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【ディスクレビュー】マイリー・サイラスの『エンドレス・サマー・バケーション』を聴いてわかったこと【全曲解説】

マイリー・サイラスの『エンドレス・サマー・バケーション』
axlcity
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今回レビューするのは、マイリー・サイラスの8枚目のアルバム『エンドレス・サマー・バケーション』(”Endless Summer Vacation”)だ。

30代になってからの初のスタジオ・アルバム。

一体どのように彼女は進化を遂げたのか?

全曲レビューしてわかったことを考察とともに記録した。

これから聴きたい人、マイリーの事をよく知らない人へ役立つ内容となっているので、是非、最後まで読んでくれると心からうれしい。

つる
つる

このディスクレビューは感性や感覚の話になるので、あくまで個人の意見としてとらえていただきたい。

この記事で分かること・おすすめな人
  • 初見ならではのレビューと考察
  • 全曲解説&おすすめ度(★5段階評価)
  • アルバムの歴史
  • マイリー・サイラスに興味がある方
  • 洋楽をとことん楽しみたい方
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『エンドレス・サマー・バケーション』全曲レビュー/おすすめ度(★5段評価)

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アルバム『エンドレス・サマー・バケーション』ガイド
収録曲収録時間おすすめ度(★5段階)
Flowers3:20★★★★★
Jaded3:05★★★★★
Rose Colored Lenses3:43★★★★★
Thousand Miles feat. Brandi Carlile3:51★★★★★
You2:59★★★☆☆
Handstand3:25★★★☆☆
River2:42★★★★☆
Violet Chemistry4:06★★☆☆☆
Muddy Feet feat. Sia2:17★★★☆☆
10Wildcard3:13★★☆☆☆
11Island3:59★★★★★
12Wonder Woman3:04★★★★☆

1. Flowers

終始ファンキーなベースラインで展開する楽曲。

歌い出しの前に8秒間SEが流れるのだが、それがまたいい。

針を落としたレコード盤の音と水の波紋を演出したようなコーラス・エフェクターが、このたった数秒間で表現されている。

ハスキーなマイリーの声は、30代になってより深みが増したような気がする。

特にポスト・コーラスの部分はいい意味で掠れているので、悲しみや強く生きようというマイリーのメッセージを強く感じることができる。

それは「自分自身に花を買うことができる」や「自分で自分のことを愛することができる、あなたよりもね」と歌っているところから察することもできるだろう。

注意深く耳を澄ませるとマイリーのマウス・パーカッションの演奏を聴くことができる。

曲の詳しい解説は【第7回】マイリー・サイラスの「Flowers」を紹介、歌詞から分かる曲の背景を考察【洋楽名曲解説】にまとめているので、気になる方はぜひチェックしてくれ。

合わせて読みたい
【第7回】マイリー・サイラスの「Flowers」を紹介、歌詞から分かる曲の背景を考察【洋楽名曲解説】
【第7回】マイリー・サイラスの「Flowers」を紹介、歌詞から分かる曲の背景を考察【洋楽名曲解説】

2. Jaded

水中の中にいるような涼しげな音は、ギターのコーラス・エフェクターによって演出されている。それは涙を表しているかも知れない。

この曲で印象的なのは、ユニークなシンセサイザーだ。80年代ニューウェーブを思わせる音色とマイリーの声によってレトロ・フューチャーな楽曲に仕上がっている。

演奏しているのは音楽プロデューサー、グレッグ・カースティン(Greg Kurstin)

リアム・ギャラガー、シーア、フー・ファイターズ、ケリー・クラークソンなど名だたるミュージシャンたちをプロデュースしてきた人物だ。

彼のプロデュースした最高傑作はアデルのアルバム『25』で、グラミー賞 最優秀アルバム賞に輝かせた。

グレッグは、もともとジャズ・ミュージシャンを目指していた。

その背景もあってか、フュージョンの要素もあり、初見リスナーにとって入りやすく聴き馴染みやすいのも特徴的な楽曲に仕上がっている。

【参考】【知りたい】ロックの才能から引っ張りだこ、グレッグ・カースティンのプロデュースの凄さとは?

考察

「Jaded」が意味する「飽き飽きした、うんざりした」というタイトルと歌詞には、離婚し疎遠になったマイリーとリアムの関係性を歌われているものと考察できる。

1曲目の「Flowers」では逆境を乗り越えた女性の自己愛を表現している一方で、「Jaded」はマイリーが言えなかった事への後悔、元夫への謝罪が表現されている。

“I’m sorry that you’re jaded”(あなたをうんざりさせてごめん)

というコーラス部分からも分かるし、客観的に自分自身をとらえたマイリーのソングライターとしての観点から見ても素晴らしい。

3. Rose Colored Lenses

8ビートのゆったりなリズムで展開される楽曲で、ベースはリアムとの私生活を描いているが前の2曲とは、また違う世界が描かれている。

過去の甘い思い出の記憶をロマンチックに描いている内容で、この夢物語の世界が永遠に終わらなければいいのにと思っている。

しかしそれも、そう思っているフリをしていると言う。

さらに裏を描いたなんとも複雑な歌だ。

2:46からの差し色としてサックスが演奏されるのだが、これは80年代のポップシーンでもよく演奏されていた手法を取り入れたのだろう。

サックスのアルベジオと聴いた時の第一印象から、プリンスが「Let’s Go Crazy」で速弾きのギター・ソロを弾いていたのにもよく似ている。

プリンスの “Let’s Go Crazy” (1984年)
考察

歌詞の中にアルバムのタイトル名である “Endless Summer Vacation”というフレーズが出てくる。

意味は「終わりなきサマー・バケーション(夏休み)」

これは永遠に続くであろう結婚生活を意味しているのだと思われる。

離婚で終止符を打たれたことで終わり、恋愛感情なども自分自身を偽っていたのではないかと疑いを持った感情から「pretend(〜のフリをする)」と何度も歌われている。

また曲名の「Rose Colored Lenses」(バラ色のレンズ)は水平線に沈む夕日のような色。

まさに「サマー・バケーション」の終わりを意味しているのかもしれない。

4. Thousand Miles feat. Brandi Carlile

この曲を聴いていると、どこか懐かしい気分になる。

それは私が80年代の音楽や映画が好きだからだ。

この曲は私の好きな時代の音楽のエッセンスをよく含んでいる。

冒頭とラストのシンセサイザーはレトロな世界観を作り、アコースティック・ギターやハーモニカはカントリー・ミュージックとブルースを感じさせる。

また60年代音楽シーンで使われたローズピアノがあることで温かみを演出、そこにマイリーとブランディ・カーライルの歌声が入ることで現代と過去がうまくマッチして、深みが増したバラードに仕上がっている。

曲の詳しい解説は【第5回】マイリー・サイラスの「Thousand Miles feat. Brandi Carlile」を紹介【洋楽名曲解説】にまとめているので、気になる方はチェックしてくれ。

合わせて読みたい
【第5回】マイリー・サイラスの「Thousand Miles feat. Brandi Carlile」を紹介、歌詞からわかる背景を徹底考察【洋楽名曲解説】
【第5回】マイリー・サイラスの「Thousand Miles feat. Brandi Carlile」を紹介、歌詞からわかる背景を徹底考察【洋楽名曲解説】

5. You

時を戻すようにリバースのかかったSEから始まる。

ハスキーなマイリーの声とピアノ、エイミー・ワインハウスを思わせるようなR&Bが約3分間という時間の中に集約された楽曲。

2:20から最後まで「You, Only With You」と歌われるのだが、マイリーの魂の声とバックコーラスの声の厚みがすごく臨場感がある。

まるでウォール・オブ・サウンドのような音の厚みがいい。

またピアノの演奏は、スキーター・デイヴィス(Skeeter Davis)の「この世の果てまで」(The End of The Worldをオマージュさせたようなコード進行であるのも注目だ。

スキーター・デイヴィスの “The End of the World” (1963年)
考察

この曲で歌われているのは、元夫リアム・ヘムズワースではなく、マックス・モランド(Maxx Morando)のことを歌った曲であると考えられる。

マックスは25歳のミュージシャン。

「リグレッツ」と言うバンドのドラマーを経て、現在はロサンゼルスを拠点に活動する4人組のバンド「リリー」のメンバーのひとりだ。

「You」はアルバムの中で最も古い曲で、2021年に書かれたもの。

また、この年にはすでにマイリーとマックスは交際を始めている。

歌詞の中からも考察でき、「元彼に中指を立てる」「イエス様は必要ない、だってあなたが救ってくれたから、あなたと一緒なら、それでいいの」

と歌っているところや、曲名が「You」(あなた)といった点からもそう分かる。

【参考】出会いはブラインドデート! マイリー・サイラスと恋人マックス・モランドの恋愛タイムライン シンガーソングライターで俳優のマイリー・サイラスとミュージシャンのマックス・モランドの、出会いから今日までを振り返ります。

All About Miley Cyrus’ Boyfriend Maxx Morando and Their ‘Low-Key’ Relationship

6. Handstand

映画『ブレード・ランナー』など80年代SF映画を観ているかのような、ディープでダークな世界観が冒頭から作り込まれている。

またその世界で生きる住人かのように、マイリーが詩を朗読する。

詩から分かる世界は、日常と空想の中間のような場所。

それはこんな世界だ。

「ネオンで輝く小舟の上で出会う男女、マンタの群れとヤシの木が通り抜け、発光生物が高いところから照らす」

「デンキウナギと紅色の毒液」

「空には、馬に乗った騎手たち、彗星に乗って笑いながら向かってくる」

まだまだ続くのだが、まるでファンタジー世界に紛れ込んだかのような歌である。

1分間に及ぶ詩の朗読からコーラスへと展開は変わる。

変化するのは、曲の展開だけではなく彼女の歌い方も同様に変わる。

「Cruel Summer」を歌ったテイラー・スウィフト、彼女を彷彿させるような、少し早口なスタイルに変化しているのも注目だ。

豆知識

この曲をプロデュース、演奏をしているのはマックス・モランド。

他にもこの曲の作詞にも関わっている。

考察

歌は時の流れがゆっくり進むような空想の世界が描かれている。

この曲を書いたのは、マイリーの他に映画監督のハーモニー・コリンとマックス・モランドだ。

この映画監督はアート作品も作っており、「Young Twitchy」という友達のようなエイリアンが庭で遊んでいる絵画を発表している。

さらに、この絵は2019年に発表されたものなのだが、曲の中にも反映されており、

“Twichy”と言う人物が登場する。

正確には”Big Twichy”なのだが、おそらくTwichy星人と言う意味であろう。

【参考】Who Is Big Twitchy, Miley Cyrus’s Endless Summer Vacation Star?

HARMONY KORINE Young Twitchy

7. River

従来のマイリー・サイラスを思い出させるようなダンス・エレクトロ・ポップ。

やはり曲の入り口はキラキラとした音色を響かせており、水面に反射する太陽の光を想像してしまう。

マイリーの「Two More Lonely People」が好きな人には特に刺さるのではないだろうか。

曲は、「新しい恋人と新しい人生を踏み出した女性の物語」が描かれている。

おそらくマイリーとマックスの事であろう。

「あなたは運命の人なのかも」という歌詞からも想像がつく。

そして2人の関係が永遠に続くことを「River」(川)と表現している。

豆知識

クレジットを見るとHorns(ホーン/金管楽器)の演奏をアイヴァン・ジャクソンが演奏している。

ブラストラックス(Brasstracks)というデュオ・グループで活動しており、主にトランペットを演奏する人物だ。

2016年にチャンス・ザ・ラッパー(Chance the Rapper)の「No Problem」をプロデュースし大ヒット。

グラミー賞にも輝いた。

8. Violet Chemistry

「River」と同じく今までのマイリーを感じさせ、シンス・ポップにアレンジしたラブソングだ。

“When the floor is wet/ And the lights come on”(濡れた床にライトが灯される)

という出だしから始まるこの歌は、「ダンスフロアで出会う男女が一夜を共にし、家へ帰る」といったよくある物語が描かれている。

“Stay awhile with me”(もう少しだけ一緒にいよう)と歌っている点からも、マックス・モランドとの出会いを歌にしたのだと考えられる。

実際、彼はこの曲のプロデュース、レコーディングにはキーボードで参加している。

9. Muddy Feet feat. Sia

クラシックなピアノから始まるので、バラードかと思いきやすぐに裏切られる。

淡々とリズムを刻むトラップビートと重低音ベースに合わせ歌われるマイリーの声色から、どこかダークさを感じる。

0:40から始まるコーラスの部分では歌声が変化、ジョーン・ジェットを匂わせる腹の底から煮えたがる魂の叫びがマイリーの感情をうまく表現している。

1:47からラストまでシーアが「ウォ、オオ、オ、オオ、オー」と臨場感溢れる特徴的な声がマイリーの世界とマッチする。

ヒップホップの要素が強く、シーアの力があって完成する楽曲と言っても過言ではないだろう。

豆知識

クレジットに記載されているのだが、この曲はエラ・ワシントンの1969年の楽曲「Starving for Love」をサンプリングしている。

エラ・ワシントンの “Starving for Love” (1969年)
考察

曲名の「Muddy Feet」(泥だらけの足)からも分かる通り、関係性の終わった男女のことが歌われている。

「私の家から出て行って」と繰り返し歌われるのは、元旦那のリアム・ヘムズワースに対することは間違いない。

「あなたからは、買ったことのない香水の匂いがする」

と言うところからはリアムに別の女ができたことを表している。

実際にリアムはオーストラリアのモデル、ガブリエラ・ブルックスと交際しており、すでに3年以上経っているそうだ。

【参考】オージーモデル【ガブリエラ・ブルックス】の彼は誰!?

10. Wildcard

電子音が繰り返し流れ、マーチングバンドのように一定のリズムでドラムが叩かれる。そう、今まさにマイリー・サイラスの行進が始まろうとしている。

この曲で歌われるのは、予測不能なワイルドカードの私(マイリー)自身のこと。

元旦那リアムとの私生活をおままごとに例えたり、愛が永遠ということは決してない、という今の恋人であるマックスに対しても、警鐘を鳴らしている楽曲だ。

考察

タイトルを見て思いつくのは、2015年の映画『ワイルドカード』だ。

ジェイソン・ステイサム主演の映画で、ギャンブル依存症でラスベガスから出て行くことのできない用心棒が、とあるクライアントからの仕事で事態が一変するというストーリーが描かれる。

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ある意味、マイリー・サイラスもこの手の話を歌にしたのだろう。

映画ではギャンブル依存症、そして歌では恋愛・愛情依存症を意味している。

「あなたをどれだけ愛しても、満たされないの」という歌詞はまさにそんな状況を表していると考えられる。

11. Island

「Jaded」を思い出させるようなイントロの音。

海の底から噴き出る空気の泡が、太陽で反射するきらびやかな水面に打ち上げられていくようなシーンをつい想像してしまう。

「Island」は、まさにそんな楽園の孤島をテーマにした歌だ

全体的なリズムもレゲエの要素を取り入れたり、SEで波の音が入ることで涼しさを感じる。

ママが言ったの「手に入れたなら、一服しな」って、という歌詞はダブルミーニングを意味しているのだが、マイリーにも休息が必要ということを言っているのは、あながち間違いない。

本作の中で最もゆったりした楽曲で、マイリーにとってもリラクゼーション的な意味合いを持つ曲だろう。

12. Wonder Woman

他の曲と比べて楽器は少なく、ピアノ、ベース、シンセサイザーで構成されたシンプルなバラード曲に仕上がっている。

ワンダーウーマン(素晴らしい女性)とは、自分自身のことを歌っているのだろうか。

「こみ上げる涙を止めることができない」という歌詞で、マイリーのビブラートが入り相当想いが強い曲なのかと想像できる。

自己愛の「Flowers」で始まり、自分自身を認める「Wonder Woman」で締め括るという、ラストソングを飾るにふさわしい曲だろう。

考察

この曲はマイリーが祖母に捧げた曲だと言われている。

2020年に亡くなった彼女の祖母は、マイリーのファンクラブの運営もしていた人物でもある。

以下、マイリーはこう語る。

“It’s about generational strength and the wisdom that my grandma gave to my mom. It’s embedded in my DNA so we almost all feel like one woman in a way. One Wonder Woman.”

世代を超えた強さと、祖母が母に与えてくれた知恵について歌った曲よ。それは私のDNAに組み込まれているから、ある意味、私たちは皆、一人の女性のように感じるの。一人のワンダーウーマンとしてね”

【出典】Miley Cyrus Instagramより

アルバム『エンドレス・サマー・バケーション』について

アルバム『エンドレス・サマー・バケーション』は、2023年にリリースされたマイリー・サイラスの通算8枚目のスタジオ・アルバムだ。

解説

始まりは、2023年1月に先行リリースしたシングル「Flowers」

発表後すぐに11億回以上のストリーミングをされ、ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”では8週にわたって1位を獲得。

Spotify史上、1週間でもっともストリーミングされた楽曲になり、さらには、たった112日間で10億再生を成し遂げるという記録を音楽史に残した。

3月10日には「Flowers」を収録したアルバム『エンドレス・サマー・バケーション』がリリース。

シングル「Flowers」とアルバム『Endless Summer Vacation』がグラミー賞6部門にノミネート。

その結果、見事「最優秀ポップソロパフォーマンス賞」と「最優秀レコード賞」の2部門で受賞され、キャリア初のグラミー賞を受賞した

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まとめ:『エンドレス・サマー・バケーション』を全曲解説・レビューしてみて

アルバムを通して聴いてみると、マイリー・サイラスというひとりの人間の人生を描いた作品だと感じた。

『ハンナ・モンタナ』をキッカケに歌手デビューして、30代にして結婚、離婚など人生経験が豊富だからこそ、新たな心境にたち作り出したのだと改めて思う。

曲の大半は「恋愛」をテーマにしたものが多い。

特に元夫リアム・ヘムズワースへのアンサーソングとも言える「Flowers」なんかはいい例だろう。

ただその中には、マイリーの自分自身に対する自己愛や強い女性などが歌われているものもある。

全12曲のうち、前半の6曲(A面)と後半の6曲(B面)で明暗がはっきりしているのが面白い点でもある。

前半ではリアムのことが歌われていて、後半ではマックスとの出会いでいい方面に変化した自分を歌っている楽曲が多い。

ただその中には、「永遠」という別のキーワードが隠されている。

アルバム名の『エンドレス・サマー・バケーション』(終わりなきサマー・バケーション)を始め、「Forever」という単語がたくさん歌詞の中に散りばめられている。

昔の恋も新しい恋も「永遠」はあるのだろうかと不安だったり、疑問だったりを問いかけているのだろう。

このように、強い女性を表す一方で、不安や怒り、喜怒哀楽を表現した曲もあり、マイリーの心境の変化も表現されて、人間味を感じるアルバムだ。

彼女も「自分の身体的、精神的な幸せに集中することで見つけた、強さを映し出したもの」とアルバムについて語っている。

80年代風のシンセサイザーを多用し、「夏」を演出したサウンド作りも楽しめて、この時代の音楽が好きな人には、おすすめしたい楽曲が豊富だ。

30代を迎えた新たなマイリー・サイラスの音楽を聴いてみてはいかがだろうか。

日々洋楽の魅力を発信しているので、少しでも興味を持って曲を聴いてもらえると幸いだ。

それでは良き洋楽ライフを!

SEE YOU NEXT WEDNESDAY!!

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音楽ブロガー・ライター/イラストレーター/ミュージシャン
音楽に取り憑かれたロックン・ロール信者。中でもとにかく洋楽が好きで365日毎日聴き続けている。大学生の頃アメリカ留学中に受けた授業「ロックの歴史」に感銘を受け、そこから"次世代の小林克也"を目指すようになる。

CD、カセット、レコードなどアナログで鑑賞、アルバムを手に取ってはニヤニヤする変態。特技は80年代洋楽をミュージックビデオと共に1時間鑑賞する事。

日本全国、いや全世界にロックを必修科目にさせるべく日々魅力的な記事を投稿中。
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