80年代
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【第16回】シンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」は元々男視点の歌だった?どのようにして代表曲に変化し時代を超え愛され続けるのかを独自解説【80年代洋楽名曲】

シンディ・ローパーの"Girls Just Want To Have Fun"の解説 洋楽名曲特集
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このカテゴリーでは主に楽曲解説にフォーカスしています。

あの曲は、何を歌っているのか?有名な曲だけど、歌詞の内容までは知らない。

なんとなく歌っていたあの曲ってそんな歌だったの、といった疑問を解決するコーナーとなっています。

今回紹介するのは、シンディ・ローパーのデビューアルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』(She’s So Unusual)から、

“Girls Just Want To Have Fun” です。

この記事でわかること
  • 曲の意味、背景
  • 歌詞やミュージックビデオからの深掘り考察
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曲の概要

基本情報
  • 1983年デビューアルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』に収録
  • 全米・全英2位を記録

“Girls Just Want To Have Fun”の意味

“Girls Just Want To Have Funのタイトルの意味
単語発音意味
girls/ɡɜːrl/ | /ɡɜːl/女の子
just/dʒʌst/ | /dʒʌst/ただ、とにかく
want to/wɑːnt tu/ | /wɒnt tu/〜したい
have fun/həv fʌn / | /həv fʌn /楽しむ

※発音記号は左がアメリカ英語、右がイギリス英語

「Girls Just Want To Have Fun」は「女の子はただ楽しみたいだけなの」という意味です。

また、YouGlishを参考に”just want to have fun”が実際の英会話でどう使われるかを見てみると、以下のように日常的に使われる表現の一つだとわかります。

  • just want to have fun and go to parties.(俺はただ楽しんで、パーティーに行きたいだけさ。)
  • Do you just want to have fun with somebody? (ただ誰かと楽しみたいだけ?)
  • And I also want to just have some fun today. (それに、今日はただ楽しみたいだけなんだ。)
  • I love concerts because I can dance and sing as loud as I want and everyone’s there to just have fun (私はコンサートが大好き、だって好きなだけ踊って大声で歌えるし、みんなが楽しんでくれるからだ。)

では、歌の内容や背景について見ていきましょう。

曲の内容

歌の主人公は親の手に負えない活発な女の子。「ただいま〜」っと朝帰りをするとママにガミガミ説教される所から始まります。しかし、彼女はこれを華麗に返します。「あら、私たち女って不幸な生き物ね」、でもねママ、女の子だって楽しみたいのよ。

また、とある日の深夜に電話が鳴ると、パパに「いつになったらまともな生活をするんだ」と口うるさく言われる。これに対しても華麗にかわし「パパはいつでもNo. 1よ」、「でもねパパ、女の子だって楽しみたいのよ」という彼女。後半では「縛られた世界に閉じこもっている女の子であるなんか嫌、仕事終わりにもちょびっと遊びにいきたいのよ」と続きます。

親世代とのギャップと世間一般的に言われている ”こうあるべき女性像” という課題に触れた楽曲です。

曲の背景

実はカバー曲だった!

【出典】Ry (@Ryanmariebach78) Xより

実はこの曲はシンディが書いたものでも、彼女のために書き下ろされたものでもありませんでした。1979年にアメリカ・フィラデルフィア州で活躍した男性シンガー、ロバート・ハザードが自身のバンド「Robert Hazard and the Heroes」の楽曲として録音されたものです。

曲の内容も捉えられ方も全く別のものでした。主人公は思春期の男子で、厳格な親の反対を押し切り、女の子と気軽にセッ◯スを楽しむという内容が歌われており、アレンジもニューウェーブ風の仕上がりになっているのが特徴でした。

つまり、男性の書いた男性視点の楽曲だったのです。

性別やアレンジを変更しても納得いかず苦戦

【出典】Girls Just Want to Have Fun (Early Guitar Demo)|Cyndi Lauper|YouTubeより

4年後、シンディとプロジェクトを進めていた音楽プロデューサーのリック・チャートフは、この未発表の音源があることを思い出します。曲を歌うようにシンディに提案しますが彼女は内容が男目線で気に入りませんでした。

作詞作曲をしたロバートからの許諾を得て歌の主人公の性別を変更、その点においては気に入りましたが、多種多様なアレンジを試みてもシンディは納得いきませんでした。

つる
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初期のデモバージョンはオリジナル要素が結構強く、まだどの様に歌ったらいいのか分からず試行錯誤している印象を受けるね。

デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「Come On Eileen」からヒントを得て化学反応が巻き起こる

【出典】Dexys Midnight Runners, Kevin Rowland – Come On Eileen (1982 Version)|Dexys and Dexys Midnight Runners Official|YouTubeより

アレンジに苦戦していたのですが、レコーディングに参加したエリック・バジリアンがとある曲を耳にします。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「Come On Eileen」です。当時リリースされたばかりのこの曲のグルーヴを取り込んだところ、シンディはノリノリで歌い出したそう。

これに80年代特有のシンセサイザーのエッセンスを加えたところ大ヒット。開局したばかりの音楽専門チャンネル「MTV」ではミュージックビデオがヘビーローテーションでかかり、一躍時代の中心的存在にまで上り詰めました。

別バージョンもリリース

【出典】Cyndi Lauper – Hey Now (Girls Just Want to Have Fun) (Official Video)|Cyndi Lauper|YouTubeより

リリースから11年後、1994年にヘイ・ナウ(ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン) (Hey Now (Girls Just Want to Have Fun)) というレゲエ調のアレンジしたバージョンを発表。ミュージックビデオの中には多くのドラァグクイーンが登場、シンディ自身が監督を務めたビデオ作品としても知られています。

https://open.spotify.com/intl-ja/track/7GVUmCP00eSsqc4tzj1sDD?si=f040bfc5a4bc4adb
レッドボーンの “Come and Get Your Love” (1973)
つる
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レッドボーンの “Come and Get Your Love” をサンプリングしているよ!

後世に与えた曲の影響

楽曲とタイトル名を使った映画にもなった!

【出典】Girls Just Wanna Have Fun Official Trailer #1 – Sarah Jessica Parker Movie (1985)|Rotten Tomatoes Classic Trailers|YouTubeより

1985年の映画『ハイスクールはダンステリア』(Girls Just Want To Have Fun) という映画が公開。サラ・ジェシカ・パーカー演じる歌とダンスが好きな女子高生のジェニーが親の反対を押しきり、シカゴの人気ダンスオーディション番組に出るという内容なのですが、アップビートでよりポップなアレンジになっています。

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テキーラ
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シンディ本人は大嫌いな映画らしいな。

【出典】Kids Inc Podcast (@KidsIncPodcast) Xより

また、1984年から10年間放送されていた子供向け番組『キッズ・インコーポレイティッド』(Kids Incorporated) のファースト・シーズンの第6話「The Basket Case」では、子供たちが “Girls Just Want To Have Fun” を披露しています。

つる
つる

王家を抜け出した王女様が普通の女の子たちと歌って踊るシーンで歌われているよ。

テキーラ
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どっちも作品と曲のテーマがうまくマッチしているな

多くのアーティストにカバーもされる名曲になった

リリースから40年以上たった現在、ミュージシャンからYouTuberまで多くの方にカバーされています。シンディ自身もライブではコラボしたり、共演という形でリリースした作品もありPUFFYと一緒に歌ったバージョンもあります。

他にもパロディー歌手で有名なアル・ヤンコビックは、1985年にリリースしたアルバム『Dare to Be Stupid』の中で「Girls Just Want To Have Lunch」(女の子はただランチしたいの)という替え歌を歌っています。

つる
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「今夜はイート・イット」とかが有名だよ!

テキーラ
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『ハリー・ポッター』でお馴染みのダニエル・ラドクリフがアルの役を演じた伝記映画もあるからチェックしてみるとおもろいぜ〜

【出典】『こいつで、今夜もイート・イット~アル・ヤンコビック物語~』予告編<U-NEXTで独占配信中>|U-NEXT|YouTubeより

「Girls Just Want To Have Fundamental Rights Fund」と言う基金団体を立ち上げ

【出典】Cyndi Lauper (@cyndilauper) Instagramより

2022年10月に「Girls Just Want To Have Fundamental Rights Fund」という基金団体を立ち上げました。「すべての女性と女児の基本的権利と健康を促進する取り組みを支援すること」をミッションに掲げており、“Girls Just Want To Have Fundamental Rights”のメッセージがプリントされたTシャツの購入、もしくは寄付で支援できるそうです。

詳細は以下の公式ホームページをご覧ください。

公式ホームページ

「Girls Just Want To Have Fun」のミュージックビデオの考察

【出典】Cyndi Lauper – Girls Just Want To Have Fun (Official Video)|Cyndi Lauper|YouTubeより

内容

歌詞の内容をそのままビジュアライズ化したような作品になっています。例えば冒頭、愉快に踊りながら朝帰りをするシンディに対して口すっぱく注意する母親、深夜に電話が鳴ると怒る父親が登場。ちなみにキッチンで卵を割っているのは実の母親父親役の男性はプロレスラーの”キャプテン” ルー・アルバーノだそう。

【出典】LandOfThe80s (@landofthe80s) Xより

後半ではたくさんの女性たちを率いてマンハッタンの街を踊ったり、家に性別問わずホームパーティー状態になり、世界を席巻していくというウーマン・パワーを感じさせる作品に仕上がっています。

歌詞とリンクする作り込み

母親と父親のシーンもそうですが他にも注目したいところがあります。

ビデオの中盤「仲良くなった女の子を連れて回さず、自分の世界に留めておこうとする男の子がいる」という歌詞が歌われるシーンがあるのですが、テレビに映る映画『ノートルダムのせむし男』(1923)のワンシーンが映されています。

【出典】Classic Horror Films (@HorrorHammer1) Xより

片手にエスメラルダという女性を抱えた鐘撞きのカジモドがノートルダム大聖堂の中に引っ込んでいくシーンとリンクするのです。

また「外に出歩きたい」という歌詞が歌われる際は、ビーチで日光浴をする女性たちが描かれたり、後半マンハッタンの地下鉄から街中へ繰り出す描写からもその様子を伺えます。

シンディの部屋にあるラガディ・アン人形が意味することとは?

【出典】Mrs. Stierwalt (@book_for_little_readers) Instagram

3’26”に一瞬ですがラガディ・アン人形が映し出されます。これはアメリカで人気の絵本キャラクターで、原作者のジョニー・グルエルが彼の病弱な娘のためにプレゼントした人形からところからきています。人気な人形だからあるとも捉えることができますが、一瞬このカットが入るのはある意味で「過保護にされている女の子」を意味しているとも考えられます。

仲良しの友人から街中の人を家に呼んでくるシーンでは、頭を抱える母親と怒りを爆発させて部屋の鍵穴から様子を覗くという描写もあり、手に負えずコントロールできない娘に対し「こんな風に育てたつもりはない」と心の声が聞こえてきそうです。

つまり抑え込まれていたシンディの感情が爆発した瞬間とも言えるのです。

グラスベイクのマグカップも販売されていた(高円寺ディーラーシップにて)

【出典】Thescaryfact ™ (@thescaryfact) Instagramより

つる
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最近だとラガディ・アン人形に取り憑いたアナベルという悪霊から通称「アナベル人形」としても知られてるよ。

テキーラ
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あ〜、映画『死霊館』シリーズのやつな〜

【出典】映画『死霊館』予告1【HD】 2013年10月11日公開|ワーナー ブラザース|YouTubeより
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参考文献

以下の書籍や記事、動画などを参考にしました。ありがとうございました。

記事・サイト

動画・映像作品

【出典】Cyndi Lauper Reflects on Her Career: “I Sing Because It Makes Me Feel Free” | Amanpour and Company|Amanpour and Company|YouTubeより
【出典】Cyndi Lauper on We Are the World, Girls Just Wanna Have Fun Farewell Tour & New Documentary|Jimmy Kimmel Live|YouTubeより
【出典】映画 『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』予告編|Cultureville|YouTubeより

まとめ:「Girls Just Want To Have Fun」は世の女性たちにエールを送る名曲

【出典】Music And Video Exchange (@musicandvideoexchange) Instagramより

今回はシンディ・ローパーの “Girls Just Want To Have Fun” を解説してきました。元々男性視点で書かれた歌なのに、見方を変えると一気に女性にエールを送る楽曲になるとは驚きですよね。

そしてシンディは今月「Girls Just Want To Have Fun Farewell Tour」というワールドツアーの一環で日本にやってきます。しかもこれが最後の来日公演。ぜひ行く方は全力で楽しんできてください!

このように日々洋楽の魅力を発信しています。役に立った、面白かったと思ってもらえたら幸いです。またSNSのフォローもよろしくお願いいたします!

それでは、洋楽を楽しみましょう。SEE YOU NEXT WEDNESDAY!!

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音楽ブロガー/イラストレーター
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞しアルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。 寄稿などのお仕事はお問い合わせからお願いします。
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