【ライブレポート】ガンズ・アンド・ローゼズの一夜限りの来日公演「Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things」に行ってきた感想

アメリカの最も危険なヤバい奴らガンズ・アンド・ローゼズが2年半ぶりに帰ってきた。「Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things」というめちゃくちゃ長いツアータイトルのワールドツアーは全券種ソールドアウトで追加公演もない特別なもの。韓国から始まり、ここ横浜にあるKアリーナ横浜は同ツアーの2公演目。本記事では、そんなガンズ・アンド・ローゼズ(以下:ガンズ)のライブの様子をレポートしていく。
- 開演前のKアリーナ横浜の様子
- いよいよKアリーナ横浜内に入場
- ライブ開始
- “Welcome To The Jungle” で幕を開けるツアー
- 本ツアー初披露の “You Could Be Mine”
- ダフのメインパートでは”Thunder And Lightning”が披露
- メンバー紹介〜スラッシュのギター・ソロへ
- “Sweet Child O’ Mine” と “November Rain” の2大パワー・バラードへ
- “Wichita Lineman” と “Patience”のアコースティック・ナンバー
- “Hard Skool” と”Nightrain” と2曲連続ハードモードへ
- アンコール開始
- アンコールの始まりは”ABSUЯD” と “Madagascar”
- ラストはやはりあの曲
- 開演後のKアリーナ横浜の様子
- GUNS N’ ROSES Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things JAPAN TOUR 2025のセットリスト(2025年5月5日(月) Kアリーナ横浜)
- まとめ:記憶に残る一夜限りの特別なライブ
開演前のKアリーナ横浜の様子


快晴に恵まれた5月5日(月)、私は12時30分に本日の会場であるKアリーナ横浜に到着。正面入り口には毎度のことギャラリーが出来ており、お客さん同士で写真を撮り合っている方もチラホラ伺える。ゴールデンウィークの後半にも関わらずあまり人がいないかと思いきや、その横には無数の行列ができていた。
グッズ・物販の様子

私個人は前回Kアリーナ横浜に来たのは2月のグリーン・デイ以来で2度目なのだが、その時よりも列がとてつもなく長い。販売開始13時よりも前というのに階段横の街灯のあるところまで並んでおり、推定1万人はいるんじゃないかという規模。

1番混んでる時は、折り返しの列が正面入り口まで出来ていたな

13時10分になるとやっと10mほど動き出しはじめ、徐々に動くものの30分で正面入り口の横一辺から景色は変わらず。ここだけで2列編成の列は10往復出来ており、Kアリーナの階段付近まで途絶耐えることがない。
約1時間後の14時7分にやっと横まで移動ができたのだが果てしない。ただ待ち時間中は場外に設置されているスピーカーからガンズの曲が流れているので、興奮は冷めやまない。





なんだかんだ列がテントの前までいき購入ができたのは15時30分。すでに西陽が差し水も無しで3時間もほぼ立ち往生の行列に並ぶのはなかなかキツかったが、売り切れ寸前で欲しいものが購入できたのはラッキーだった。

サンプルを手に取る人でごった返しなかなかの混雑具合だったな〜

ネットの販売もあるのにも関わらず凄い行列だったのは我ながら驚いた。やはりライブ中にツアーグッズは身につけたいという思いの方も多いのだろう。
購入したグッズのレビューは「【レビュー】ガンズ・アンド・ローゼズの来日公演で購入したグッズ紹介まとめ【Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things】」に詳しく書いているので、合わせて読んでいただけると幸いだ。

15時30分時点のガンズのグッズ物販の状態です。
— つるミュージック@洋楽専門ブロガー (@tsurumusicblog) May 5, 2025
ご参考までにどうぞ!#GunsNRosesTour #ガンズ・アンド・ローゼズ pic.twitter.com/8JhPctGwsR
Kアリーナ横浜周辺とGuns N’ Rosesのファンの様子

ファン層はけっこう広く、上は70代くらいから下は10代で男女の比率6:4くらい。中でも50〜60代の層が物凄くあつい印象だ。1番驚いたのは9割の人がガンズのTシャツを着ていることで、前回までのツアーTシャツ、レプリカなどデザインは様々。その中にはロック魂を忘れていない車椅子の方や松葉杖をついている人もいたり、スラッシュやアクセルの仮装をする人、映画『ターミネーター2』のジョン・コナーの友達と同じマレットヘアーにしている方などたくさんいる。また、一夜限りの公演というのもあるからか外国人の方も多く様々な言語が飛び交い国際色豊かだ。
中にはMR.BIGやローリング・ストーンズ、ボン・ジョヴィ、エクストリーム、オアシスのTシャツやグリーン・デイのキャップをかぶった方などもおり、音楽趣味嗜好が似ていることもその見た目からうかがえる。


また会場のすぐ隣には屋台もあり、階段に座り食事をしたり、駅方面まで戻り「横浜ベイ・クォーター」のレストラン街で時間を潰す方や当日券の列に並ぶ方など、各の時間の過ごし方をしている。
いよいよKアリーナ横浜内に入場


開場時間16時30分になると先ほどよりも沢山の人でいっぱい。入り口では入る前に自撮りをする方も大勢いた。私はゆっくり目に17時10分過ぎに入場すると場内はSEが流れるなか、ガンズの象徴である銃と薔薇にショップ限定のQRコードが表示されている。
【Kアリーナ横浜】
— つるミュージック@洋楽専門ブロガー (@tsurumusicblog) May 5, 2025
やっぱりライブ会場に入る時のこの異空間。たまらんのよな〜
嵐の前の静けさというか、まさかこの後想像以上のジャングルになるとは思っていなかった。#ガンズ・アンド・ローゼズ #GunsNRoses #GunsAndRoses pic.twitter.com/9ssYmCuGIG

それにしてもゴールデンウィークということもありお客さんの入りはとても多い。
サマーソニックやラウドパーク、ダミアーノ・デイヴィッドのツアーやマライア・キャリーの広告が流れ、再びガンズの広告に戻るのだが、その音だけでもズシンと響きがすごい。Kアリーナの音響設備には改めて驚かされる。
さて肝心のステージなのだが、中央のドラムの両サイドからスモックが焚かれキーボードとハモンドオルガン、パーカッションが設置されている。ステージ自体はシンプルな作りだがドラムには4段の階段があり歩き回れる構図だ。
17時45分の時点で9割くらい埋まっている印象だろうか。まだ空席が一部見られるのだが、今か今かと始まるのを待つお客さんたちでいっぱい。

開演時間18時に機械仕掛けの十字架が登場。SEの曲に合わせて頭の大きな赤い小人たち?が現れ、ヘッドバンギングをしたり手を振ったり踊ったり十字架を取り囲み拝む映像が流れ出す。さらに十字架に埋め込まれたモニターがクローズドアップされ、日付と現在時刻が刻まれる映像や、”GUNS N’ ROSES YOKOHAMA”の文字が書かれた文字が登場。その中には本日のオーディエンスが映し出される。

まだ始まる気配がなく、たまたま隣の席の人と会話になったのだが「今まで3回行ったことがあるし、アクセルは遅刻常習犯だからまだ来ないよ。」との情報を交換。どうやら過去の経験上、時間通りに始まることはないそうだ。確かに来る気配は全くないのだが、18時9分に一度ギターのサウンドチェックが行われると歓声でドットわく。


時間が経過するごとに変化があり、アクセル直筆のツアータイトルがアニメーションになって登場したり、十字架も生き物のように内側から強い光が差し出していく。
場内からは手拍子や「アクセル〜」という声もあるがまだまだ出てこない。いや、むしろこの映像を見る時間もお楽しみの時間演出なのだ。しかし、16分過ぎた頃にダフ・マッケイガンの愛妻スーザンさんの姿も見えた時にはスタンド席からは歓声が聞こえる。
ライブ開始

18時20分、場内は急に暗転。オープニングは機械仕掛けの十字架に銃とバラが組み合わさりガンズのロゴがトランスフォームする展開へ。SF映画のように発信音を放ち「ご紹介しよう!紹介なんていらない伝説のバンドだが――あえて言わせてもらう!ガンズ・アンド・ローゼズ!」と野太いアナウンスに合わせて、十字架の中央にあるガンズのスピーカーの中へと誘われ、20分遅れでショーがスタートした。
“Welcome To The Jungle” で幕を開けるツアー

“ジャカチャ、ジャカチャ”とスラッシュの弾くリフで会場からは歓声が響く。なんと今回は「Welcome To The Jungle」でスタートした。いつもならば「It’s So Easy」が定番なのだが、いきなりガンズの代名詞であるこの名曲をぶっ込んでくる大胆さには驚かされた。上手側から登場したアクセル・ローズは両手にマイクスタンドを持ち、ステップを踏みながらステージを行き来し歌い始め開場を沸かせると、歌いながら飛び跳ねる人、拳を突き上げる人など冒頭から大盛り上がり。
アクセルは腰をぬるっと動かしながら「My serpentine, oh トウキョウー, I Wanna Hear Your Scream」とまさかの東京コールをするが、最後の「You Know Where You Are」では“ヨコハマー!”と言い直し愛らしい一面を覗かせた。

間髪入れずに始まるのは「Bad Obsession」で、青と赤を基調としたステージにはメリーゴーランドのようにキラキラ回転するバンドロゴが映し出され、野太いアクセルの声が空気を振るわせ場内を沸かせる。ブルーズを基調としたこの曲でも彼はステージを歩き回り、サングラスをずらしこの日初めて素顔を見せる。

バックボーカルにダフとシンセサイザーのメリッサ・リースの声もありワイルドさと美しさの調和がとれている。

アクセルの「グッドイブニング、また会えて嬉しいぜ」と一言添え始まるのは「Chinese Democracy」。荒々しいリフはスラッシュのBC. Richの10弦ギターから奏でられ、新ドラマー、アイザック・カーペンターのシンバルのカウントでヴァースが始まると、モニターにはオープニングで流れていた赤い小人たちが拳とハンマーで叩きつけられ吹っ飛ばされては這い上がる、というなかなか過激な映像が流れるのだが歌の内容とリンクしている。

一方で新旧ガンズは息が合いまくっており、そのまま「Slither」へと続く。こちらはスラッシュとダフがかつて所属していたバンド、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーからのナンバーで、2018年からライブで披露されているものだ。オーディエンスからは”Hey”との掛け声に合わせ拳を突き出し、雄叫びを響かせる一体感が生まれる瞬間もあった。また下手側でアクセルが手を振るっており、近くで拝めた方は気絶したに違いないだろう。

縦持ちのギターソロ見た瞬間、カッコよすぎて鼻血出たわ
ゆっくりとお辞儀をするアクセル・ローズ。黒の無地のTシャツにレザーパンツ、ブーツ、そしてネックレスと指輪、ブレスレットの装飾という今日の服装からも彼の何にも染まらないロック一筋の貫禄は一級品。ベテランならではの余裕がオーラから感じ取れるのだ。

「イカしてるじゃねぇか、ここはよ!」とアクセルのコメントの後、ピアノの伴奏で始まるウイングスのカバー曲「Live And Let Die」では、本日最高潮のロングトーンのシャウトを見せつけ、歓声であるれるKアリーナ横浜を完全に支配している。えげつない盛り上がりだ。

その後「Mr. Brownstone」「Estranged」と初期のヒット曲を演奏。「最高の気分だ、調子はどうだ」と曲の合間に投げかけるアクセル、彼の紹介から始まるピアノのソロでは、背景に映し出されるブルーオーシャンに魚たちが泳ぐ姿と相まって、その音色と映像美に身も心も透き通り、爽やかな気持ちになるのだ。
本ツアー初披露の “You Could Be Mine”

さて、一気に過去にタイムスリップすると「You Could Be Mine」が始まる。映画『ターミネーター2』でお馴染みのこの曲、実は韓国公演ではカットされていたものなのだが、ドラムのイントロを聴いた瞬間に私の隣にいたファンも思わず「フォー!!」っと喉が潰れるくらいの歓喜の声をあげ、360度待ちわびていたファンで大盛り上がりになった。


真っ赤なBC.Richのワーロックのアーミングはマジでヤバかった!

間髪入れずにリズム隊の伴奏とダフ&スラッシュの伴奏が始まると、スラッシュはリズミカルに一回転したあと華麗なダックウォークを披露。野太いアクセルの声で始まるのは「Double Talkin’ Jive」だ。ブルーを基調とした照明の中、リズムに合わせて背景のジュークボックスが動き出し、ギターソロから迷宮の中をぐるぐると駆け巡る演出も臨場感あふれていて素晴らしい。

アウトロのスラッシュのジェシカから奏でられる高速のギターソロは凄すぎてただ呆然とすることしか出来なかったよ。
「Knockin’ On Heaven’s Door」のリフが流れると同時多発的に湧き上がる歓声が会場を包み込む。ボブ・ディランの名曲をハードロックに落とし込み自身の解釈を入れ込んだアクセルの表現力に対して、我々オーディエンスは男泣きしてしまうほど感動的だ。演奏中は各々スマホのライトをふわりと左右に振り夜空に輝く星々を作る。

天国へつながる階段に天使の羽根の演出にダフとメリッサのバックボーカルが立体感を生み出し、アクセルの”Knockin’ on Heaven’s Door”のコールアンドレスポンスに体を左右に揺らしながら指揮をとると大合唱。一体感を増したKアリーナは文字通り”Heaven”になった。

ノンストップで続くのはピアノの伴奏で始まる「Perhaps」、こちらはガンズの最新曲で日本ではこの日初めて披露された。「Coma」では声が若干掠れそうになるものの、ファルセットをうまく効かせ、ラストの叫びまで歌いきると拍手喝采。アクセルの男気に乾杯なのだ。
トーンダウンした歌声が魅力の「Sorry」は『チャイニーズ・デモクラシー』からのナンバーで、ディレイの掛かったアクセルの声が山彦のように響き渡ると会場の前後で共鳴する。
歌い終わるとアクセルは「ちょっと違うバージョンで歌った。正直いうと、ちょっと歌を忘れちまったんだ。そういうこともあるよな、分かるだろ。やり切ったぜ」と本日1番長いコメントを挟む。


小休止を入れて始まったのは「It’s So Easy」と「Rocket Queen」と2曲続いて『アペタイト・フォー・ディストラクション』から披露、ワル剥き出しの前者では “F**k Off”と語りのシーンで中指を立てたり、スラッシュはセンター・ポジションで寝そべりながらソロを演奏したりと最高のシーンを見せつけた。

後者ではアクセルはペイズリー柄が描かれたレザージャケットを羽織り登場。スラッシュとリチャード・フォータスの交互に披露されるギターソロや掛け合いも一級品で見どころ満載の演奏に度肝を抜かれる。怪しげなブルーとパープルカラーで満たされるKアリーナは野獣の住処と化しているのだ。


ダフのメインパートでは”Thunder And Lightning”が披露

アクセルのパートが終わりダフにバトンが渡されると「誕生日おめでとうスーザン!!」との一言を添え「Thunder And Lightning」がサプライズ披露。スーザンさんもステージ袖で踊っているのをこちらはシン・リジィのカバー曲でパンクでドライブ感のあるのが特徴的、赤を基調としたステージには稲妻マークが5つ映されたり、骸骨の火の玉が急降下してくる映像がスピード感溢れる。


リチャードとスラッシュの高速ギターソロも正直何が起こっているのか分からないくらい演奏技術がすごいのだが、アイザックのぶっ飛びすぎてニコニコしているシーンには共鳴するグルーヴを感じすぎた。

曲は知らなかったけど “Like thunder and lightning”っていうコーラスはその場のノリで歌えた!


再びアクセルのパートに戻ると「Better」と「Don’t Cry」が続く。前者はダフの余韻がまだ残っているのもあってか、冒頭のドスの効いたベースの重低音が脳裏に響き渡るのだが、終盤にはメリッサのバックボーカルもありバランスよく中和される音色に幸福感が満たされる。

後者はイントロから歓声の声でどっと湧き、再びスマホのライトを点灯し左右に振るという場面があったり、拳を突き上げたりしている方を多く見受けられ大盛り上がりだ。

最後アクセル結構声でてたよな〜
メンバー紹介〜スラッシュのギター・ソロへ
ここでアクセルによるメンバー紹介が行われると、その流れでスラッシュのブルーズリスペクトのギターソロ・パートに移る。ガンズ自体もエアロスミスに影響を受けているしブルーズが基盤にあるのは間違いないが、スラッシュは最近ソロでブルーズ・アルバムを出していることもあって、めちゃくちゃカッコいいグルーヴがまたいい。

ギターソロにはスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルやフレディ・キング、アルバート・キングの楽曲の他、ヘンリー・マンシーニの「ピーター・ガンのテーマ」などを巧みに組み合わせたメドレーという耳が喜ぶリストが並んでいた。
“Sweet Child O’ Mine” と “November Rain” の2大パワー・バラードへ

ギターソロのアウトロの延長で「Sweet Child O’ Mine」のリフに繋がると歓声が再び沸き起こる。う〜ん、やっぱりこの展開の持っていき方はオシャレ。ドクロと薔薇、弾丸が飛び交うモニター映像に美しき音色が360度響き渡る場内に、サングラスをしスパンコール付きのネルシャツを羽織り登場したアクセルは照明に反射しキラリと光輝く。この漢、魅せ方も一級品だ。流石に短パンは履いていないものの、昔から着ているネルシャツは大のお気に入りなのだろう。

”GUNS N’ ROSES YOKOHAMA”という文字を残し、拍手や指笛、「アクセル〜」という歓声に後押しされ始まるのは「November Rain」。アクセル・ローズが長年温め続け完璧を追求した史上最高のロック・バラード・ナンバーだ。

冒頭のピアノ伴奏を聴いた瞬間に「フォーッ」と歓声と拍手喝采、歌い始めるとオーディエンスは体を揺らしながらじっとピアノマン、アクセルを見つめる。そう、ただ全身でこの曲を世界観を感じていたいのだ。


スラッシュのギターソロ聴いたらPVのチャペルが浮かんできたよな〜
“Wichita Lineman” と “Patience”のアコースティック・ナンバー

パワー・バラードの後は余韻を残しつつ、アコースティック・ナンバーへと突入。アイザックの「1,2,3,4」のカウントで始まるのは「Wichita Lineman」という曲。カントリーシンガー、グレン・キャンベルの曲でガンズ好きにはあまり馴染みはないのだが、最近のライブではよく披露されているものだそう。近年原点回帰としてカントリー・ソングを歌う方は多いのだが、ガンズも例外ではないそうだ。


まるでベッドルーム・セッションのように階段に座りながら演奏する2大巨匠も最高の演奏をみせ、リチャードのグレッチのギターから響かせる倍音はスパイスが効いていてグッとくる。

透き通る口笛が印象的な「Patience」は本公演において『GN’Rライズ』から演奏された唯一の楽曲だ。後半の大合唱や腹の奥底から振り絞って出されたラストのロングビブラートはアクセルのロック魂を感じとれ、オーディエンスは反射的に拍手を送り返す。この漢、やはり只者ではない。
“Hard Skool” と”Nightrain” と2曲連続ハードモードへ


続く「Hard Skool」と「Nightrain」と新旧ハード・ロック・ナンバーが立て続けに演奏される。あの感傷的なビブラートの後にいきなりシャウトしてくるとは変幻自在。途中コーラスのタイミングがズレてしまう場面もあったが、これもライブの良さ。「Sorry」を歌っていた時と同じことだ。

スラッシュとも指差しで合図送ってたよね。

「Nightrain」に関してはリフが始まる時点で歓声がとんでもないことになる。これは初参加の私にとっては予想外で「Welcome To The Jungle」に勝るとも劣らないすごい盛り上がりで、”I’m on the Nightrain”というコーラスでは拳を振り上げ大合唱、ガンズという名の”ナイトレイン”に会場にいる2万人のオーディエンスは酔いしれてた。

ネオンギラギラのジェットコースターの映像も疾走感があって酔い止めが必要なくらいクラクラだったぜ!

「センキュー!ヨコハマ!グッナイ!」とドスの効いた魅惑の低音ボイスであいさつがあると、21時1分に一旦後半戦が終了する。
アンコール開始

暗転した会場、オーディエンスにはブルーの照明がサーチライトのごとく差し込み、”GUNS N’ ROSES YOKOHAMA”という文字が残されているステージ。この時点で2時間40分ずっと立ちっぱだったこともあり、座る方もいるのだが手拍子や拍手、「アクセ〜ル!!」といった歓声は鳴り止まない。四方八方から無数の音が飛び交うこの光景はまさに”ジャングル”なのである。
アンコールの始まりは”ABSUЯD” と “Madagascar”

ラブコールが届いたのか21時3分、意外と早いアンコールが開始される。冒頭を飾ったのは「ABSUЯD」という2022年に発表された楽曲。この曲ですごいのは効果音で流れるアクセルの叫びと”ABSUЯD”と叫ぶ生の歌声が混ざり、Kアリーナの反響具合が半端ないこと。このアリーナの凄さに改めて驚かされる。

続く「Madagascar」は逆に叫ぶシーンは少ないものの、ダフとスラッシュが向かい合った状態でソロを弾く場面でキング牧師の演説が流れ、文字おこしがされ凝った演出にも心奪われる。

アクセルがスラッシュに近づいた時に “Wow” って驚いた声入ってたね
ラストはやはりあの曲

「今日はマッケイガン夫人、スーザン・ホームズの誕生日だ。みんなで祝おうぜ。今年彼女は誕生日を2回迎える。1つは日本の誕生日、もうひとつはアメリカでの誕生日だ。」(時差があって2日間誕生日があるという意味)とアクセルのMCがあり、オーディエンスからはお祝いの歓声が響き渡ると始まったのは「Paradise City」。


ドラムに合わせて手拍子が巻き起こるとコーラスではパーティ状態、「パラダイスシティへ連れて行ってくれ」とはまさにこの事。アクセルは走り回るだけでなく、マイクスタンドを両手に持ちリズミカルにグルグルと周り最後のハイトーンビブラートも絶好調。バンドとオーディエンスでその名の通り”楽園”を作り出した。

「ヨコハマ、ジャパン!グッド・ファッキン・ナイト!」と一言最後に添え演奏が終了すると、一旦舞台袖に消えるのだがバンドはステージ中央に再集合。アクセルは日本ご当地もののレザージャケットを着て登場、見てくれと言わんばかりに背中のデザインを見せびらかすお茶目なロックスターの一面を垣間見えた。


一方深々と一礼した後はアクセルとリズム隊は手を振り早速さに帰ってしまうのだが、スラッシュとダフはそれぞれ上手側と下手側に移動し、持ち合わせたピックを何枚も投げてくれた。
21時23分、3時間に及ぶスーパー・ロック・ショーは幕を閉じた。
開演後のKアリーナ横浜の様子

祝日ダイアの電車のこともあってか、終演後は余韻に浸るというよりも早速さに帰る方が多い(実際アンコールの前に帰ってしまう方もちらほらいた)。ただ私はこのジャングルを少しでも感じていたい。約5分ほど余韻に浸りながら会場を後にした。


帰路に向かう中「歳あんまり変わんないのにみんな元気だな〜」、「ドラムの人すごかった」「セットリスト良かった」など各々感想を語り賑やかなKアリーナ横浜。一体、普段どこに潜んでいるのか分からない野生のロック好きたちが一同に集結した横浜の街には最高のグルーヴが流れていた。
GUNS N’ ROSES Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things JAPAN TOUR 2025のセットリスト(2025年5月5日(月) Kアリーナ横浜)
項目 | 曲名 | 収録アルバム |
1 | Welcome To The Jungle | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
2 | Bad Obsession | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
3 | Chinese Democracy | 『Chinese Democracy』 (チャイニーズ・デモクラシー) |
4 | Slither | 『Contraband』 (コントラバンド) |
5 | Live And Let Die | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
6 | Mr. Brownstone | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
7 | Estranged | 『Use Your Illusion Ⅱ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ) |
8 | You Could Be Mine | |
9 | Double Talkin’ Jive | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
10 | Knockin’ On Heaven’s Door | 『Use Your Illusion Ⅱ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ) |
11 | Perhaps | 『Perhaps』 (パハップス) |
12 | Coma | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
13 | Sorry | 『Chinese Democracy』 (チャイニーズ・デモクラシー) |
14 | It’s So Easy | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
15 | Rocket Queen | |
16 | Thunder And Lightning | 『Thunder and Lightning』 (サンダー・アンド・ライトニング) |
17 | Better | 『Chinese Democracy』 (チャイニーズ・デモクラシー) |
18 | Don’t Cry | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
メンバー紹介 | ||
ギターソロ | ||
19 | Sweet Child O’ Mine | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
20 | November Rain | 『Use Your Illusion Ⅰ』 (ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ) |
21 | Wichita Lineman | 『Wichita Lineman』 (ウィチタ・ラインマン) |
22 | Patience | 『GN’R Lies』 (GN’Rライズ) |
23 | Hard Skool | 『Hard Skool』 (ハード・スクール) |
24 | Nightrain | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
アンコール | ||
25 | ABSUЯD | 「ABSUЯD」 |
26 | Madagascar | 『Chinese Democracy』 (チャイニーズ・デモクラシー) |
27 | Paradise City | 『Appetite For Destruction』 (アペタイト・フォー・ディストラクション) |
まとめ:記憶に残る一夜限りの特別なライブ

私がガンズを知ったのは、PS2のゲーム『グランド・セフトオート・サンアンドレアス』のCMで「Welcome To The Jungle」を聴いたのがきっかけ。一度聴いただけで記憶に残る、ビビッと電気が走るような衝撃を受けたのは今でも覚えている。
その後ガンズは全アルバムを聴きカラオケでもシャウトしまくるほどハマったのだが、何だかんだで今日が初めての参加だ。やはりどんな良い音源で聴こうが生で見るのは全く別物。五感で感じるとはこういうことなのだ。
ここKアリーナ横浜に来るのはグリーン・デイのライブ以来なのだが、音響設備はすごいなと改めて感じた。耳が詰まった感じというか、少なくともあのジャングルにいたら副反応は起きてもおかしくはない。

63歳のアクセル・ローズとダフ・マッケイガン、ツアー中に60歳を迎えるスラッシュのオリジナルメンバーは年齢を感じさせないパワフルさは健在。次また来日があれば、あの空間にあの場所へ、パラダイス・シティへ行きたい。





