前作と同様に「失恋」を歌ったサッド・ソングが大半を占めているが、今回はロック色全開に染まっている。

そして大きく変化したのは、彼女のソングライティング力だ。

「Lacy」では完璧な女の子への憧れから恨みへ変化する心理状態を描いていたりと、成長している点も見られる。

様々な時代の楽曲から影響を受けているので、サンプリングしていると思われるが、オリヴィアのアレンジを加えることで論理的に語れない面白い化学反応が起きているのが最高だ。

『Radio HITS Radio』の独占インタビューで述べている様に、サウンド面ではオルタナティヴ・ロックを探究・追求したと言っている。

さらに詩を読むことが好きなので「詩」からの影響、映画や本からもインスピレーションを受けていると語っている。

まさに「logical」では語れないと言うものだ。

「all-american bitch」で始まり「so american」で終わる。

論理的には語れないが、オリヴィアは全て計算づくしていた。

そんなロックアルバム『ガッツ』を皆さんにも体感してほしい。

このように日々洋楽の魅力をお届けしている。

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それでは洋楽を楽しみましょう。

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音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから次世代の小林克也を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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