【第5回】マイリー・サイラスの「Thousand Miles feat. Brandi Carlile」を紹介、歌詞からわかる背景を徹底考察【洋楽名曲解説】
このカテゴリーでは主に楽曲解説にフォーカスしています。
あの曲は、何を歌っているのか?有名な曲だけど、歌詞の内容までは知らない。
なんとなく歌っていたあの曲ってそんな歌だったの、といった疑問を解決するコーナーとなっています。
今回紹介するのは、マイリー・サイラスのアルバム『エンドレス・サマー・バケーション』から、
“Thousand Miles feat. Brandi Carlile” です。
- 曲の意味、背景、誕生秘話
- 歌詞や楽器からの考察
全曲レビュー記事は【ディスクレビュー】マイリー・サイラスの『エンドレス・サマー・バケーション』を聴いてわかったこと【全曲解説】から読めます。
曲の概要
- マイリー・サイラスの『エンドレス・サマー・バケーション』に収録された楽曲。
- マイリーとブランディ・カーライルのデュエット曲
- 悲劇を元にしたバラード曲
- 第66回グラミー賞授賞式で、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされた
“Thousand Miles” の意味
まずは、”Thousand Miles” のタイトルの意味を見ていきましょう。
単語 | 発音 | 意味 |
thousand | UK:*/ˈθaʊzənd/ US:/ˈθaʊzənd/ ,(thou′zənd) | 1000、千 |
mile | UK:*/maɪlz/ US:(mīlz) | (距離)マイル |
feature | UK:*/ˈfiːtʃər/ US:/ˈfitʃɚ/ ,(fē′chər) | フィーチャリング 共演、共演者 |
【参考】WordReference.com /オンライン言語辞典
訳すと「1000マイル」という意味になります。
ちなみに1マイルは1.6kmなので、1000マイル1609kmになります。
続いて曲の内容についてみてみましょう。
曲の内容
歌の内容は「終わった恋愛に対して葛藤している女性」が描かれています。
過去の出来事を思い出したり、自分自身を問いただしたり、自暴自棄になる場面も歌の中に表現されています。
考察
歌うコーラス部分で歌われるように「転がる石のようにしがみついているのよ」強い女性像を表現している一方で、弱さを見せる瞬間もあります。
「自分に言い聞かせたの、扉を閉めたのは私だってことを」
という歌詞は、過去の自分と今の自分との境界線を「扉」で表現したものでもあり、生と死の境界線を表現したものであるとも捉えることができます。
これは、歌の元になった出来事を意味しているのかもしれません。
「ボロボロのメルセデスで街中をドライブする」と言う冒頭の歌詞からも、離婚してからの3年間のマイリー自身のことを表現しているのかもしれません。
実際、マイリーは19歳でメルセデス・ベンツを購入しているよ
曲の背景
曲を書き上げる引き金となったエピソード
ESV BACKYARD SESSIONS ON @DisneyPlus NOW pic.twitter.com/KGM8RD2Dh2
— Miley Cyrus (@MileyCyrus) March 12, 2023
【出典】Miley Cyrus (@MileyCyrus) Xより
ディズニー+で配信中のマイリー・サイラスの「Backyard Sessions」によれば、2016年から2017年頃、彼女の親しい友人が妹を自○で亡くしたことをキッカケに書いた曲だと説明しています。
彼女自身にも7歳下の妹、ノア・サイラス(Noah Cyrus)が彼女がいない世界を想像することができないと、マイリーは、すぐにペンを走らせます。
【出典】Miley Cyrus Instagramより
妹へ向けて書いたデモ曲は、「Happy Girl」というタイトルだったそう。
「Backyard Sessions」では、「Thousand Miles」になる前のオリジナル歌詞でアカペラを披露。
以下のように歌は続きます。
“There was a friend of mine. Her name was Darlene, but all of us called her Becky. I don’t know why,”
「私には友達がいた/彼女の名前はダーリーン/でもみんなベッキーって呼んでた/なんでかは分かんないけど」
“I knew she was hurting. But I never thought I’d wake up to that call.
「彼女が傷ついているのは知っていた/でも、あの電話で目が覚めるなんて思ってもみなかった」
(中略)
Now all I want is simply for you to be happy, girl. Even if that is a world without me.”
「今、私が望むのは、ただあなたが幸せでいることよ、ガール/たとえ私がいない世界であっても」
※翻訳は管理人によるものです
歌い終わりに涙を拭うシーンもあり、曲への思いれが強いのもわかるね
【参考】Miley Cyrus Pays Tribute to Noah Cyrus in Her New Song ‘Thousand Miles’
音作りによる癒しの表現
「Thousand Miles」はカントリー・バラードで展開されます。
北米大陸へ移住してきたヨーロッパの人々が持ち込んだケルト民謡などをルーツに持つカントリー&ウエスタン。
哀愁漂う音作りはアコースティック・ギターやハーモニカなど生楽器からも伝わります。
他にも「ロースピアノ」が演奏されているのにも注目です。
1940年代ごろに作られたピアノで、戦地へ赴く兵士たちへの音楽療法のための楽器であったという背景もあります。
【出典】Rhodes® Instagramより
また、マイリーもアメリカ南部のテネシー州出身であること、父親のビリー・レイ・サイラスがカントリー歌手であることで歌い方にも影響を受けています。
そのエッセンスに加え、シンガー・ソングライターのブランディ・カーライルの歌声が融合し温かみのある楽曲に仕上がったのだと感じます。
This is what singing with your SHEro sounds like! @brandicarlile 🖤 #TheStory pic.twitter.com/RTDzrUvgSH
— Miley Cyrus (@MileyCyrus) January 3, 2022
【出典】Miley Cyrus (@MileyCyrus) Xより
レコーディングをした2022年にも共演しているな
まとめ:「Thousand Miles」を聴いてほしい
「Thousand Miles」の内容、背景と独自の考察を交えて紹介してきました。
実は「ローズピアノ」が演奏されているのは、この曲と「Flowers」の2曲のみ。
「私自身に花を買うことだってできる」と自己愛を歌った楽曲です。
共通しているのは「強く生きる」というテーマです。
また、2024年第66回グラミー賞授賞式で「Thousand Miles」は最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされ、「Flowers」は最優秀ポップ・パフォーマンス賞(ソロ)、年間最優秀レコード賞を受賞しました。
【出典】Recording Academy / GRAMMYs (@recordingacademy) Instagramより
曲のことを深く知ると見え方や聞き方にも変化が現れます。
さらに、アルバムを通して聞くとまた違った印象を持つことができます。
「Thousand Miles」が収録されたアルバム『エンドレス・サマー・バケーション』も合わせて聴いてみてくださいね。
アルバムもグラミー賞で最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞にノミネートされているよ!
少しでも気になった方は、マイリーの曲を聴いてもらえると嬉しいです。
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