ライブレポート
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【ライブレポート】クイーン+アダム・ランバート来日公演2024年東京ドーム最終日、伝説を目撃してきた。

2024年クイーンのライブ・レポート、Queen + Adam Lambert live in Tokyo Report
axlcity
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2024年2月14日、Queen + Adam Lambertの東京ドームDay2最終公演へやって来た。

4日前までアメリカの女王テイラー・スウィフトが支配していた東京ドームだ。

私自身クイーンのライブは初参加、そしてクイーン自身も東京ドームでのライブは初。日本公演最大級のドームツアーを目撃してきたのでここにレポートをする。

この記事でわかること
  • 公演前の様子
  • ライブの雰囲気や演出
  • セットリスト
  • 公演後の様子
  • 物販の混雑具合
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公演前の様子

午前中から終演後の約10時間ほど東京ドームにいたのでライブの前の周囲の様子を紹介しよう。

物販の様子

私が到着したのは午前11時20分。

13日(火)の物販で長蛇の列ができていたとSNSで見たので早めに来た。

強者ぞろいのGOLDチケットの物販レーンにはすでに長蛇の列ができていた。

公演前のGOLDチケットの物販の列

私はS席だったので一般列に、11時30分に列に並び始めるとすでに長蛇の列ができていた。

テキーラ
テキーラ

東京ドームホテルの裏にある叙々苑前が最後尾だったな

見たところざっと500人以上、2列の列から途中で4列編成になった。

並んでいる人の年齢層は学生服を着た10代から上は70代くらいで、すでに今回のツアーグッズを身につけている人やポップアップストアのTシャツ、2020年の来日公演のTシャツを着ている人がいた。

続々と後に続く物販を求めるファンたち。

1時間後には列が一気に動き売り場が見える位置まで移動。

売り切れていくライブ物販 (15時頃)

販売スタッフが「ロジャーテイラーさんのグッズは完売」という声を出すたびに聞こえてくる「え〜」「ウソ〜」という落胆した女性ファンの声、この時には列の階段中央まで移動。

結局私が買えたのは13時30分ごろ、予想通り並んでから2時間はかかってしまった。

22番ゲート前のCD販売

スピーカーから流れるクイーンの名曲。

どこから聞こえてくるのだろうと周りを見渡すと、物販の販売エリアと22番ゲートの間でCDの販売をしていた。

CDを購入すると特典でクリアファイルがもらえる

後楽園駅から1番近いところには巨大モニターに予告映像が映り、タイミングを見計らい写真撮影をするファンが大勢いた。

テキーラ
テキーラ

15時45分くらいにサウンドチェックが聞こえてきて「Radio Ga Ga」を演奏してたな。

ファンの様子

にぎやかなのは物販以外にもあった。

東京ドーム初日に行った女性ファンからチケットを譲り受けるファン同士の交流の様子を目撃したり、あまりにも感動したので当日券を求める長蛇の列をみた。

それからもちろん記念写真を撮るファンも。

カップル、夫婦でバレンタインデーを選んでやってきた恋人たち。

老若男女がクイーンとアダム・ランバートを拝みにきていた。

そしてなんといっても名物であろう全力のコスプレを披露するなりきりボーイズ&ガールズだ。

そこらじゅうにいるフレディ・マーキュリーの影武者?たち

フレディとレッドスペシャルのギター(ヘッドの部分にBrian Mayと書いてあるやつ)を持った女性もいた。

70年代のクイーンのコスプレをするファン
フレディのコスプレをするミコさん(@MikofreeuQ
ロジャーとフレディ、アダムのコスプレイヤーたち

結構再現度の高い人もいれば、ライブエイドの衣装を身にまとったぽっちゃりマーキュリーもいて周辺では笑い声が絶えず、彼らを取り囲み記念撮影をするマダムたちもいた。

つる
つる

クイーンという社会現象を目の当たりにしてしまった

会場内の様子

22番ゲートにある巨大モニター

16時過ぎから混んできた会場の外、入場10分前には並んでくださいとのアナウンスが各ゲートから聞こえてくる。

17時に入場、半券を切り取ってもらい手荷物検査へ入り口にはデカデカと「QUEEN+ ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR 2024 2. 14 Wed TOKYO 東京ドーム」と書かれたモニターが3箇所に映し出されていた。

記念写真を取ろうと必死のクイーンフリークスと混雑を制御するため「あと3歩前まで進んでください」と注意する女性スタッフたちのせめぎ合いがそこではくり広げられていた。

いよいよ夢の世界へ入っていく。

R.E.M.の “Losing My Religion“(ルージング・マイ・レリジョン)やT-REXの“Bang a Gong (Get It On)” (ゲット・イット・オン)が流れるなかヒンヤリと冷たい空気が立ち込める。

つる
つる

異空間にきたような雰囲気が漂っていたよ

モニターに映し出されたのはシルバーで無機質なクイーンのクレスト、左右には扇を模した「Rhapsody Tour Japan 2024」とかかれたクレスト、上部には不死鳥が守護神のように周りを見つめている。

鉄の管やギアが時おりキラッと光る。

まるで生きているかのようだ。

席の確認のためたまたま会話した隣の席の夫婦。

なんとまだフレディが生きている頃の武道館のライブに行ったことがあるという話を聞けた。

18時に会場アナウンスが流れる中、自分の席どこかと探す観客、立ち止まって写真を撮るファン。

どんどんお客さんが入場してくる。

お、そしていたぞいたぞ、黄色のニセフレディ。

“I Want to Break Free”(ブレイクフリー(自由への旅立ち))」のロジャーのコスプレをした外国人女子2人組。

アリーナ席には浴衣姿に着替えたフレディもいた。

18時30分 再びアナウンスが流れ、その頃にはまばらだった席も埋まってきた。

「Ay-oh」をあちこちにいるニセフレディがやり出し一部で拍手喝采という光景も見える、さすがはクイーンファン。

突如始まるサウンド・チェック、ロジャーのドラムとブライアンのレッドスペシャルの音を聞いたら拍手喝采、「ワアアァァー」と沸く声。

少したち会場一部暗転し、モクモクとスモックが4箇所から出る

4 Non blonds の「”What’s Up?”(ワッツ・アップ?)」が大音量で流れその後のBGMがきれ拍手喝采が起きるが、まだ出てこず。

ライブ開始

19時14分「ゴゴゴゴゴゴ」というSFのようなSE(サウンド・エフェクト)で観客をあおる。

開演前から映し出されていたモニターの映像には雷雲の中で光る雷のような点滅を放ち出し、ドラムビートと共に無数の目を赤く光らせたマシーンたちが登場。

そして「Machines (Or ‘Back to Humans’)」で幕を開け、観客席からは大歓声。

ドームに響く「It’s a Machine’s World」「Don’t Tell Me I Ain’t Got No Soul」と歌うフレディの声に包まれ奥行きのある映像美と派手に光るビームの演出が交差する。

ブライアン・ロジャー・アダムを象徴するかのような3体のマシーンが一瞬現れる。

一瞬映った3体のマシーン

中心部にあったクイーンのクレストは崩れ落ち赤く輝く魂のような玉が出現、地球儀のように回転するそれのまわりを這い上がるマシーンたち。

そして「ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッ」とドラムビートが鳴り響き「RADIO GAGA」へとつながっていった。心臓を鷲掴みされるかのような低音の聴いたロジャーのドラムは気絶寸前にまで私を追い込んだ。

ドラムビートとシンクロするビーム
テキーラ
テキーラ

心臓が揺れるくらいの迫力あるビートだったな

アダム・ランバート登場

「RADIO GAGA」を歌いながら登場したクイーンとアダム。

アダムは戦隊モノのような衣装を身にまとい銀色に光らせるその姿は、フレディが魅せていた衣装よりも写真映えしそうなもので進化を遂げていた。

「RADIO GAGA」の1番を歌い終わり再び「Machines (Or ‘Back to Humans’)」に戻りマシーンと映画『メトロポリス』のアンドロイドがフレーム単位で入れ替わる。

正直チカチカして目には毒だと分かっていても「この瞬間を見逃したくない」という気持ちで見入った。

次の瞬間、博士サー・ブライアン・ハロルド・メイ・CBEが「 Hammer to Fall 」のリフをかき鳴らす、「ジャガジャーン、ジャン」。

3方向からの照明が彼を照らし我々は歓喜した。史上最高にカッコいい76歳だ。

「Hammer to Fall」のリフを弾くブライアン・メイ
レッド・スペシャルを荒々しく弾くブライアン・メイ

そしてコーラスではアダムに負けじとハイキー(高音域)を歌うロジャー・テイラーの姿も捉えることができた。

50年以上ロックスターをやってきているだけありオーラと深みが滲み出ている。

ハイキーを歌うロジャー・テイラー

「トウキョー、準備はいいかー!」と叫ぶアダムの掛け声の後につながるのは「Fat Bottomed Girls」

コーラス部分で「歌え、トウキョウ」と投げかけるアダム。

さらにギターソロの前にはバイクのハンドルを掴むように手を前に出し腰をグリグリ動かしまくっている。

その表情を見るとベロを出しショーを完全に支配している様子を見てとれる。

なんてこった、しかもこの時点でまだ24分しか経っていないのだ。

後半のブライアンのギターソロで彼はステージの端まで歩きながら演奏を楽しんでいるそんな表情を見てとれた。

後方へ回った後、ステージは青い照明で囲まれる。

「Another One Bites the Dust」だ。

ベースのリフを弾きながらステージの中央にやってきたのはサポート・メンバーのニール・フェアクロー(Neil Fairclough)。

彼の弾くベースに合わせて映像も波打つという面白い演出はシンプルではあるものの大画面で見ると迫力を感じた。

曲が進むにつれて映像に動きをつけ3Dのように奥行きのある形に変化をさせていた。

曲が終わると暗転。

横並びに光る2つのライトがステージ中央を照らす。

エンジンをふかす音が聞こえ演奏されたのが「I’m in Love With My Car」

ロジャーが歌いだすと観客は「ロジャー!」と雄叫びをあげる。

凄すぎる。

I’m in Love With My Carを歌うロジャー

映像は車が夜道を走るかのような演出を施し、上下する丸く光る4つの照明はヘッド・ライトを表していた。

「チャリン、チャリン、チャリン」と暗転したステージに鳴り響く無数の自転車のベルの音。

「Bicycle Race」の始まりだ。

登場したのは大量のヘッド・ライトがついたバイクにまたぐアダム。

見ての通り「Bicycle(自転車)」ではなく「Bike(バイク)」に路線変更しているのも注目点だ。

クルクルとゆっくり回転するギラギラに輝く彼のバイク?にはカメラが付いており、とにかく魅せるステージを会場全体に届けている。

俺のバイクを見ろと言わんばかりのアダム
つる
つる

カメラに向かって腰をフリフリしていたのもなかなか過激だったな〜

演奏が終わるとアダムは長い足をクルッと持ち上げバイクを後ろ向きでまたがる。

そこで「アアァァ〜イ、ワズ、ボオォォーン、トゥ、ラヴ、ユゥゥー」と得意のビブラートを披露、それと同時に会場全体が「ワアァァァー」と歓声の嵐、拍手もわきおこる。

日本でしか聞くことのできない「I Was Born to Love You」のお披露目だ。

奇しくもこの日は2月14日のバレンタインデーだ。

この日をあえて選んできたファンも多いことだろう。

後半のギター・ソロと同時にステージ上部に浮かぶミラーボールから放たれる光線は「愛の光」を表現しているようにも見えた。

曲の終わりには強烈なアダムの高音域のビブラートが東京ドームを支配した。

オレンジと赤の照明をステージに残したまま暗転。

そこで披露されたのはアメリカン・アイドルの頃を思い出させるかのようなアダムのヴォーカルソロ。

「イエェェー」「ウウゥゥー」。

アダムの声は伸びる、伸びる、どこまでも空高く。

つる
つる

鼓膜の奥までゆれる感覚を味わってしまったー

それとギターバトルをするかのようにレッド・スペシャルから聞こえるチョーキング。

ハイハット・シンバルがリズムを刻み次に披露されたのが「I Want It All」だ。

ステージ全体が炎のようにオレンジと赤の照明で演出され、バス・ドラムに合わせて心臓の鼓動のように照明が動いていた。

そして後半のブライアンのボーカルパートで青白い照明が彼を照らす。

今日1番はっきりと映った彼の余裕ある表情を見て、感動のあまり「ブライアーン」と叫ぶ女性ファンたちの歓声が響きわたる。

ロジャーの「1、2、3、4」「1、2、3、4」の掛け声で始まる高速のギターソロ。

「和」と書かれたTシャツを着てニッコリ笑顔の老紳士はステージ中央に歩いてくる。

扇形に広がる照明、最後にはギターがハモリり、曲のラストに左右それぞれ6つずつジェットフォグマシンが噴射した。

ブライアンが両手を合わせながらセンターから観客席に伸びるステージを歩く。

丸椅子に手を置き始まるブライアンのMC

ブライアン:「トウキョウのトモダチ、コンバンワァァー」

ブライアン:「オゲンキデスカー?」

ブライアン:「ホントウデス」

ブライアン:「ありがとう、ありがとう、また最高の歓迎を迎えてくれたここ東京に戻って来れてうれしい。みんな最高だ。みんな愛しているよ。」

つる
つる

「コンバンハー」って言うところ、ブライアンの声色から少し寂しさを感じたな〜

ここではブライアンが日本語を喋るたびに終始歓声が上がる。

ブライアン:「みんなは最高のシンガーだ、そうだよね」

ブライアン:「みんな英語をうまく話すよね、残念ながら僕の日本語は昔ほどうまくなってないんだけど」

ブライアン:「でもこれだけは言えるよ、イッショニ ウタッテ クダサイ」

ブライアン:「一緒に歌うよ、OK?」

12弦のギターから繰り広げられたのは「Love of My Life 」だ。

観客との距離が1番近いバラード曲、出だしからみんな歌いスマホのライトをつけ左右に触れる無数のライトは真っ暗だった会場を照らす。

まるで夜空の星のようだ。

曲の後半にはモニターに天国から遊びに来たフレディが現れる。

「ワーッ、ワーッ」「キャーッ、キャーッ」歓声が上がる。

ブライアン:「ドウモアリガトウ」

そしてこのまま「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」へと曲は繋がっていく。

日本語で歌えるクイーンの曲があると言うのは我々にとってものすごく嬉しいことだ。

意図的にセットリストに組み込まれたこの2曲の繋がりは、重要な意味をなしていると考えることができる。

モニターに映し出される映像は日本の寺をイメージしたもので、左右には門がある構造だ。

「手をとりあう2つの手」、「夜月に照らされる富士山」、「市街地」へと切り替わる。

コーラスで日本語の歌詞が現れた

ブライアンが歌い終わるとアダムが日本語で歌ってくれた、最終公演では完璧な日本語を披露。

最後の日本語パートでは会場全体が明るくなり、左右にローマ字表記と日本語表記で歌詞が映し出され、大きく手を伸ばした観客はまるで賛美歌を歌うように歌った。

曲もフルで演奏されるなかなかスペシャルな体験をすることができた。

次に流れたのはロジャーのソロの映像、1981年モントリオールでのライブ映像だ。

映像が終わると髭を生やしたイケおじのロジャーは指を刺しこう言う、

ロジャー:「Young man and Old man」(ガキんちょとジジイ)

なんとユーモアのあるロックなじいさんだ。

始まるドラムソロ、全身の毛細血管まで揺れるのがわかるくらいの大迫力だ。

無愛想に見える74歳のロジャー爺は特に何もMCをせず、一言だけこう言う、

ロジャー:「アンダァー、プレシャー」

ドラムとベースが音を刻み、観客の手拍子で「Under Pressure 」が始まった。

デヴィッド・ボウイのパートをロジャーが歌い、フレディのパートをアダムが歌う。

最後の「Pressure」の前ではアダムとロジャーが息の合った手遊びをする、ライブを最高に楽しんでいるように見える瞬間だ。

演奏が終わるとアダムによるメンバー紹介が行われる。

アダム:「レディース&ジェントルマン、ワンモアタイム!ロジャー・テイラー!」

アダム:「そしてサー・ブライアン・メイ!」

拍手と歓声がドット沸き起こる。

アダム:「そのポスター見えるかい?ミスター・セキュリティマン。すみません。それを持って来て、お客さんに見せてあげたいんだ。」

アダム:「それ、それ、早く早く。ビューティフルだ。それじゃなくて、心配しないで後で返してあげるから」

何事かと驚いたファンも多いこの瞬間、なんとお客さんの作ったポスターをみんなに見せてくれたのである。

アダム:「愛してるよ日本、ありがとう。アリガトウ ゴザイマス」

そしてこの後にブライアンがアダムの紹介をする。

公式のインスタグラムでもこの様子がアップされているのでチェックだ。

【出典】Queen official instagramより

その後に聞き馴染みにない曲が流れた。

しかしコーラス部分で気がつく「Tie Your Mother Down 」だと。

スライドバーでギターを弾くブライアン・メイ

クイーンのライブはレコード同じことをやらないと聞いていたが本当だった。

テンポをゆっくりとさせブルースやフォークのような曲にアレンジしていたのだ。

曲の中盤から通常通りのロックチューンに切り替わる。

テキーラ
テキーラ

よく見るとブライアンはスライドバーをギターストラップから出していたな

アダム:「もう少しクレイジーな気分にならないかい、僕はそんな気分だ。COOL、COOL」

と言うアダムの掛け声の後に流れるのは「Crazy Little Thing Called Love 」

Motorbikeシーンのブライアン

ステージの照明はピンク色の照明で囲われ「愛」と「バレンタインデー」を表しているように感じ取れ、中央の青い照明はクールさを見せている。

歌の最後アダムはマイクを持つ右手を大きくグルグルと回し、腰をふる姿はエルヴィスの様に見えなくもない。

暗転、スプリンクラーの様に広がる光線の演出。

霧のたつ夜道を歩くような雰囲気を出しているなか聞こえてくるのは美しいフレディの声。

歌っているのは「You Take My Breath Away」の冒頭部分だ。

虹色に美しく光る光線とスモックが空に浮かぶ雲のように選出され、まるで天国のようだ。

そしてここで歌われたのが「Who Wants to Live Forever」

モニターには一切映像は映らずライトと光線のみでフレディに呼びかけているような演出を施している。

暗転しブライアンのギターソロが始まる。

ブライアンの背後には宇宙空間が映し出され惑星の上に立っているという博士ならではの面白い演出。

流れ星が降りそそいだときに弾き始めたのは「さくらさくら」

拍手と笑いと「おおぉ〜」と言う声が会場全体で飛び交う。

後半はドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』を弾く。

我々にとっては「遠き山に日は落ちて(家路)」で馴染みのある楽曲だ。

チョーキングするたびに背景の星も動くという演出も見事であった。

そして彼岸花の様に赤く光る無数の光線が観客席めがけて光だす、ここでは「Brighton Rock」のフィードバックを聴かせてくれた。

背景にはカウントダウンをするように時計が映し出され、我々の地球がだんだんと緑を失い石化するという映像が流れる。

環境破壊に対するメッセージが込められているのである。

ここでアダムが歌い出したのが「Is This the World We Created…?」

アダムとブライアン

一本の大木から葉っぱが散っていく映像が流れアダムとブライアンのレッドスペシャルを元にして作ったアコースティックギターが美しく融合する。

手グセなのかアームが付いていないのにアーミングの動きをするブライアンを確認することができた。

シンセサイザーの低音とブライアンのギター、水面に一滴水てきが落ちるような一音を発する。

聞こえてきたのは「It’s a Kind magic」と口ずさむフレディの声。

「A Kind of Magic 」の始まりだ。

七色に輝くステージはまるで打ち上げ花火の様。

ミュージックビデオに登場するアニメーションのメンバーたちが映像に映し出され踊り出す。

アダム「感じるかい?トウキョウ」と問いかける。

反応する観客一同!

狙いを定めるために右手で目元を覆うブライアンはセンターから観客席へと向かってくる。

「マジック」と4回歌う合図で出たのはブライアンの打ち上げ花火だ。

「ドカーン!!」

ギターソロと同時に出るロケット花火

ブライアン砲は全3発。

本来ならギターの先端から発射されるのだが、東京の消防局の許可が降りなかったのだろう。

背後から打ち上がるという違う演出になっていた。

【出典】Brian Harold May Instagramより

つる
つる

本来ならこの演出を見ることができたんだけどね

ただしこの曲で一気に会場は魔法にかけられた。

まるで某夢の国にいるようだ。

そしてこれでもかと言わんばかりに、曲の最後ステージ中央には、計20個の花火が同時に打ち上がった。

この時点で20時45分、ライブもだいぶ後半になってきたころ。

アダムがサポート・メンバー達を紹介してくれた。

アダム:「ああ、なんて最高なお客さんなんだ。ありがとうございます。」

アダム:「ちょっと時間をいただいて、今夜このステージで演奏してくれる残りのアメイジングなミュージシャン達を紹介するよ」

紹介されたのは、パーカッションのタイラー・ウォーレン、ベースのニール・フェアクロー、キーボードのスパイク・エドニー。

各メンバー紹介で拍手喝采が巻き起こる。そしてスパイクがピアノをキラッと弾き始まったのが「Don’t Stop Me Now 」だ。

まだ我々の記憶に新しい年末の紅白歌合戦で演奏された楽曲だ。

アダムの「Tonight〜」という歌い出しで歓声が上がる。

まだまだ魔法の効き目はすごいぞ。

止めるなと言わんばかりの手拍子が会場にひびき続ける。

ステージは青の照明で構成されギターソロで赤く変色する、レッドスペシャルがより一層赤く輝いていた。

ギターソロの開始と同時に背後の映像では、舞台の幕が開き奥へ奥へと吸い込まれるように疾走していく。

再びスパイクのピアノの演奏が入る、ジャズっぽい雰囲気をかもしだしたイントロ。

なんだろうと思いながら聞いていると。

センターに立ったアダムが一言

“Can〜…”

この声に反応する熱狂的なクイーンフリーク達。

“Everybody〜”からみんなで歌い始める。

指揮者のように手を振るアダム。

完全にステージを支配している。

やばすぎるのだ。

そして始まったのが「Somebody to Love 」

ステージ上部にはクイーンのクレストが埋め込まれたティアラが映し出されている。

長く伸びるビブラートのきいた声、

アダムが問いかける「次のパート、僕らと歌うかい?」

そしてみんなで歌い出す “Find me somebody to love”、ここは最高に盛り上がる箇所だ。ライブでしか体感できないとはこういうところだろう。

前曲とは打って違い緊張感が漂うのは「The Show Must Go On 」だ。

映し出されるのは崩れ落ちていくステージのセット。

門や柱が一本ずつ壊れていく様は、フレディがなくなり舵を取れなくなってしまったバンドを表しているのだろうか。

しかし、ショーは続けなくてはいけないとコーラス部分で力強く歌われる。

赤く光るステージの中央には瓦礫の中から新しく生まれたクイーンのクレストが誕生する。

そう、これはポール・ロジャースやアダム・ランパートなどとタッグを組みこれからも一生かけてクイーンを続けるという意志を表しているのだ。

ここで再び暗転。

あのロックオペラが流れる。「Bohemian Rhapsody」だ。

冒頭の “Is this the real life” で歓声があがる。

待っていましたと言わんばかりの曲だ。

アダムが前半パートを歌いブライアンのギターソロに繋がる。

スモックの中から現れるブライアン

銀色に輝くジャケットを着て中には「和」のTシャツ。

今日は調子がすごくいい様子で、ハイボジションの指の動きも疲れている様子もなくツアー最終日でもお構いなしの見事な動きだ。

そして始まるオペラパート。

フレディのシルエットが映し出され観客の歓声が東京ドーム中に鳴り響く。

ミュージックビデオのシーンはモニター3ヶ所に映し出され、間を埋めるように白の照明が点滅している。

“I see a little silhouette of a man…”で登場するフレディ

6ヶ所から出る光線は2本ずつ点いになっておりオペラに合わせて動き出す、まるでサーチライトのようだ。

“let him go”の歌詞に合わせて5方向に光る光線が扇型に放たれ

“No, no,no,no,no,no,no”の時は中央の照明が一つずつつくという表現が素晴らしい。

まさにロックオペラを体感している。

「Bohemian Rhapsody」のオペラパート

爆発音とともに煙が上がり現れたのはブライアン。ハードロックパートの始まりだ。

なかなか煙たくて花火をした後のようなにおいが1階席にまで匂ってくる。

ステージ上は万華鏡の中をのぞいたような光景が広がっており、どこに目をやっていいのか分からなくなる。面白い映像技法だ。

人間ミラーボールと化したブライアン・メイ

21時10分に前半が終了する。

ロジャー、ブライアンのコールが飛び交う。

アンコールの手拍子が会場全体で反響し、まだかまだかとアドレナリン全開の状態で待つファン。

そして黄色のジャケットを着た男が現れた。

フレディ・マーキュリーだ。

天国までアンコールを求める我々の声が届いたのだ。

フレディ・マーキュリーの「Ay-Oh」

「Ay- oh 」と彼がコールする。

我々も負けじと返す。

彼もさらに難易度の高いコールをする。

こちらも再び返す。

これが何往復か行われ。

彼はこう言う「F◯◯k You」と。

ステージの中へと帰っていくフレディ・マーキュリー、それと同時に始まるのが「We Will Rock You 」だ。

ロジャーの渾身の一撃を喰らわせるかのようなドラムビート。

心拍数が上がる。

観客は総立ちに、「ズンッ、ズンッ、パッ」と足で地面を2回けり、頭上で手のひらをクラップさせる。

デカければデカイほどいい。

周りは気にしない。

俺たちのための曲だから。

「We Will Rock You」で力強いドラムを叩くロジャー
「We Will Rock You」を演奏するブライアン

ステージにはアルバム『世界に捧ぐ』に登場するロボットのフランクくんが登場。

彼の大きな手がステージの幕を開ける。

そしてギョロッと大きな赤い目玉がゆっくりと観客を見わたす。

“Kicking your can…”で蹴りを入れるアダム

映し出されたのはロジャーの後ろ姿、背中で語る男だ。

衣装を変えイギリス紳士の姿に変わったのは、サー・ブライアン・メイ・CBEだ。

そして少し間をあけて登場したのが、白とシルバーの衣装に身をまとい、背筋を伸ばし胸を張って堂々と歩いてくるドラッグ・クイーンと化したアダム・ランバートだ。

センターポジションでギターソロを弾き終わると、ブライアンは奥へと戻っていく。

その間に再び「Machines (Or ‘Back to Humans’) が流れ無数のマシーンたちがやってくる。

フランクくんが上の方から覗き込みマシーンたちは最終的に燃えていなくなる。

ブライアンと一体化した様にも見えた。

チカチカと映画『メトロポリス』のアンドロイドが出たりと画面が切り替わり

そして始まるのが「Radio Ga Ga」の後半

前半の伏線を回収するようなショーだ。

ロボットのフランクくんも「Radio Ga Ga」の振り付けをしてくれるというサプライズが見れる。

観客もそのデカいロボットに負けないように両手をクラップさせる。

クイーンの振り付けを知らない人にもこの演出はありがたいものだろう。

そして最後に演奏されたのが「We Are the Champions」だ。

映像に映し出されるのは金色に輝くクイーンのメンバーの星座、そして最後には王冠が写りクイーンのクレストが完成するというもの。

コーラス部分でアダムが言う「歌え!トウキョウ」

“We Are the Champions〜” と歌いながら肩を揺らし動く観客一同。

みな手を高くあげ、左右に波打つ様にゆらゆらと動かす。

会場にいるファン4万5000人が一体となった瞬間だ。

そして私たちはチャンピオンだと一人一人がこの場で認識する。

アダムのビブラートで曲は締められ、ステージ中央からはジェットスモークと紙吹雪が放たれる。

「God Save the Queen」の曲が流れる中、ステージにメンバー全員が集まり肩に手を回し一同礼をする。手を大きく振るファン達。

ギターを掲げあげるブライアン(いつの間にか「一期一会」と書かれたTシャツを着ていた)。

ドラムスティックを投げ投げキスをするロジャー。

ニコニコ笑顔のアダム。

その他サポートメンバー達の姿がそこにはあった。

クイーンのライブ、いやショーが終わった。

ライブ終了メンバーが去った後に、アルバム『世界に捧ぐ』のロボット、フランクくんがのぞき込みウインクをし微笑み、手を振っていた。

21時23分終了。

公演時間は約2時間20分、伝説を目撃してしまった。

これぞスタジアムロックの伝説だ。

ステージが明るくなるとデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」がBGMで流れる。

そう我々はチャンピオンでありヒーローでもあるのだ。

ライブ終了後の会場の雰囲気

始まる前から演奏終了まで会場の内外は盛り上がっていた。

ライブが終わり照明がつくと早速さと帰る人、電車に間に合わせるために走って駅に向かう人、会場前で記念写真を撮る人(私もその1人だ)、買う気はなかったけどやっぱり買おうと思い物販の列に並ぶ人。

友人同士、夫婦、仕事終わりのサラリーマン、全公演を回った強者、コスプレイヤーなど、さまざまな人がクイーンのライブには訪れていた。

公演終了後の東京ドーム前
公演後に並ぶ物販のエリア

東京ドーム4万5000人(2日合わせれば9万人)のファン歓喜させただけでなく、50年のデビューからさらに新しいファンを増やしているクイーンの凄さに圧巻だ。

セットリスト(2024年2月14日@東京ドームDAY2)

2024年2月14日(水) @東京ドーム公演(SET LIST @Tokyo Dome)
曲名収録アルバム
SE(Sound Effect)
1 Machines (Or ‘Back to Humans’) / Radio Ga Ga
「マシーン・ワールド / RADIO GAGA」
『The Works』
(ザ・ワークス)
2 Hammer to Fall
「ハマー・トゥ・フォール」
3 Fat Bottomed Girls
「ファット・ボトムド・ガールズ」
『Jazz』
(ジャズ)
4Another One Bites the Dust
「地獄へ道づれ」
『The Game』
(ザ・ゲーム)
5I’m in Love With My Car
「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」
『A Night at the Opera』
(オペラ座の夜)
6Bicycle Race
「バイシクル・レース」
『Jazz』
(ジャズ)
7I was Born to Love You
「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」
『Mr. Bad Guy』
(Mr.バッドガイ)
『Made in Heaven』
(メイド・イン・ヘヴン)
8Vocal Solo
「ヴォーカル・ソロ」
9I Want It All
「アイ・ウォント・イット・オール」
『The Miracle』
(ザ・ミラクル)
10Love of My Life
「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」
『A Night at the Opera』
(オペラ座の夜)
11 Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
「手をとりあって」
『A Day at the Races』
(華麗なるレース)
12Drum Solo
「ドラム・ソロ」
13Under Pressure
「アンダー・プレッシャー」
『Hot Space』
(ホット・スペース)
Band Member Introduction
(ブライアン、ロジャー、アダム)
14 Tie Your Mother Down
「タイ・ユア・マザー・ダウン」
『A Day at the Races』
(華麗なるレース)
15Crazy Little Thing Called Love
「愛という名の欲望」
『The Game』
(ザ・ゲーム)
16You Take My Breath Away / Who Wants to Live Forever
「テイク・マイ・ブレス・アウェイ」
「リヴ・フォーエヴァー」
『A Day at the Races』
(華麗なるレース)
『A Kind of Magic』
(カインド・オブ・マジック)
17Guitar Solo
「ギター・ソロ」
18Is This the World We Created…?
「悲しい世界」
『The Works』
(ザ・ワークス)
19A Kind of Magic
「カインド・オブ・マジック」
『A Kind of Magic』
(カインド・オブ・マジック)
Band Member Introduction
(サポートメンバー)
20Don’t Stop Me Now
「ドント・ストップ・ミー・ナウ」
『Jazz』
(ジャズ)
21Somebody to Love
「愛にすべてを」
『A Day at the Races』
(華麗なるレース)
22The Show Must Go On
「ショウ・マスト・ゴー・オン」
『Innuendo』
(イニュエンドウ)
23Bohemian Rhapsody
「ボヘミアン・ラプソディ」
『A Night at the Opera』
(オペラ座の夜)
アンコール
24Ay-Oh
ウェンブリー・アリーナの音源(1986年)
『ボヘミアン・ラプソディ (オリジナル・サウンドトラック) 』
※ライブエイドの音源(1985年)
25We Will Rock You
「ウィ・ウィル・ロック・ユー」
『News of the World』
(世界に捧ぐ)
26Machines (Or ‘Back to Humans’) / Radio Ga Ga
「マシーン・ワールド/RADIO GAGA」
『The Works』
(ザ・ワークス)
27We Are the Champions
「伝説のチャンピオン」
『News of the World』
(世界に捧ぐ)
28God Save the Queen
「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」
『A Night at the Opera』
(オペラ座の夜)

まとめ:生きる伝説から希望をもらえた

コンサートの戦利品

今回私は生まれて初めてクイーンのライブへ行ったのだが、神話の中に出てくる神々を見た様な気分になった。

終始身体中の毛穴が開いて血管が揺れるのがわかるくらい大迫力のショー。

帰り道の電車の中でも映像や写真を見返し、今私はクイーン・ロスになってしまった。

眠いのにSNSに上がるライブの写真を見てしまうほど、アドレナリンが出まくり興奮したのは、レイトショーで観た映画『マッド・マックス怒りのデス・ロード』を見たとき以来だろうか。

私がみた東京ドームでのライブは、2018年のボン・ジョヴィぶりだが、やはりここには魔物が住んでいると思われる。

翌朝起きると東京では春一番が吹いた。

ブライアンが「さくらさくら」を演奏したおかげか?

つる
つる

日本のみに発売が許されたクイーンのライブベスト。

選曲はなんと我々日本のファン。

ぜひ『絆(KIZUNA)』を聞いてクイーンを追体験してみてはいかがでしょうか。

次回の来日があれば行きたいものだ。

そして今回のライブへ行った方、クイーン愛が止まらないという方は、ぜひコメントに感想を残していってくれると幸いだ。

このようにこのブログでは日々洋楽の魅力を発信している。

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それでは、良き洋楽ライフを!

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ABOUT ME
管理人:つる
管理人:つる
音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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