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【第3回】ガンズ・アンド・ローゼズ「November Rain」を歌詞の意味を独自徹底解説【洋楽名曲解説】

Guns N' RosesのNovember Rain【洋楽名曲解説】
axlcity
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11月の雨の日、そんな肌寒い季節に聞きたくなるロックの名曲があります。

ガンズ・アンド・ローゼズの「November Rain」

美しさの中に過激さも含まれており史上最高のロックバラードと言われています。

第3回目は、そんなガンズ・アンド・ローゼズの名バラードがなぜ今でも愛されているのか解説を交えながら考察していこうと思います。

つる
つる

「誰が、いつ、何が、どうして、どうなった」

曲の背景を知ると洋楽をもっと楽しめます

@tsurumusicblog

この記事でわかること
  • 曲の意味、背景
  • ミュージックビデオの考察
  • 歌詞からみる考察
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Guns N’ Roses の「November Rain」とは?

概要

アメリカのロックバンド、ガンズ・アンド・ローゼズ(以下:ガンズ)の1991年のアルバム『Use Your Illusion I(ユーズ・ユア・イリュージョン I)』の10曲目に収録されている8分56秒と長尺のロックバラード。

前半と後半のパートに分かれており、前半ではストリングスをメインにしたバラード調で美しさを引き立てリスナーを虜にさせます。

そして6分48秒から始まる後半パートでは、ボーカルのアクセル・ローズの激しいピアノからギターのスラッシュが奏でるハイトーンのギター・ソロが化学反応を巻き起こす最高の楽曲です。

英語の意味

November Rainのタイトルの意味
単語発音記号意味
November/noʊˈvɛmbɚ/(Noun)11月、霜月(しもつき)
Rain/reɪn/(Noun)雨

英語を訳すと「11月の雨」と訳せます。

ではこの曲はどのような曲なのか、どのようにして生まれたのか見ていきましょう。

November Rain: 完成までの道のり

1983年に原型ができる

この曲の誕生は、ガンズがバンドとして結成されるよりも前の1983年にさかのぼります。

元バンドメイトであるL.A. Gunsのギタリスト、トレイシー・ガンズは、アクセル・ローズが1983年にこの曲を制作し始めたと回想しています。

彼はインタビューで次のように語っています:

When we were doing that EP for LA Guns in 1983, he was playing November Rain. It was actually called November Rain back then, on piano. The guitar solo was amazing and way back then it was the only thing he knew how to play, but it was his. And he goes “someday this is going to be really cool” and I’d go “It’s cool now” , “But it’s not done” Axel would say.

And like any time we’d be at a hotel, there’d be a piano, he’d play that music and I’d go “When are you going to finish that already?” and he’d go “I don’t know what to do with it.”

「1983年にLA GunsのEPを制作していたとき、アクセルは「November Rain」をピアノで演奏してた。

その時点では実際に「November Rain」と呼ばれており、ギターソロは驚くほど素晴らしく、当時あいつが弾ける唯一のものだったけど、奴はのものにしてたよ。

そして、アクセルは『いつかこれはマジでクールになるぜ』って言ったから、『今でもクールだよ』と返してやったんだけど、あいつは『でもまだ完成していない』って言ってたな。

ホテルにいるときはいつでもピアノがあれば、曲を演奏してて、オレは『いつ完成させるつもりだ?』と尋ねると、彼は『どうすりゃいいかわからないんだ』と答えてたよ。」

Music Enthusiastのインタビューより

出来上がる2種類のデモ曲

1986年にサウンド・シティ・スタジオで行われたデビューアルバム『Appetite For Destruction』のレコーディングが始まる中、2種類の「November Rain」のデモが作られます。

1. ピアノ・バージョン

【出典】Guns N’ Roses公式YouTubeチャンネルより

このピアノバージョンでは”I’ll just end up walkin'” を “I’ll just keep on walkin'” となっていたり、” again and again” と繰り返し歌うなど、ところどころ歌詞は違いますが、完成バージョンと聞き比べるとそん色ない出来だと思います。

のちにギターソロが入る4:55からはアクセルのピアノソロに入れ替わっていたり、ボーカル・パートをピアノで演奏するなど完全にアンプラグドな仕上がりになっています。

つる
つる

これめっちゃ良い!

テキーラ
テキーラ

ピアノ、タンバリン、ドラム、コーラスで構成されているな

2. アコースティック・バージョン

【出典】Guns N’ Roses公式YouTubeチャンネルより

冒頭のイントロ部分はフィンガースタイルのギターで演奏されており、柔らかい印象になっていて尺も5分と短くなっています。

基本的にはピアノをアコースティックに変えただけではあるのですが、音色がクラシックギターっぽさもあり心地良さを感じることができます。

個人的には秋の夕暮れに聴くのがベスト。至福の時間を過ごせます。

テキーラ
テキーラ

アクセルのガラガラな声がいいっ!

当初、「November Rain」はバンドのデビューアルバム『Appetite for Destruction』に収録される予定でした。

しかし、バンドの予算の制約やすでにバラード曲「Sweet Child of Mine」があるといった理由から、彼らは続編「Use Your Illusion」を待つことにしました。

曲へ込めたアクセルの想い

ローリング・ストーン誌でのインタビューでの発言

1988年11月ローリング・ストーン誌のインタビューではこう語っています。

“if it is not recorded right, I’ll quit the business”

「もし正しく録音されなかったら、俺は音楽業界を辞める」

1988年11月ローリング・ストーン誌より

この発言からわかるのはハイレベルの録音を実現することへの強い決意、それからアクセルが自分の仕事において最高のものをつくり届けることに対する強い意志を示していることです。

またその創作活動に対する情熱と献身を暗示しているようにも捉えられます。

ピアノがあれば弾いていたし、複数のデモを作成したし、何よりアルバムに入れたがっていた楽曲なので、想いれは相当あるとわかります。

つる
つる

プロ意識が半端ない

イメージを具現化するまでの困難

オーケストラパートは、31の異なるストリングスセクションがあり、それらを自分で表現することが難しかったためキーボードで演奏していたこともあったアクセル。

表現するのに時間もかかるし、そのイメージがうまくレコーディングできなければやめると発言したそう。

曲のイメージは昔の彼女のことを思って出来上がったそうです。

彼女なしではいられない、まるで地元インディアナ州の11月の雨の中を歩いている、木々には氷が張っている様子が浮かんできたとか。

そんなレコーディングでなかなか上手くいかないという状況と昔の彼女への想いがリンクして出来上がったとも語っています。

November Rainのミュージックビデオ

【出典】Guns N’ Roses公式YouTubeチャンネルより

この曲は、1990年代初頭から中盤にかけてMTVで最も人気のあるミュージックビデオの一つです。

つる
つる

またYouTubeでは21億回以上再生されているよ

【出典】【2022年オーケストラを新録したバージョン】Guns N’ Roses公式YouTubeチャンネルより

ストーリー

  • 結婚式・披露宴、葬式
  • コンサートシーン
  • トラウマ治療

ミュージックビデオは主に3つの場面で構成されています。

モデルのステファニー・シーモアとロックスター、アクセル・ローズの結婚式が行われる。

その後披露宴で楽しんでいるところに急に嵐がやってきて会場はめちゃくちゃになる展開へ。

そしてなぜか花嫁は亡くなり教会で祈りを捧げながら上を見上げるアクセル。

葬式をしているときも雨が急に降り棺の前で一晩中びちょびちょになるアクセル。

悲しみを歌にしてコンサートホールでオーケストラとともに演奏をするバンド。

雨で濡れた棺とその上に置いてあるバラが枯れていくシーンで終わるという内容です。

つる
つる

正直意味不明な内容ではあるのですが、チャペルの前でギターソロを弾くスラッシュは最高にイカします。

テキーラ
テキーラ

スラッシュが Huff Post Liveに出演した際に「なんで花嫁は無くなったのか」という質問に対して、「全くわからない」と答えているよな。

考察

【考察①】トラウマ治療の物語?

ベットから起き上がり薬を飲むアクセルの姿から始まります。

この時飲んでいるのはトラウマの治療をするための薬ではないかと思います。

ラストシーンで悪夢をみて飛び起きるアクセルに繋がるという点から、そのように考察できます。

【考察②】服装の変化は心境の変化

コンサートホールでオーケストラと演奏するガンズ御一行と結婚式でモデルのステファニー・シーモアと花道を歩くアクセルの結婚式が交互に映されます。

回想シーンではカップルで酒場に訪れます。

その時のアクセルの姿はライダージャケットにキャップを被り、酒、タバコを吸っています。

しかし結婚式のシーン以降は正装をしています。

しかもフリル付き。

ライブシーンでも赤いジャケットに装飾を施されたものを着ていて、エルトン・ジョンを想像させるような見た目です。

またスラッシュがチャペルを出る前と後でも服装が違います。

教会の中では胸元を広く開けたスーツ姿をしていますが、外に出た瞬間に全身レザーに身を包んでいます。

アクセルの場合は、やんちゃな奴らからまともな人間になる、家庭を築いていくというまっすぐな人間像を想像できます。

一方でスラッシュの場合は我が道をゆくというような現れ、ブレない男の象徴ともとらえることができます。

【考察③】花嫁の表情の変化からわかること

チャペルから車に乗り込む花嫁。演じるのはモデルのステファニー・シーモアですが5:15〜5:25でそっぽを見るシーンがあります。

どこか不安なのか、これから悪いことが起こるのではないかと暗示しているようにも見えます。

テキーラ
テキーラ

たった10秒のシーンだけど何かやばそうだな

つる
つる

倒れたボトルから溢れるワインは血みたいも見えるよね

ラストシーンでの花嫁がブーケトスをするのですが、それをした先が自分の棺というのも嫌な予感が的中してしまったということを表しています。

曲を元にした短編小説も存在する

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元RIPマガジンの編集者、バンド公認の伝記作家でアクセルの友人であるデル・ジェイムズ(Del James)は1995年に出版した短編集『The Language of Fear』の中で「Without You」という物語を書いています。

当時のエリン・エヴァリーとアクセル・ローズの2人の関係が物語のベースになっていて、朝4時ごろにアクセルから電話がかかってきて彼の家に行ったのがきっかけだとか。

スラッシュが語る撮影シーン

【出典】Lÿndsey Parker (@lyndseyparker) Xより

2022年「November Rain」が30周年を迎えた際の『Yahoo! Entertainment』のインタビューで以下のようにコメントをしています。

「(監督は)ヘリコプターで俺を爆撃撮影するとは言ってなかった! 俺がセットの中に立ち、自分のやるべきことをやり始めたら、ヘリコプターが行ったり来たりしているのに気づいた。ものすごいスピードで、めちゃくちゃ低空飛行だった。俺は、“ああ、今日がこの世での俺の最後の日になるんだな”って思ったよ。多分、死ぬんだろうって観念したわけだ。当時の俺は、死ぬことがあまり怖くなかった」

その他にもテレビに出演した際に「November Rain」は何についてのミュージックビデオなのか?という質問に対し。

「”I have no idea” (全然わからない)」と語っています。

また制作にはあまり興味がなく、自分の撮影シーンだけ出演したそうです。

結婚式のコンセプトに関しては、やりたいことではなかったから賛成はしなかったとも語っています。

曲の考察

歌詞からみるテーマと考察

歌詞は雨の中での悲しみと喜び、長い関係の波乱を描いています。

また愛する人との別れや過去の出来事に対する反省がテーマとなっています。

「November Rain」は、その感動的なメロディ、力強いボーカル、そして印象的なギターソロで知られ、ガンズの代表作の一つで長年愛されているのです。

つる
つる

Rain(雨)は涙の隠喩とも考えられるね

テキーラ
テキーラ

地元インディアナ州にいた彼女のこともイメージしたらしいぞ

影響

【出典】Axl Rose Inducts Elton John into the Rock and Roll Hall of Fame|Rock & Roll Hall of Fame|YouTubeより

1994年ロックの殿堂式典「Rock & Roll Hall of Fame」でエルトン・ジョンの紹介スピーチで1番インスピレーションを受けた人物と語っています。

…for myself as well as many others no one has been there more for inspiration than Elton John.

(…)

When I first heard Bennie and the Jets, I knew at that time that I had to be a performer.

「…俺にとっても他の人とっても、エルトン・ジョンからインスピレーションを受けた人物は他にいない。

(…)

初めて”Bennie and the Jets”を聴いたとき、俺は歌手になってやるって決めたんだ」

Axl Rose Inducts Elton John into the Rock and Roll Hall of Fame【Rock & Roll Hall of Fame公式YouTubeより】

最高のデュオはたくさんいるが思い浮かぶのは、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンだとも語っています。

ライブ演奏

ライブならではのアレンジ演奏

【出典】Rock History (@historyrock_) Xより

1992年東京ドームでのライブでは、アクセルの3分20秒にわたるピアノソロから始まるアレンジを施されています。

また1992年のMTVミュージックアワードではエルトン・ジョンと共演。

リリースされたばかりのアルバム『ユーズ・ユア・イリュージョンI』『ユーズ・ユア・イリュージョンII』の2枚のアルバムを彷彿とさせるアクセルの赤いジャケットとエルトンの青の衣装。

ピアノを向かい合わせにして演奏する演出で夢のタッグが実現しました。

リサ・マリー・プレスリーの葬儀での演奏

【出典】【インタビュー】Entertainment Tonight公式YouTubeチャンネルより

2023年1月12日に亡くなったリサ・マリー・プレスリー(エルヴィス・プレスリーの娘)の葬儀でアクセルは「November Rain」を捧げています。

これは生前リサが葬儀で演奏してほしいという意向があり実現したそうです。

【出典】【演奏】Entertainment Tonight公式YouTubeチャンネルより

【出典】Guns N’ Roses (@gunsnroses) Xより

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その他参考サイト

以下のサイトを参考にさせていただきました。

ありがとうございます。

ウェブサイト

【Udiscovermusic】ガンズ・アンド・ローゼズ「November Rain」はいかにして最も偉大なロック・バラードになったか?

【Udiscovermusic】ガンズ・アンド・ローゼズ「November Rain」の誕生秘話:アクセルが温め続け、時代を超えた名曲

【Barks Japan Music Network】スラッシュ、「November Rain」のMV撮影「死ぬかと思った」

【Loudwire】WHAT IS GUNS N’ ROSES’ ‘NOVEMBER RAIN’ VIDEO REALLY ABOUT?

YouTube

Rock N’ Roll True StoriesGuns N’ Roses: The Story Behind “November Rain”

Rock N’ Roll True StoriesGuns N’ Roses: Why Does the Bride Die In the November Rain Music Video!

【Loudwire】What You Didn’t Notice About Guns N’ Roses’ ‘November Rain’ Video

Guns N’ Roses Central (Fan Channel)Guns N’ Roses Documentary: The True Story Behind November Rain & The Music Video!

まとめ:これぞロックバラードの最高峰

ガンズの曲の中で最も古い曲「November Rain」の解説をしてきました。

1991年にリリースされてから32年も経っていますが、今でも愛されている名曲です。

まだ聴いたことない方、長年のファンの方もぜひ改めて聞いてみてはいかがでしょうか?

このように日々洋楽の魅力を発信しています。

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それでは洋楽を楽しみましょう!

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音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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