80年代
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【第1回】ジョーン・ジェットの代表曲「Bad Reputation」を完全解説【洋楽名曲解説】

axlcity
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記事をご覧いただきありがとうございます。

このカテゴリーでは主に楽曲解説にフォーカスしています。

あの曲は、何を歌っているのか?有名な曲だけど、歌詞の内容までは知らない。

なんとなく歌っていたあの曲ってそんな歌だったの、といった疑問を解決するコーナーとなっています。

つる
つる

「誰が、いつ、何が、どうして、どうなった」

曲の背景を知ると洋楽をもっと楽しめます

https://www.instagram.com/axlcity/

さて、楽曲解説特集の記念すべき第1回、

今回紹介するのはジョーン・ジェットのソロ・デビュー・アルバム『バッド・レピュテーション』(Bad Reputation) から

“Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)です。

この記事で分かること
  • 曲の意味、背景、誕生秘話
  • ジョーン・ジェットのソロ活動の歴史
  • 歌詞、ミュージックビデオからの考察

ジョーン・ジェットについては【入門解説】ジョーン・ジェット~ガールズバンドのパイオニア〜代表曲や魅力、現在の活動を紹介〜で詳細に解説しております。

ぜひ合わせてご覧ください。

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【入門解説】ジョーン・ジェット~ガールズバンドのパイオニア〜代表曲や魅力、現在の活動を紹介〜
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曲の概要

基本データ
  • 1980年自主制作ソロアルバム『Bad Reputation(バッド・レピュテーション)』に収録
  • ケニー・ラグーナと共作
  • 自身の身に起きたことを歌った曲
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“Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)の意味

まずは、タイトルの “Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)の意味から見ていきましょう。

「Bad Reputation」のタイトルの意味
単語発音意味
badUK:*/ˈbæd/
US:/bæd/ ,(bad)
(形)悪い、間違った、よくない、不快な
reputationUK:*/ˌrɛpjʊˈteɪʃən/
US:/ˌrɛpjəˈteɪʃən/ ,(rep′yə tāshən)
(名)評判、評価、世評、受け

つまり「悪評」「悪いうわさ」という意味になります。

では、なぜこのようなタイトルがつけられたのでしょうか?

曲の内容

女にロックなんか出来っこないと言われ悪評をつけられ、ボロクソ言われたジョーン・ジェットが、マッチョなロック界に1発食らわせた曲

男勝りな彼女のシャウトは65歳になった今(2024年現在)でも現役です。

考察

「あなたは過去に生きているのよ、新しい世代なんだから」

という歌詞があります。

これは、保守的な考えを持つ上の世代へ向けた言葉でしょう。

事実多くのレコード会社に拒否されたのは、新しい価値観に気づいていない彼らが世間体や評判を恐れたからと思われます。

ジョーンは、むしろこの悪い評判というのを売りにし、カッコいい新しいロックンロールを作っていきました。

いわゆる、「ライオット・ガール」というやつです。

【出典】Joan Jett Instagramより

カバーと各メディアでの使用

「女の子だってやりたいことをできる、だから私はそうするの」

という歌詞もダイレクトで強いメッセージが込められているこの曲は、カバーされたりイベントで使われたりしています。

様々なカバー・バージョン

アヴリル・ラヴィーンのカバー

アヴリル・ラヴィーンのカバー(2011年)

2011年、アヴリル・ラヴィーンは4thアルバム『グッバイ・ララバイ』(Goodbye Lullaby)でカバー。

ただ通常盤ではなく、アルバムの「デラックス盤」と「来日記念スペシャル・エディション」のボーナストラックとして収録されました。

また2012年、映画『ONE PIECE FILM Z』の主題歌として使用されています。

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カイリー・キャントラルのカバー

【出典】Kylie Cantrall – Bad Reputation (From “Descendants: The Rise of Red”/Audio Only)|DisneyMusicVEVO|YouTubeより

ディズニープラスで配信中の映画『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』では、『ふしぎの国のアリス』のハートの女王の娘、レッドを演じたカイリー・キャントラルが歌っています。

【出典】𝗞𝘆𝗹𝗶𝗲 𝗖𝗮𝗻𝘁𝗿𝗮𝗹𝗹 (@kyliecantrall) Instagramより

ディズニー映画のヴィランの子供たちが活躍する『ディセンダント』シリーズ、レッドの役柄と歌の内容はナイスな組み合わせだと思います。

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プロレスラーの入場曲としての使用

【出典】Ronda Rousey makes a rowdy return: Royal Rumble 2022 (WWE Network Exclusive)|WWE|YouTubeより

アメリカの女子プロレスラー、初代UFC女子バンタム級王者のロンダ・ラウジーの入場曲としても知られています。

パンクな見た目からも曲のテーマと反骨心を感じさせます。

【出典】Ronda Rousey (@rondarousey) Instagramより

テキーラ
テキーラ

映画『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(The Expendables 3) とか『ワイルド・スピード SKY MISSION』(Furious 7) にも出演してるぞ。

映画での使用

【出典】KICK-ASS (2010) – Official Trailer #1|Lionsgate Movies|YouTubeより

2010年の映画『キック・アス』(Kick-Ass)にて、クロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガールが悪党との銃撃戦で “Bad Reputation” は使用されています。

追い詰められたヒット・ガールが大勢の大人たちに挑むシーンと曲の内容が重なり、より意味合いが増します。

【出典】KICK-ASS Clip – “Hit Girl’s Final Battle” (2010) Action, Chloë Grace Moretz|JoBlo Movie Clips|YouTubeより
つる
つる

映画『シュレック』や『恋のからさわぎ』にも使われているよ

【出典】Taylor Swift reputation Stadium Tour | Official Trailer | Netflix|Taylor Swift|YouTubeより
テキーラ
テキーラ

テイラー・スウィフトの「Reputation Stadium Tour」のオープニング前にも流れてたみたいだぞ!

「Bad Reputation」:ミュージックビデオについて

【出典】Joan Jett & The Blackhearts “Bad Reputation” – Official Music Video (1983)

“I Love Rock n’ Roll”がヒットして、ジョーン・ジェットに注目が集まるのを狙って作り上げたのが、1981年に公開されたこのミュージックビデオ”Bad Reputation”でした。

ジョーン自身もすごく楽しんでいて、

「面白いミュージックビデオ」と語っているほどです。

内容は、ゴミに塗れたストリートで演奏するバンドが「自分の評判なんて気にしない」とシャウトするところから始まります。

過去の回想シーンでは、モノクロで無声映画にあるようにテロップが入ります。

例えば

“We don’t want your kind here”

(お前みたいな人はいらない)

“Come back when you’re dressed like a lady”

(女らしい服装で戻ってこい)

” You can’t sing”(お前は歌えない)

参考:Joan Jett & The Blackhearts “Bad Reputation” – Official Music Video (1983)

ことごとくレコード会社に拒否されてしまいますが、

“We’ll start our own label- Blackheart Records”

(私たちのレーベル、「ブラックハート・レコード」を始めよう)という展開へ。

その後、Billboard100で”I Love Rock n’ Roll”がナンバーワンに、

“The record’s a hit”(レコードはヒットした)というテロップとともに、

レコード会社は手のひらを返し、ジョーンの演奏に夢中。

ストリートからメディアに引っ張りだこという展開へ。

「23のレコード会社はNOと言った。でも100万人のレコード購入者はYESと言った。」と、とあるメディア記事の拡大シーン。

女にもロックができると証明した作品に仕上がりました。

曲の背景

【出典】The Runaways Instagramより

ジョーン・ジェットは70年代にガールズバンド、ザ・ランナウェイズを結成します。

その後バンドは解散、酒におぼれる日々を過ごしますが、1979年にプロデューサー兼ソングライターのケニー・ラグーナと出会います。

2人は意気投合、ニューヨークに拠点を移しデビュー曲を書き上げます。

ケニー・ラグーナとの出会い

【出典】Joan Jett Instagramより

ケニー・ラグーナの活躍

米ニューヨーク出身のミュージシャン、音楽ブロデューサー、ソングライター。

1980年に妻のメリルとブラックハート・レコーズを設立。ジョーン・ジェットをトップへのし上げた。

1982年バウ・ワウ・ワウ(Bow Wow Wow)の”I Want Candy”のプロデュースでも有名。

プロデュースしたアーティスト例
アーティスト名ヒット曲
ダーレン・ラヴ(Darlene Love)“All Alone on Christmas”
ビル・メドレー(Bill Medley)“(I’ve Had) The Time of My Life” 
エドウィン・スター(Edwin Starr)“War”
トミー・ジェイムス&ザ・ションデルズ(Tommy James & The Shondells)“Crimson and Clover”
オハイオ・プレイヤーズ(The Ohio Players)“Funky Worm”

イギリスの「グリッター・サウンド」を気に入り、アメリカで流行らせようと計画。レコーディングのためにイギリスのスタジオに向かいます。

アルバムのレコーディング・セッションには元セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズやポール・クック、ブロンディのクレム・バーグ、フランク・インファンテが参加。

そのうち一曲は “I Love Rock n’ Roll”、のちに大ヒットとなる名曲です。

そこで完成させたLPが『ジョーン・ジェット』でした。

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しかしジョーンは23のメジャーな音楽レーベルに持ち込みをしますが、これを全て拒否されます。

彼女が女性であることとザ・ランナウェイズというバンドでの荒くれ者という評判が原因でした。

テキーラ
テキーラ

まだ時代が追いついていなかったんだな〜

ニール・ボガートのカサブランカ・レコードと契約

【出典】Monsters Of Rock®@MonstersOfRock)Xより

カサブランカ・レコードの創設者ニール・ボガートがジョーンと契約。

つる
つる

映画『カサブランカ』からとった社名みたいだよ

テキーラ
テキーラ

映像はKISSのアルバム『ダブル・プラチナム』がリリースされたときに、社長自らがコマーシャルに出たものだぜ

ニール・ボガートと「カサブランカ・レコード」とは

米のレコード会社「カサブランカレコード」の創設者。

雑誌社の営業マンを経て1967年にブッダレコードを設立。

カーティス・メイフィールド、アイズレー・ブラザースなどのミュージシャンを輩出。

カサブランカの社員は皆ベンツを所有、デスクでコ◯イ◯を吸うなど、まるで映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で見るような光景が広がっていたとか。

カサブランカ・レコードの有名なミュージシャン
アーティスト名ヒット曲
キッス(KISS)“Rock and Roll All Nite” 
パーラメント(Parliament)“Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)” 
ドナ・サマー(Donna Summer)“Love to Love You Baby” 
シェール(Cher)“Take Me Home” 

※かつてはマーク・ボランも契約に夢中になっていたらしい。

ボガートが新しく設立したレコード会社、ボードウォーク・レコードからアルバム『バッド・レピュテーション』を発売します。

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これは、ジョーンがソロで出したLP『ジョーン・ジェット』を改題したものでした。

しかし商業的には成功しませんでいた。

テキーラ
テキーラ

個人的には裏名盤なんだよな〜

つる
つる

カサブランカレコードから出た、1982年映画『フラッシュダンス』のサウンドトラックは大ヒットしたけどね〜

しかし、ジョーンは新たに「ブラックハーツ」と呼ばれるバンドを率いて首位逆転し、ロックの歴史にその名をのこす偉業を成しとげます。

まとめ:”Bad Reputation”を聴いてほしい

女性がロックをすることができなかった1970年代、ギターレッスンの時にギターを持っても教材曲はフォークソングだったとか。

自伝映画『ランナウェイズ』でもそのようなシーンがありました。

【出典】映画『ランナウェイズ』予告編|シネマトゥデイ|YouTubeより

スージー・クアトロに影響を受けパンク・ムーブメント真っ只中にティーンだったジョーンにとってはロックこそが全てだったのでしょう。

そして”Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)には彼女のロック界への宣戦布告という強いメッセージが隠れていました。

【出典】“ロックの殿堂”ジョーン・ジェットの半生を描いたドキュメンタリー映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』予告編|シネマトゥデイ|YouTubeより

また、彼女の半生を描いたドキュメンタリー映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』では、より詳しくジョーン本人による解説や彼女に関わる著名なミュージシャンたちによるインタビューでさらに深掘り出来ます。

2020年9月11日にシネマート新宿で限定公開されたときの写真

ぜひこの機会に聞いてみてはいかがでしょうか?

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それでは次の記事でお会いしましょう。

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ABOUT ME
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音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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