【第1回】ジョーン・ジェット「Bad Reputation」とは?曲の解説&誕生秘話
記事をご覧いただきありがとうございます。
このカテゴリーでは主に楽曲解説にフォーカスしています。
あの曲は、何を歌っているのか?有名な曲だけど、歌詞の内容までは知らない。
なんとなく歌っていたあの曲ってそんな歌だったの、といった疑問を解決するコーナーとなっています。
さて、楽曲解説特集の記念すべき第1回、
今回紹介するのはジョーン・ジェットのソロ・デビュー・アルバムから
“Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)です。
- 曲の意味、背景、誕生秘話
- ジョーン・ジェットのソロ活動の歴史
- 歌詞、ミュージックビデオからの考察
ジョーン・ジェットの詳しい解説は【入門解説】ジョーン・ジェット~ガールズバンドのパイオニア〜代表曲や魅力、現在の活動を紹介〜で記事にしております。
曲の概要
- 1980年自主制作ソロアルバム『Bad Reputation(バッド・レピュテーション)』に収録
- ケニー・ラグーナと共作
- 自身の身に起きたことを歌った曲
“Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)の意味
まずは、タイトルの “Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)の意味から見ていきましょう。
単語 | 発音 | 意味 |
bad | UK:*/ˈbæd/ US:/bæd/ ,(bad) | (形)悪い、間違った、よくない、不快な |
reputation | UK:*/ˌrɛpjʊˈteɪʃən/ US:/ˌrɛpjəˈteɪʃən/ ,(rep′yə tā′shən) | (名)評判、評価、世評、受け |
つまり「悪評」「悪いうわさ」という意味になります。
では、なぜこのようなタイトルがつけられたのでしょうか?
曲の内容
女にロックなんか出来っこないと言われ悪評をつけられ、ボロクソ言われたジョーン・ジェットが、マッチョなロック界に1発食らわせた曲。
男勝りな彼女のシャウトは65歳になった今(2023年現在)でも現役です。
考察
「あなたは過去に生きているのよ、新しい世代なんだから」
という歌詞があります。
これは、保守的な考えを持つ上の世代へ向けた言葉でしょう。
事実多くのレコード会社に拒否されたのは、新しい価値観に気づいていない彼らが世間体や評判を恐れたからと思われます。
ジョーンは、むしろこの悪い評判というのを売りにし、カッコいい新しいロックンロールを作っていきました。
いわゆる、「ライオット・ガール」というやつです。
【出典】Joan Jett Instagramより
「女の子だってやりたいことをできる、だから私はそうするの」
という歌詞もダイレクトで強いメッセージが込められています。
2011年にはアヴリル・ラヴィーンがカヴァー、
2012年映画『ONE PIECE FILM Z』の主題歌として使用されたり、
アメリカの女子プロレスラー、格闘家のロンダ・ラウジーの入場曲としても知られています。
ミュージックビデオについて
“I Love Rock n’ Roll”がヒットして、ジョーン・ジェットに注目が集まるのを狙って作り上げたのが、1981年に公開されたこのミュージックビデオ”Bad Reputation”でした。
ジョーン自身もすごく楽しんでいて、
「面白いミュージックビデオ」と語っているほどです。
内容は、ゴミに塗れたストリートで演奏するバンドが「自分の評判なんて気にしない」とシャウトするところから始まります。
過去の回想シーンでは、モノクロで無声映画にあるようにテロップが入ります。
例えば
“We don’t want your kind here”
(お前みたいな人はいらない)
“Come back when you’re dressed like a lady”
(女らしい服装で戻ってこい)
” You can’t sing”(お前は歌えない)
参考:Joan Jett & The Blackhearts “Bad Reputation” – Official Music Video (1983)
ことごとくレコード会社に拒否されてしまいますが、
“We’ll start our own label- Blackheart Records”
(私たちのレーベル、「ブラックハート・レコード」を始めよう)という展開へ。
その後、Billboard100で”I Love Rock n’ Roll”がナンバーワンに、
“The record’s a hit”(レコードはヒットした)というテロップとともに、
レコード会社は手のひらを返し、ジョーンの演奏に夢中。
ストリートからメディアに引っ張りだこという展開へ。
「23のレコード会社はNOと言った。でも100万人のレコード購入者はYESと言った。」と、とあるメディア記事の拡大シーン。
女にもロックができると証明した作品に仕上がりました。
曲の背景
【出典】The Runaways Instagramより
ジョーン・ジェットは70年代にガールズバンド、ザ・ランナウェイズを結成します。
その後バンドは解散、酒におぼれる日々を過ごしますが、1979年にプロデューサー兼ソングライターのケニー・ラグーナと出会います。
2人は意気投合、ニューヨークに拠点を移しデビュー曲を書き上げます。
ケニー・ラグーナとの出会い
【出典】Joan Jett Instagramより
米ニューヨーク出身のミュージシャン、音楽ブロデューサー、ソングライター。
1980年に妻のメリルとブラックハート・レコーズを設立。ジョーン・ジェットをトップへのし上げた。
1982年バウ・ワウ・ワウ(Bow Wow Wow)の”I Want Candy”のプロデュースでも有名。
アーティスト名 | ヒット曲 |
ダーレン・ラヴ(Darlene Love) | “All Alone on Christmas” |
ビル・メドレー(Bill Medley) | “(I’ve Had) The Time of My Life” |
エドウィン・スター(Edwin Starr) | “War” |
トミー・ジェイムス&ザ・ションデルズ(Tommy James & The Shondells) | “Crimson and Clover” |
オハイオ・プレイヤーズ(The Ohio Players) | “Funky Worm” |
イギリスの「グリッター・サウンド」を気に入り、アメリカで流行らせようと計画。レコーディングのためにイギリスのスタジオに向かいます。
アルバムのレコーディング・セッションには元セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズやポール・クック、ブロンディのクレム・バーグ、フランク・インファンテが参加。
そのうち一曲は “I Love Rock n’ Roll”、のちに大ヒットとなる名曲です。
そこで完成させたLPが『ジョーン・ジェット』でした。
しかしジョーンは23のメジャーな音楽レーベルに持ち込みをしますが、これを全て拒否されます。
彼女が女性であることとザ・ランナウェイズというバンドでの荒くれ者という評判が原因でした。
まだ時代が追いついていなかったんだな〜
ニール・ボガートのカサブランカ・レコードと契約
On this day in 1978, KISS release Double Platinum. pic.twitter.com/lSfBK02zHt
— Monsters Of Rock® (@MonstersOfRock) April 2, 2024
【出典】Monsters Of Rock®(@MonstersOfRock)Xより
カサブランカ・レコードの創設者ニール・ボガートがジョーンと契約。
映画『カサブランカ』からとった社名みたいだよ
映像はKISSのアルバム『ダブル・プラチナム』がリリースされたときに、社長自らがコマーシャルに出たものだぜ
米のレコード会社「カサブランカレコード」の創設者。
雑誌社の営業マンを経て1967年にブッダレコードを設立。
カーティス・メイフィールド、アイズレー・ブラザースなどのミュージシャンを輩出。
カサブランカの社員は皆ベンツを所有、デスクでコ◯イ◯を吸うなど、まるで映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で見るような光景が広がっていたとか。
アーティスト名 | ヒット曲 |
キッス(KISS) | “Rock and Roll All Nite” |
パーラメント(Parliament) | “Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)” |
ドナ・サマー(Donna Summer) | “Love to Love You Baby” |
シェール(Cher) | “Take Me Home” |
※かつてはマーク・ボランも契約に夢中になっていたらしい。
ボガートが新しく設立したレコード会社、ボードウォーク・レコードからアルバム『バッド・レピュテーション』を発売します。
これは、ジョーンがソロで出したLP『ジョーン・ジェット』を改題したものでした。
しかし商業的には成功しませんでいた。
個人的には裏名盤なんだよな〜
カサブランカレコードから出た、1982年映画『フラッシュダンス』のサウンドトラックは大ヒットしたけどね〜
しかし、ジョーンは新たに「ブラックハーツ」と呼ばれるバンドを率いて首位逆転し、ロックの歴史にその名をのこす偉業を成しとげます。
まとめ:”Bad Reputation”を聴いてほしい
女性がロックをすることができなかった1970年代、ギターレッスンの時にギターを持っても教材曲はフォークソングだったとか。
自伝映画『ランナウェイズ』でもそのようなシーンがありました。
スージー・クアトロに影響を受けパンク・ムーブメント真っ只中にティーンだったジョーンにとってはロックこそが全てだったのでしょう。
そして”Bad Reputation”(バッド・レピュテーション)には彼女のロック界への宣戦布告という強いメッセージが隠れていました。
また、彼女の半生を描いたドキュメンタリー映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』では、より詳しくジョーン本人による解説や彼女に関わる著名なミュージシャンたちによるインタビューでさらに深掘り出来ます。
ぜひこの機会に聞いてみてはいかがでしょうか?
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それでは次の記事でお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEDNESDAY!!
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