【第10回】ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの代表曲「I Love Rock ‘N Roll」は、なぜヒットしたのか?歌詞や時代背景から徹底考察【洋楽名曲解説】

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このカテゴリーでは主に楽曲解説にフォーカスしています。
あの曲は、何を歌っているのか?有名な曲だけど、歌詞の内容までは知らない。
なんとなく歌っていたあの曲ってそんな歌だったの、といった疑問を解決するコーナーとなっています。

楽曲解説も第10回を迎えました。
今回紹介するのは、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの1stアルバムから
“I Love Rock ‘N Roll” です。
- 曲の意味、背景、誕生秘話
- 歌詞、ミュージックビデオからの考察
曲の概要
- 1981年のアルバム『I Love Rock ‘N Roll』に収録
- オリジナルはジ・アローズの楽曲
- 1982年3月付のBillboardチャートで7週連続1位に輝いた
“I Love Rock ‘N Roll”の意味
単語 | 発音 | 意味 |
I | UK:*‘I’, ‘i’: /ˈaɪ/ US:’I’, ‘i’: /aɪ/ ,’I’, ‘i’: (ī) | (代)私は、私が |
Love | UK:*/ˈlʌv/ US:/lʌv/ ,(luv) | (他動)〜を愛する、〜に恋する |
Rock ‘N Roll | UK/ˌrɒk ən ˈrəʊl/ US/ˌrɑːk ən ˈroʊl/ | (名)ロックンロール |
【参考】WordReference.com オンライン言語辞典/Cambridge Free English Dictionary and Thesaurus
アイ・ラヴ・ロックンロール(私はロックンロールを愛してやまない)と歌うこの曲。
いったいどんな内容なのか見ていきましょう。
曲の内容
【出典】Joan Jett(@joanjett)Instagramより
ジュークボックスの隣で踊ってる17歳くらいの男子、曲のビートは高なり私の好きな曲が流れだす。そして歌うの「アイ・ラヴ・ロックンロール/ジュークボックスにダイム(10セント硬貨)をもう一枚入れて!ベイビー」とロックンロール愛にまっしぐらな主人公。
そして、お相手の彼と2人っきりになれるところでロックを歌い楽しむという物語が歌われています。
考察:なぜヒットしたのか?
3コードのみの超シンプルな構成なのにロックアンセムとして無限の力を秘める楽曲 “I Love Rock ‘N Roll”
なぜこの曲が受け入れられたのか?
いかにジョーン・ジェットをスターダムにのし上げたのか?
ひとつの要因は時代の転換期があると思います。
70年代にザ・ランナウェイズで活動していたジョーン、本国アメリカでは注目は薄かったのですがそのサウンドは日本を含む海外で人気でした。
80年代にはアメリカでMTVが登場。
ニューウェイブやニュー・ロマンティックなどイギリス勢の音楽がミュージックビデオとともに流れ始めます。
女がロックをすることにまだ抵抗的だった時代に、このようなジャンルがアメリカに進出してきたのはラッキーであったと捉えていいでしょう。
そして最初期のMTVで流れた彼女の “I Love Rock ‘N Roll” は多くの人の目につきヒットしたのではないかと思われます。
つまりMTVが彼女を再発掘したと言っても過言ではないでしょう。

もう少し時代が遅かったら、80年代後半のヘヴィー・メタル勢に打ち消されてたかもしれないね。
二つ目の要因はジョーンの声にあると思います。
シャウトをしてエネルギッシュな彼女の声、彼女の ”ロック愛”と”歌のテーマ”が共鳴することでミラクルを起こしたと考えられます。
実際プロデューサーのケニー・ラグーナは、レコーディング・セッションのものをより力強いものに録音し直したと語っています。
ミュージックビデオについて
ストーリー展開&見どころ
ミュージックビデオはジョーンの “Bad Reputation” が流れるバーから始まります。
ブラックハーツのメンバーしかいない暗い店内を全身レザーに身をまとった彼女がドアを開け入店。
「私が変えてやる」とまるで西部劇のアウトローが酒場に入る時のような佇まいがめちゃめちゃカッコいいです。
ぞろぞろと増えていく客、コーラスが歌われるとビートに合わせて皆拳をあげる。
何とも最高な光景を拝めます。
歌詞と連動するようにシーンが展開され、バーカウンターの上でギターを弾く姿は見ものです!
ミュージックビデオには「カラー」と「モノクロ」の2種類実在します。
もともとカラーで製作したのですが、ジョーンが赤のジャンプスーツの色が気に入らなかったからモノクロにしたそうです。
また1993年には映画『ウェインズ・ワールド2』のサウンドトラックに収録され、映画仕様のミュージックビデオも公開されています。
アル・ヤンコビックのパロディ
マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」(Beat It)の替え歌「今夜はイート・イット」(Eat It)などで人気を博したアル・ヤンコビック。
彼は「アイ・ラヴ・ロッキーロード」という歌をリリースしています。
ロッキーロードはチョコレート系のアイスクリームのことなのですが、ただ韻を踏むだけでなくミュージックビデオでもうまくパロってます。
「ロッキーロードが大好き、半ガロン買って来てくれないか、ベイビー」と歌うコーラスも最高です。
2022年には彼の伝記映画が公開、映画『ハリー・ポッター』シリーズで有名なダニエル・ラドクリフがアルの役を演じています。
曲の背景
オリジナルはジ・アローズの楽曲
元々はイギリスのバンド、ジ・アローズ(The Arrows)が1975年に発表した楽曲です。
リードボーカルのアラン・メリルがローリング・ストーンズの楽曲 “It’s Only Rock’n’Roll (But I Like It)”からヒントを得て作曲したと言われています。
ミック・ジャガーが歌う「ただのロックンロール」というコーラス部分に不満を感じたアランは、「俺はロックを愛してるんだ」ともっとダイレクトなメッセージを込めたと語っています。
リリースはされましたがB面に収録されたため、そこまで注目が集まりませんでした。
日をまたぎ、ジョーンがザ・ランナウェイズのツアーでイギリスにいるときに、ホテルでたまたま観ていたテレビ番組『The Arrows Show』で曲を耳にします。
これがカバーするきっかけになったそうです。
セックス・ピストルズとのレコーディング・セッション
レコーディングを熱望していた彼女でしたがランナウェイズのメンバーは曲を気に入らなかったり、すでにルー・リードの “Rock ‘N’ Roll”をカバーしていたからということもあり実現はしませんでした。
そしてバンドはそのまま解散してしまいます。
しかし、元セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズ、ポール・クックとレコーディング・セッションをします。1979年の春のことでした。
シングル『You don’t Own Me』のB面に収録されたこの曲は、ラジオ曲WLIR(現WDRE)でリリース前にもかかわらず、1981年にナンバー・ワンになります。
このバージョンをより力強いものに録音し直したのが、今私たちが耳にしているブラックハーツ・バージョンの音源です。

1993年のアルバム『フラッシュバック』(Flashback)で聴くことができるよ!
【参考】Louder: Joan Jett: the Story of a rebel with a cause
受け継がれるロックアンセム
1982年にBillboardチャートで7週No. 1に輝いたジョーンのバージョン。
シングルだけで200万枚以上売れ、RIAAにダブル・プラチナ認定もされます。
一気に知名度は増しロック史に名を残したこの楽曲は、その後も多くのミュージシャンに歌い継がれています。
以下はその一例です。
まとめ:”I Love Rock ‘N Roll”を聴いてほしい
今回はジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの ”I Love Rock ‘N Roll”を解説しました。
史上最高にロック愛を感じる歌ですよね。
私自身この曲と出会ったのは10年以上前の高校生の時で、アル・ヤンコビックの替え歌バージョンをラジオアプリで聴いたのがきっかけです。
簡単な英語の歌詞、初心者にも弾きやすいギターリフなので演奏するのにもおすすめな楽曲。今でもよく弾きます。
【出典】Joan Jett(@joanjett)Instagramより
残念ながら作曲者のアラン・メリルは2020年にコロナで亡くなってしまいました、ジョーンも追悼の意を込めコメントを残しています。
アラン・メリルが亡くなったという残念なニュースを知りました。彼の家族と友人、音楽コミュニティ全体に私の想いと愛を贈りたい。ロンドンにいたとき、ジ・アローズをテレビで見て、その音楽に衝撃を受けたことを覚えている。深い感謝と悲しみを込めて、彼が無事にあの世へ行けることを祈っています。
ロックのDNAは常に受け継がれていってます。
ジョーン・ジェットについて興味をもった方、気になる方もいると思います。そんな皆さんはこちらの記事【入門解説】ジョーン・ジェット~ガールズバンドのパイオニア〜代表曲や魅力、現在の活動を紹介〜も読んでみてください。
彼女のドキュメンタリー映画もあるのでそちらもおすすめです!
少しでも興味を持って聴いてみたいなと思ってもらえたら幸いです。
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有名な曲でも時とともに忘れ去られてしまわれないように、今私たちができることは彼ら彼女らの曲を聴き続けていくことだと思います。
また、このブログは風化されないように紹介することが役目だと思っています。
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それでは次の記事でお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEDNESDAY!!





