【祝誕生30周年】渋谷で期間限定開催中の『ひつじのショーン展 with ウォレスとグルミット』に行ってきた感想

イギリスのアニメーション会社、アードマン・アニメーションズが誇るクレイ・アニメーション作品「ひつじのショーン」。今年2025年はキャラクター誕生から30周年という記念すべき年ということもあり、東京・渋谷にある「東京アニメセンター」で展示会が開催されていると聞きつけ行ってきた。
本記事では展示会の様子や展示されているもの、グッズ物販の様子などをまとめている。一部ネタバレを含むがこれから行く方や遠方で行けない方に参考にしてもらえれば幸いだ。
「ひつじのショーン展」の外観

渋谷駅から徒歩5分ほどでMODIに到着。エスカレーターで建物内2階にある東京アニメセンターに行くとすぐにショーンが出迎えてくれる。左側が受付になっており、正面はグッズ物販の販売エリアになっている。
『ひつじのショーン展』の様子

すでに20人くらいのお客さんで賑わっている展示会場。カップルと女性の割合が圧倒的に多い印象だ。
さて、まず最初に見れるのは展示会に向けて主催者、ニック・パーク監督、アニメーターのリチャード・スターザック氏からのコメントとアードマン・アニメーションズの歴史年表だ。1977年の作品「Confession of a Foyer Girl」から「ひつじのショーン」の最新シリーズまでの写真と紹介映像を見ながらこれまでの歴史を辿れるというもの。


ここにもショーンがいたな!
前半は「ウォレスとグルミット」の展示エリア

展示会の前半は「ウォレスとグルミット」の展示エリア。メインは「ひつじのショーン」とこともあって全体の4分の1ほどに限定されている。しかし、今まで見たことなかった撮影に使われたクレイ模型やストーリーボード、デザイン案などを見ることができる。
映画『ウォレスとグルミット 危機一髪!』のショーンの展示



まず最初に見られるのは、ショーンが初登場した映画『ウォレスとグルミット 危機一髪!』(1995)の展示。シリーズの登場人物の説明や細かい詳細が各展示ごとに設けられている。


劇中で使われた模型や小道具の展示





中でもグルミットと向かい合っているシーンを再現したクレイ人形やモーターバイクとサイドカーに乗った模型、グルミットが監獄に入れられてしまったシーンのセットなどは特に見ものだ。
コンセプトアートとストーリーボードの展示


劇中では全く見ることのないモーターバイクとサイドカーの設定図など、事細かに詳細が描かれているのにはビックリ。本物からミニチュアサイズに落とし込むことで一層生き生きとしたリアリティを感じるのかもしれない。

ストーリーボードにはグルミットの脱獄シーンやプレストンとの戦いのシーン、ラストでチーズを食べてしまうショーンの場面が描かれものが展示されている。



その他「ウォレスとグルミット」シリーズ作品の展示の様子




奥へ進むとシリーズ一作目『ウォレスとグルミット チーズ・ホリデー』のニックパークが描いた初期の原案イラストのほか、『ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』や最新作『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』で使われた小道具が展示されている。





前半で見た『危機一髪!』以外の作品のクレイ人形はほとんど無いのだが、見落としがちな小道具の細かい作りをじっくり見れるのは貴重だ。

ペンギンも見たかったなぁ〜
「ひつじのショーン」の展示エリア

中盤から後半にかけては「ひつじのショーン」の展示エリアになっている。シリーズ作品で登場するキャラクターの紹介から始まり、ここでは主に各話のストーリーボードを見ることができる。
日本での展示会用の特別セット

だが、1番注目したいのは日本での展示会のために作成されたセットだ。ガラスのケースに入ったセットには、ニンジンを引っこ抜こうとする牧場主にそれを阻止するモグラ、背後の高台からパチンコで狙い撃ちしようとするショーンの場面が今にも動き出しそうな雰囲気を出している。



360度色んな方向から見ると面白く、地層の中まで見ることができ恐竜の化石や金貨、リモコンなどを発見できる。じっくりと何時間でも見ていたくなる作品だ。

個人的にショーン目線で見るのがおすすめ!
ストーリーボードの数々とジオラマ

現在放送&配信されているシーズン6まで170話以上ある「ひつじのショーン」。会場ではその中から厳選された10話のストーリーボードが展示されている。



よく見るとペンの質感が違うのがわかる。2010年頃から鉛筆やインクでの作成ではなくなりデジタルに移行しているのも伺えるのだ。



また、撮影に使われたジオラマも展示されており、木箱の中に作られた納屋には羊たちがリラックスしている様子がうつされている。同じ目線になって見るとキャラクターと同じ世界観を感じられるだけではなく、どのようにすればいい作品が作れるのかという作り手の見せ方にまで感情移入してしまう。
映画作品とスペシャルドラマのジオラマ


展示会の中盤にはキャラクタースケッチやコンセプトアート、映画作品で実際に使われたクレイ人形やセットも展示されている。『映画 ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』内で、ビートルズのアルバム『アビイ・ロード』をオマージュしたシーンの模型やガルパ・コーヒーで雑誌を読みながらコーヒーを嗜むショーンの一場面を再現したセットも組まれている。

【出典】The Beatles (@thebeatles) / TruffleShuffle (@truffleshufflecom) Instagramより

背中に背負われたティミーは、1997年にスパイスガールズのエマ・バントンが身につけていたバッグに着想を得ているそうだよ。


見ていると、ついどんなコーヒーを飲んでいるのか、どんな気分なのか想像してしまうのは私だけではないだろう。
撮影で使われたクレイ人形とセットがずらりと展示

後半では、まず『ひつじのショーン スペシャル 〜いたずらラマがやってきた〜』に登場する3匹のラマのリーダー、ヘクターのクレイ人形が顔を見せる。

細かく見ると毛並みが羊たちとは違うのも面白い。解説によると本物の毛を使っているのだそう。



『映画 ひつじのショーン スペシャル UFOフィーバー!』に登場するファーマゲドンのセットやスーパーマーケットのセット、UFOのコックピット内の様子を描いたセットの展示のほか、放送予定の最新シーズン7のセットの一部が公開されている。


細かいパッケージのプリントはフォトショップで作られているそうだよ
人形の型と大規模なクリスマスのセット


さて1番最後のエリアには製作に使われる人形の型を見ることができる。ここで展示されるのはティミーのモデル。展示品の前にある映像にはアードマンのアニメーターたちが型から人形を作る製作過程も映し出され非常に興味深い。



同じエリアには『ひつじのショーン 〜クリスマスの冒険〜』に使われたクリスマスマーケットが展示されており、現実世界をそのまま小さくしたというくらいリアリティがある。洋服の素材による表情の違いから髪の毛や食べ物のディテールに至るまで事細かに表現されているのがすごい。ぜひいろんな角度から近くで見てほしい。
田中達也氏のコラボ展示&フォトスポット


クリスマスマーケットの横には、Instagramのフォロワー数401万人を誇る人気ミニチュア&見立て作家、田中達也さんとのコラボ作品の展示がある。
【出典】Tatsuya Tanaka 田中達也 (@tanaka_tasuya) Instagramより
日常にあるものに着目し作品に落とし込むスタイルで人気な彼の作品には、日本らしいお寿司をモチーフにしたショーンたちの姿やボールを羊に見立てた作品などを見ることができる。

展示会の最後はフォトスポットになっており、ウォレスになりきって再現できるようになっている。
「ひつじのショーン展」のグッズ物販の様子


出口を抜けるとグッズ物販の販売エリアになっている。「ひつじのショーン展」ではここでしか手に入らない限定品デザインの商品も取り扱っており、ひつじのショーン公式オンラインショップにない商品も多数ある。


「ウォレスとグルミット」関連のものは全体の1割くらいで「ひつじのショーン」のグッズが圧倒的に多い印象。商品のラインナップも日用品からキッチン用品、お菓子類なども幅広く取り扱っている。





すでに完売の商品もあったよ
オンラインでの購入は公式ショップから、また物販の混雑状況や整理券の配布については以下を参考にしてください。
開催期間・アクセス方法
住所 | 〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目21−3 神南共同ビル 2F |
交通アクセス | 「渋谷駅」ハチ公出口から徒歩3分 |
開催期間 | 2025年5月16日(金)~2025年6月29日(日) |
開館時間 | 11時~19時 (展示最終入場18時30分) |
休館日 | 年中無休 |
料金 | 当日券 1,200円(税込) |
SNS | 公式HP(特設ページ) : X (@aardman_jp) : Instagram (@shaunthesheep_jp) |
まとめ:やっぱりアードマン・アニメーションズの作品は最高

今回は「ひつじのショーン展 with ウォレスとグルミット」に行ってきた紹介レビューと感想を追っていった。まず思ったのは、アードマン・アニメーションズの作品は最高だということ。粘土で作られた表情豊かなキャラクターたち、あの小さな世界の中にイギリスらしい街並みや風土を感じられるのがなんとも言えないのだ。
私個人も親の影響で幼稚園の頃からずっと変わらず好きで、NHKのBSで放送していた特集番組「ニックパークの世界」を録画したVHSをチーズとクラッカーを片手に繰り返し見るほど。2006年、当時小学4年生の頃には三越伊勢丹で行われたイベント「ウォレスとグルミットの世界展」に参加し、グルミットを作成する体験や副監督のマーリン・クロッシンガムさんと一緒に写真を撮ったりしたのもいい思い出だ。今回の展示会にはそれから19年ぶりになる。昔から変わらないストップモーション一筋のアードマンが生み出すあの世界観はたまらないし失いたくないものだ。
奇しくも私とショーンは同い年だそう、これからもどんな冒険が待っているか非常に楽しみだ。





