【入門解説】ジョーン・ジェット~ガールズバンドのパイオニア〜代表曲や魅力、現在の活動を紹介〜
「ロックはお好きですか?」
「かっこいい女性ロッカーを知りたいですか?」
「そんな女性ロックスターの曲聴きたいですか?」
そんなあなたにジョーン・ジェットをおすすめします!
- ジョーン・ジェットのキャリア
- ジョーン・ジェットの魅力
- 最近の活動
- 女性ロッカーが好きな方
- 世界初のガールズバンドを聴いてみたい方
- 元気を貰いたい方
- 洋楽をとことん楽しみたい方
ジョーン・ジェットのキャリア
まずは結論
ジョーン・ジェットのキャリア①:ザ・ランナウェイズ時代
【出典】The Runaways (@therunawaysofficial) Instagramより
70年代の女性ロッカー、スージー・クアトロに感化されたジョーン・ジェットは、ドラムのサンディ・ウエストとベースのマイケル・スティール(後にバングルズで活躍)と共にバンドを結成。
その後1975年、音楽プロデューサーのキム・フォーリーによってプロデュースされ新しくシェリー・カーリー、リタ・フォード、ジャッキー・フォックスを加えた形でガールズバンド、ザ・ランナウェイズを結成します。
世界初のガールズバンドの誕生の瞬間です。
最大のヒット曲「チェリーボム」を世に放ち日本の来日公演で爆発的な人気が出て、
当時の音楽雑誌でも特集され原宿で買い物をする姿も撮られています。
しかし篠山紀信の撮影した『激写ランナウェイズ』でシェリーのヌード写真がメンバーにばれジョーンは激怒、ロックをしたい少女にとってショックな出来事でした。
その後メンバーの脱退や音楽の方向性の違いから、New Year’s Eve(1978年)のコンサートを最後に1979年 4月に解散してしまいます。
ジョーンジェットのキャリア②:ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ
【出典】Joan Jett instagramより (https://www.instagram.com/p/CuKkptkJAH1/?img_index=1)
バンド解散後はどのレコード会社にも相手にされず、酒におぼれる日々を過ごしていたジョーン。
この頃から酒によって喉を痛めたことにより声に変化が見られます。
しかしケニー・ラグーナと出会い自らのレーベル、ブラックハーツを立ち上げ新たなバンドでスタートを切り出します。
ジョーン・ジェットの第2章、
ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの始まりです。
日本語で「悪評」を意味する1stアルバム『Bad Reputation』は、まさにジョーンが男尊女卑でマッチョなロック業界に1撃くらわせ声明を出した曲でした。
この曲のミュージックビデオを見れば一目瞭然です。
1982年には『I Love Rock ‘N Roll』が
ビルボードチャート7週連続No. 1に輝き、
瞬く間に人気バンドとなります。
2015年にはロックの殿堂入りを果たし
マイリー・サイラスと共演したり、昨年からモトリー・クルーのニッキー・シックス、デフレパード、ポイズンらと共にスタジアムツアーを開催しています。
2023年11月にモトリー・クルーとデフ・レパードは来日したね!
ここ数十年はアメリカでしか活動はしていないな〜
ジョーン・ジェットの魅力
ジョーン・ジェットの魅力を「音楽性」と「ファッション」の2つの観点から紹介します。
ジョーン・ジェットの魅力①:音楽性
- 王道ロック
- カバー曲が多い
- ハードでありながら聴きやすい
シンプルでストレートな王道ロックを基調にしたサウンドなので、
初めて聴く人にも非常に聴きやすいのが特徴です。
また最近はアコースティックでセルフカバーをしています。
彼女のヒット曲の多くは実はカバー曲がメインです。
アーティスト名 | オリジナル曲 |
The Arrows | I Love Rock n’ Roll |
Tommy James and the Shondells | Crimson and Clover |
Sly & the Family Stone | Everyday People |
例えば彼女の最大のヒット曲
「I Love Rock n’ Roll」はイギリスのバンド、ジ・アローズの曲
「Crimson and Clover」はトミー・ジェイムス&ザ・ションデルズの曲
「Everyday People」はスライ&ザ・ファミリーストーンの曲
などまだまだ沢山ありますがジョーンがいかにロック好きかわかります。
90年代には『雨を見たかい』というフルカバーアルバムをリリースするほど。
70年代のパンクやハードロックの荒々しさを足し曲調をアップテンポにして、
ジョーン色を足す事で新しさはあるものの、オリジナルへのリスペクトが伝わります。
男尊女卑のロック界に女にもロックができるのだと伝えるために、カバーをしていると考えることもできます。
ジョーン・ジェットの魅力②:ファッション
- ジャンプスーツ
- ハイレイヤーカット
- ゴシックメイク
【出典】Joan Jett instagramより (https://www.instagram.com/p/gqhgBdjA9z/)
トレードマークは赤いジャンプスーツ。
このジャンプスーツは元々パラシュート部隊のために作られたものですが、60年代〜70年代にファッションへ流用されます。
エルヴィス・プレスリーがスタッズ付きのものを着ているのが有名ですが、
どちらかと言えば、
スージー・クアトロが着用している物の方が影響されていると思います。
【出典】Suzi Quatro instagram より(https://www.instagram.com/p/CyFlTAQM_IA/)
髪型はハイレイヤーカット、ロングウルフ。
この髪型で印象的なのはロッド・スチュアートですが、服装・髪型から見ても当時のスージー・クアトロの影響が1番大きいでしょう。
腰にはジェット機、胸元にはハートをイメージしたタトゥー、ゴシックメイクなど特徴があります。
スージー・クアトロの影響が強いな〜
ジョーン・ジェットのおすすめアルバム
ザ・ランナウェイズとブラックハーツの2つの時代からそれぞれおすすめのアルバムを紹介します。
ザ・ランナウェイズ時代
アルバム | リリース日 |
『悩殺爆弾~禁断のロックン・ロール・クイーン』 | 1976年 |
『ウェイティン・フォー・ザ・ナイト』 | 1977年 |
『ライヴ・イン・ジャパン』 | 1978年 |
アメリカでは大きなヒットには繋がらなかったのですが、1977年日本来日でのコンサートはテレビで取り上げられるほど人気。
ジョーンはあまり目立ってはいなかったものの、下着姿で歌うヴォーカルのシェリーは人気が高かったみたいです。
来日公演の模様を収録した『ライヴ・イン・ジャパン』のレコードはアメリカでは入手困難なんだよ
ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ時代
アルバム | リリース日 |
『バッド・レピュテーション』 | 1980年 |
『アイ・ラブ・ロックンロール』 | 1982年 |
『アルバム』 | 1983年 |
『誘惑のブラックハート』 | 1984年 |
『グッドミュージック』 | 1986年 |
『アップ・ユア・アレイ』 | 1988年 |
『ノトリアス』 | 1991年 |
パンク・ニューウェーヴが流行した頃のイギリスに渡ったジョーン、この時期の作品はハードさが強いです。
初期4作品は特におすすめ。
男勝りなハードさがたまらんのよね〜
おすすめ曲6選
【おすすめの曲①】Cherry Bomb
ザ・ランナウェイズ時代最大のヒットナンバー。
コーラスではCh Ch Ch Ch チェリーボムと時限爆弾がカウントダウンする様子と
デヴィッド・ボウイの楽曲「Changes」のコーラス部分を思わせるような超ロックな曲。
【出典】The Runaways – Cherry Bomb(https://www.youtube.com/watch?v=_EBvXpjudf8)
2014年にはマーベル映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」内で、
主人公のお気に入りミックステープの中の1曲としても使用され人気が再加熱。
この映画から知った人も多いでしょう。
ザ・ランナウェイズ版とブラックハーツ版の2種類あるので聴き比べもできて2度楽しめるよ
テンポ感も違うけどギターソロが大きく違うね
そうそう、ザ・ランナウェイズ版のリタ・フォードのソロは超かっこいいよ
【おすすめの曲②】School Days
ザ・ランナウェイズ時代3枚目のアルバム『ウェイティン・フォー・ザ・ナイト』からの1曲。
ボーカルのシェリーとベースのジャッキーが脱退した後、新たなベーシスト、ヴィッキー・ブルーが参加、ジョーンがボーカル/ギターと編成を変えた第2期ランナウェイズ。
以前よりもハード・ロック感が増した印象が強いです。
「School Days」はB面1発目の曲。
18歳の少女が思春期真っ只中の学生時代を振り返るが今でもヤンチャしているという内容で、家族同然のバンドメンバーが抜けた後のジョーン自身の気持ちと葛藤が歌われているナンバー。
【おすすめの曲③】Bad Reputation
第2章ジョーン・ジェットはここから始まった。
力強く弾き乱すギターから始まり、第1声は
「自分の評判なんて気にしちゃない」
まさにジョーンがロック界に宣戦布告した曲。
23の音楽レーベルから断られブラックハーツを結成。
自主制作として発表したアルバムからのナンバーです。
この時からエリック・カルメンから買ったギブソンメロディメーカーを弾き鳴らす姿をミュージックビデオから見ることができるのも注目。
どん底から這い上がり成功を掴むまでの自伝的なミュージックビデオは必見。
【おすすめの曲④】I Love Rock ‘N Roll
ジョーン・ジェットといえばこの曲。
ザ・ランナウェイズ解散後にイギリスに渡り、テレビで知ったのがカバーをするきっかけになったという。
原曲のジ・アローズのヴァージョンでは「her」となっているが、カバーでは「he」に名詞を変更されているのにも注目したい(異性によるカバー曲ではよくある事)
また、シャウトする声を足したり、よりラウドになっていることで、原曲よりもパワーアップしているのも最高です。
彼女のヴァージョンはブリトニー・スピアーズやSuperflyなど
多くのミュージシャンたちにカバーされ今なお色あせる事なく、愛されているロックアンセムです。
【おすすめの曲⑤】Good Music
タイトル名通りの曲。
ロック色は薄く飛び跳ねたくなるようなポップな曲です。
”It always feels so good to hear good music”
(いい音楽を聞くと、いつでも気分は最高)
注目すべきは、
“Listen”ではなく”Hear“な点。
つまり耳を傾けて聞かなくても、
自然と耳に入ってくる音楽だけで気分は最高になれるということ。
ジョーンにとっては、ギターの音のみでも最高になれるのかも知れないですね。
またビーチ・ボーイズがコーラス参加しているのも注目。
【おすすめの曲⑥】I Hate Myself For Loving You
ボン・ジョヴィやエアロスミスなどと、曲を書いてきた名ソングライター、
デズモンド・チャイルドとの共作。
ブルージーな曲調なのに、ジョーンジェットが仕上げると、ロックに変化する魔法のような曲。
ミュージックビデオでは80年代後半のLAメタルのバンドのようにヘアスプレーで固めた姿を見れます。
ギターソロは元ローリング・ストーンズのミック・テイラーが弾いていることはこの記事を書いている際に初めて知りました。
さらに最近ではNBC サンデーナイト・フットボールに
「Waiting All Day for Sunday Night」という曲名で使用されました。
キャリー・アンダーウッドがボーカルを務めジョーンはギターでゲスト参加しました。
合わせて聴きたい3曲
【合わせて聴きたい曲①】I Love Rocky Roads
パロディ歌手アル・ヤンコビックによるパロディ曲、「I Love Rocky Roads」
ミュージックビデオも本家ジョーン・ジェットの内容をパロっているのも面白い。
マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」の替え歌「今夜はイート・イット」で有名。
『ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフ・ジョースターが豆知識で話していたのでも知られているね〜
見てるだけで笑えるわ〜
「ロックン・ロール」と「ロッキー・ロード」のふたつがちゃんと韻を踏んでいるのも注目な!
【合わせて聴きたい曲②】Kiss Me Deadly
元ザ・ランナウェイズのメンバー、リタ・フォードによるソロ曲。
メタルの帝王オジー・オズボーンとの共作「Close My Eyes Forever」も話題になりました。
10年以上リタのCDやレコードを探しているけど、なかなか中古市場でも手に入りにくいので迷っている方は買うべき。
特に日本盤は希少!
ザ・ランナウェイズ解散後ヘヴィーメタル路線に進んだ彼女は80年代に大活躍。
「Kiss Me Deadly」は80年代らしい煌びやかなサウンドを持つポップさが印象的。
曲終盤リタの高速ギターソロは必聴。
【合わせて聴きたい曲③】Manic Monday
メジャー・デビュー前のザ・ランナウェイズのベーシスト、マイケル・スティール。
彼女が参加した80年代を代表するガールズバンド、バングルズからのヒットナンバーです。
「Walk Like an Egyptian」はアニメ『ジョジョの奇妙な冒険第3部』のエンディングで使われていたね!
元々アポロニア6という3人組のグループのデビュー用の楽曲だったのですが、
後にプリンスから提供されることになった楽曲です。
まとめ:ジョーン・ジェットの曲をもっと聴いてほしい
【出典】Joan Jett (@joanjett) Instagramより
ここまで読んだあなたは、
もうジョーンのファンです。
ジョーン・ジェットの曲をもっと知りたくなったと思います。
ちなみに私がジョーンを知ったのは高校生のとき、
アメリカのラジオAFNで80年代に替え歌で有名なアル・ヤンコビックのパロディ曲「I Love Rocky Roads」を聴いた時でした。
そこから調べていくうちにジョーンの代表曲「I Love Rock ‘N Roll」を知り、どんどんのめり込んでいきました。パンクな曲調が多いですがストレートなロックを奏て親しみやすい。
ヒット曲の多くはカバー曲なのに人気なのはジョーンの色に魅力があるからです。
私の記憶が確かならば2003年の来日が最後だったので、
もう20年以上来日公演は行われていません。
【出典】Joan Jett instagramより(https://www.instagram.com/joanjett/)
いつか再来日することを願う
しかしジョーンについては度々映画化し、映画『ランナウェイズ』(2010年)や
ドキュメンタリー映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』(2018年)
などがミニシアターで公開されたり密かに再加熱しているのも確かなことです。
どちらの映画も70年代という逆境の時代に、女性にもロックをすることが出来る
というメッセージが込められています。
映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』はU-NEXTの見放題にあるよ(Filmarks調べ)
※2024年2月現在
U−NEXTやAmazon Prime Videoで視聴可能なので気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか?
See You Next Wednesday